ラップシンガーDAOKO 豪華作曲陣で詞の世界広がる
2017年、米津玄師がプロデュースした『打上花火』を、はかなくも力強いボーカルで歌い、ミュージックビデオの再生が約2億回となったラップシンガーのDAOKO。そんな彼女がサードアルバムをリリースした。小林武史や中田ヤスタカら大物クリエーターの参加や新たな詞の世界も注目だ。
中学生の頃からニコニコ動画にラップ音源を上げて話題となり、12年に16歳でインディーズデビュー。m-floとのコラボレーションや、映画『乾き。』の楽曲採用など様々なシーンから注目を集めた。15年にメジャーデビューし、渋谷を歌った『ShibuyaK』などで若手女性ソロシンガーとして頭角を現す。岡村靖幸やBECKといった多彩なミュージシャンとのコラボ曲も発表した。
17年の『打上花火』のヒットについては「幅広い人に知ってもらえるきっかけになったうえに、同じようにネットから音楽活動をスタートし尊敬している米津さんとの作品が、世間に認められたことが感慨深かった」と思いを明かす。
18年12月にリリースしたニューアルバム『私的旅行』では、小林武史や中田ヤスタカら豪華な作曲陣が並ぶ。これまでも様々なミュージシャンとコラボしてきた経験から、楽曲制作において彼女ならではのスタイルを確立できたそうだ。「作曲者の世界観に合わせて、自分の歌声を一つの楽器として操りつつ、そこに私の書いた歌詞を融合させることで、唯一無二の楽曲たちを生み出せました」と語る。
自ら手掛ける歌詞にも変化があったという。「以前は都会派だったんですが、最近は自然にまつわる内容が増えた気がします」。小林武史が作曲した『終わらない世界で』ではモータウンサウンドにみずみずしい彼女の歌声と歌詞が乗る。「土の中から出てきた新芽が傷つきながらも太陽に向かって伸びていくイメージ。『頑張ってみるから/終わったら抱きしめて』という部分が気に入っています」
BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之が作曲を手掛けた『NICE TRIP』は中野から「暗闇の中で光が広がっていくイメージ」とのお題をもらい、高揚感が生まれるように裏声に近いハイトーンボイスを響かせている。歌詞では「青春時代の豊かな感受性を忘れないために、この先も新しいことに挑戦することの大切さを『最初の一歩が最高のトリップ/思い出すために新しいトリップ』とつづっています」。
神山羊や羽生まゐごといった、人気ボーカロイドプロデューサーが作曲した作品も収録。「原点回帰という意味も込めて、ネット出身の彼らともぜひやりたかった」
今後は「音楽だけでなく写真やファッションなどともコラボレーションすることで、連鎖的なヒットを生んでいきたい」と意欲的だ。
(「日経エンタテインメント!」12月号の記事を再構成 文/中桐基善 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2018年12月21日付]
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