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会社がほしいのは社会貢献より「会社」貢献する人 理系学生のための企業研究(3)

東北大学特任教授、人事コンサルタント 増沢隆太

2016/12/22

企業が採用を決める基準、「採用基準」とは何でしょう。当然各社採用にあたってはそうした基準を設定しているはずですが、一般的にそれは「一律な指標」や「数値」ではありません。どうやって評価するかという方法はデジタルなものではなく、普通は開示することはありません。

そのような正体不明の「正解」を求めるよりも、その企業の「仕事」を理解できれば、採用で重要なポイントは推定できるようになります。前回はその企業がどんな仕事をしているのか見てみました。今回はさらに深く、企業の価値観を知るために会社の仕組みを検証します。

その会社の「仕事」を知らなければ就活は不可能

本稿は企業研究にフォーカスしていますが、実際に就活を始めると、「志望動機」と「自己PR」の2大要素でたいへん苦労する学生が多いのです。「貴社のグローバルな将来性に惹かれ、自分を成長させていただける環境に魅力を感じます」のような、もっともらしく見えて実は中身がまるでない言葉のられつになってしまいかねません。

企業が企業として存在する理由に、組織の維持・存続があります。民間企業である限り、この根本的な会社組織の原則は変わりません。製品やサービスの販売を通じて、適正な売上と利益を獲得することによって社員に給与を支払い、製品・サービスの性能を上げるべく設備投資を行い、より効率的な製品・サービス提供のために物流を整備するという、組織全体の維持が必要になります。

細かい財務指標など経営データより、その会社の仕事の仕組み「ビジネスモデル」を理解する方がずっと重要で、なおかつすぐにでも可能です。ちなみに財務分析や経営数値の分析は、プロのアナリストでも簡単なことではなく、それらに意味がないのではなく、今優先順位として、特に理系学生には後回しで良いのではというのが私からのアドバイスです。財務分析が不要であるという意見ではありませんので、真意をご理解下さい。

利益確保ができなければ企業は存続できない

企業という組織を維持するための原資は売上です。この基本原理はどんな企業であっても変わりありません。しかし企業は決してお金儲けだけのためにあるのではありません。適正な売上を上げることで、企業が成り立ち、そのための仕組み、モノやサービスの流れが商売であり、仕事です。売上を上げることで初めて利益が得られるのですから、利益を得ることも含めて当然企業の使命だと理解しましょう。

なぜくどくこんなことを書くかというと、実はESや面接において、この根本原理を理解していない学生が驚くほどたくさんいるからです。商売の仕組みや企業という組織の存在理由を理解せず、適正な商売すら否定するかのようなきれごとの単語を並べていて採用基準を満たせるでしょうか?

社会貢献を社是に上げる企業もありますが、その企業組織が維持存続できるからこそ社会貢献は可能になります。適正な売上と利益確保ができなければ企業は存続できず、結果として社会貢献もできません。社会に貢献するために社員を雇うのではなく、まずは「会社」に貢献することで、結果としてそれは社会に還元されるのです。

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