ノイズ対策・外音取り込み… ヘッドホンはどう選ぶ?
e☆イヤホン秋葉原店でヘッドホンの売れ筋を調査した。イヤホンに比べてヘッドホンは人気モデルが固定する傾向があるそうだが、同店副店長の佐藤祐一氏によるとちょっとした変化が起きているという。「これまでの人気モデルが次々とワイヤレス化されて、新モデルがたくさん店頭に並ぶようになりました。落ち着いていた売れ行きが再び盛り上がってきました」とのこと。
ヘッドホン、失敗しない買い物の三箇条
ヘッドホンは、ワイヤレスモデルが多数登場してきたポータブルタイプと、従来からあり高価なモデルが安定して売れるホームオーディオタイプ(主に自宅で使うタイプ)とがあり、それぞれ選ぶポイントが変わってくる。佐藤氏に教えてもらった、音だけではないヘッドホン購入の三箇条をお伝えしよう。
2.外で使うなら、ノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能はイヤホン以上に重要視しよう。
3.ホームオーディオタイプは装着感が大事。重さや装着時に違和感がないかなどを確認しよう。
最初の2つは主にポータブルタイプを購入する人向けのポイント。ホームオーディオタイプの入門者は3つ目の項目を見落としがちという。
「ホームオーディオタイプは長時間の使用を想定しているので、ポータブルタイプに比べて側圧(頭を左右から挟む力)は弱めです。しかし、本体重量は重くなりがちなのでそこが負担になることがあります。それと、メガネをかけている人にはメガネのフレームと重なって気にならないかも重要です」とのことだ。
ヘッドホン人気ランキング
ヘッドホンの売れ筋はイヤホンより価格が高い傾向にあり、平均で2万円を超えてくるそうだ。そこで2万円前後からのモデルの売れ筋を教えてもらった(価格はすべて税込み)。ちなみに、ワイヤレスモデルのほとんどはオーディオケーブルで接続してワイヤードヘッドホンとしても利用できる。
1位:Skullcandy VENUE
40mmドライバーを搭載したワイヤレスのポータブルタイプで、バッテリーで最長24時間使える。ノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能を備え、紛失対策にスマートトラッカー(落とし物防止タグ)のTile機能も内蔵している。重さは非公開。実売価格は1万9240円。
2位:MEZE 99 Classics
ウォルナット(クルミ)材を使った木目のあるデザインが特徴のポータブルタイプで、40mmドライバーを搭載する。ワイヤードヘッドホンでケーブルは着脱可能。本体重量は260g。実売価格は2万6820円。
3位:ソニー WH-1000XM3
ソニー独自のノイズキャンセリングチップを搭載したワイヤレスのポータブルタイプで、バッテリーで最長30時間使える。外音取り込み機能や、MP3ファイルをハイレゾ並みの音にする機能などを備える。40mmドライバーを搭載し、重量は約255g。実売価格は3万9150円。
4位:ゼンハイザー HD 599
ホームオーディオタイプの開放型ヘッドホン。ワイヤードでケーブルは着脱式。3mのステレオ標準プラグつきのケーブルと、1.2mの3.5mmステレオミニプラグつきのケーブルを同梱している。本体重量は約250g。実売価格は2万3328円。
5位:オーディオテクニカ ATH-SR50BT
45mmドライバーを搭載したワイヤレスのポータブルタイプ。ワイヤレス時にバッテリーで最長28時間使える。ノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能を備え、本体重量は約262g。実売価格は2万4710円。
4位の「HD 599」以外はすべてポータブルタイプ。さらにそのうち3製品はBluetooth接続対応のワイヤレスモデルで、ノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能も備えている。モデルごとの人気の理由は次からみていこう。
※なお、原稿と写真で掲載している価格とポイントは、2018年11月28日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見ていただきたい。
ノイキャン搭載で2万円切り、Skullcandy「VENUE」
一番人気はSkullcandy(スカルキャンディ)の「VENUE」。2万円前後の価格ながら高性能なノイズキャンセリング機能を搭載したワイヤレスモデルで、ブラックとホワイトの2色をラインアップしている。18年11月の登場以来、10代から20代の若年層に勢いよく売れているという。
「これまで3万~4万円クラスの製品に搭載されていたレベルの、高性能なノイズキャンセリング機能を備えているのが魅力です。この機能がないヘッドホンやイヤホンより遮音性が高く静かに過ごせるので、この機能を重視する人は多いです。夜行バスや飛行機で移動するときのお供におすすめです」
音もデザインも高評価、MEZE「99 Classics」
2位はMEZE(メゼ)「99 Classics」。17年6月からロングセラーを続けているワイヤードモデルで、ポータブルタイプのなかでもやや異色の製品。個性的なクルミ材による木の風合いが人気で、とくに男性によく売れているそうだ。
「天然素材を使った同じものが2つとない美しいデザインと、空間表現がしっかりしている音という、両面で評価が高い製品です。これが2万円台で手に入るということで人気を呼んでいます」
トップレベルの音質に機能も魅力、ソニー「WH-1000XM3」
3位はソニーの「WH-1000XM3」。自社開発のチップにより高性能なノイズキャンセリング機能を実現したモデルで、通常の外音取り込みモードのほかに、ハウジングに触れることで瞬時に音量を下げて外音を取り込む「クイックアテンションモード」も搭載している。
「音質は、ワイヤレスかワイヤードかを問わずポータブルタイプでトップレベルのヘッドホンです。そのうえノイズキャンセリング機能の性能も最高級。クイックアテンションモードがあるので、通勤通学で電車に乗るときや買い物時に使いやすいのもポイントですね」
開放型ヘッドホンの定番、ゼンハイザー「HD 599」
4位はホームオーディオタイプのゼンハイザー「HD 599」。自宅で使う開放型ヘッドホンの入門機としてヒットした「HD 598」の後継機で、16年11月の発売以来、ホームオーディオタイプの中で安定した人気をキープしている。
「前作から長らく、開放型ヘッドホンの定番入門機となっているモデルです。2万円台で本格的なサウンドが楽しめると評判で、コストパフォーマンスの高さが好まれています。本体重量は約250gと軽めで、装着感のよさも評価されています」
タッチ操作で楽しく聴ける、オーディオテクニカ「ATH-SR50BT」
5位は、オーディオテクニカのポータブルタイプ「ATH-SR50BT」だ。2万円台前半の手ごろな価格帯ながら、ノイズキャンセリング機能、外音取り込み機能を備え、ハウジング部分にタッチすることで操作できる。ワンタッチで瞬時に音をミュートして外音を取り込む「クイックヒアスルー」機能も備える。
「タッチセンサーで操作できるインターフェースの評価が高いです。それと派手な音作りで、どんな人でも楽しく音楽が聴けるという特徴があります。比較的若い人に人気がある製品ですが、マットでシンプルな外観なのでオフィスでも使いやすいと思います」
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。「古田雄介のアキバPick UP!」(ITmedia PC USER)、「インターネット跡を濁さず」(d.365)、「ネットと人生」(インプレス シニアガイド)などを連載。
[日経トレンディネット 2018年12月12日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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