静岡銀行の成宮礼乃さん「多様な人と接する経験を」
卒業までにやっておくこと2017(4)
就職戦線を乗り切って内定(内々定)を勝ち取った就活生の皆さんに、先輩からのメッセージをお届けします。残り少ない学生生活を、どう過ごしてほしいか。4回目は静岡銀行の成宮礼乃さん(25)です。前回の千葉銀行に続き、地銀トップ行の営業現場からの声を紹介します。
――Uターン就職で静岡銀行を選んだ理由は何ですか。
「当初は東京で就職したいと思っていました。40~50社にエントリーしたでしょうか。SE(システムエンジニア)も希望の職種の一つでした。理系のイメージが強いですが、文系でもシステムというモノづくりに携われる点に惹かれたからです。同じモノづくりの視点でとらえると、他行にない商品を開発できる金融機関も魅力でした。そんな状況の中で、静岡銀行のセミナーに参加したことが就活の大きな転機になりました」
静岡のために働きたい
「しずぎん(静銀)の先輩の体験談が印象深いですね。法人営業で担当した会社の経営が立ち行かなくなり、廃業することになるわけですが、一人ひとりの従業員の次の働き先を手配し、みんなから感謝されたそうです。静岡県の全域にいちばん根を下ろしている金融機関ならではの話でした。静岡のため、地域のために働くことが最良の選択ではないかとUターンに傾いたのです」
――現在の仕事の内容を教えてください。
「静岡市の本店営業部で40~50社の中小企業を担当しています。メーンの融資だけでなく、高齢の社長から事業承継の相談を受けることもあれば、遊休地を持っている会社の経営者に資産活用の提案をするのも大切な仕事です。対応が遅いと怒鳴られ、顧客と上手くいかないこともありますが、大学の4年間で培った持ち前の粘り強さと根性で頑張っています」
――どんな4年間だったのですか。
「体育会の女子ラクロス部でした。クロスと呼ばれる棒の先に網が付いたスティックとゴム製のボールを使って点を取り合う12人制の球技です。ポジションはゴールキーパーでした。4年間で関東学生リーグの4部から3部、2部へと昇格し、最後の4年生の時は、あと一歩のところで1部入りを逃しました」
「静岡県の高校時代は音楽部でした。ラクロスの場合、カレッジスポーツと呼ばれるように大学から始める人が多く、スタートラインはみんな同じです。周りより貪欲に努力しましたね。実は、大勢で一緒に青春するのが大学生活の1つの目標でした。チーム競技の女子ラクロスはそれをかなえてくれました。ゴールキーパーを選んだ理由ですか? いちばん試合に出られる確率が高いと考えたからです」
――銀行の営業担当として心がけていることはありますか?
「お客の課題を話の中から上手に引き出せなければ、何も始まりません。相手に合わせて接し方を変えています。ずっと年上の経営者なら、雑談から入って最後に提案を持ちかけます。業績が伸びている会社の社長だと、忙しい時間を割いてもらっているので、まずは結論から切り出します。就職する前に、相手に伝わる話し方やロジカルシンキングの基本をまとめた本を何冊か読みましたが、本の教えが身になっている手ごたえを感じています」
雑談力磨いたバイト経験
「大学の部活時代は何度もスランプを経験しました。一人でクヨクヨしても駄目なわけで、先輩や後輩が良き相談相手でした。仕事も同じチームプレーです。得意先で聞いた話はすぐに職場の誰かに報告し、次につなげています」
――社会人の先輩として、残りの学生生活を有意義に過ごすためのアドバイスを聞かせてください。
「会社に入ると、年齢も違えば、分野も属性も異なる様々な外部の人とのコミュニケーションが求められます。私の場合、子ども向けのサッカースクールの運営にアルバイトで加わり、地域の大人たちに交じって活動した経験がプラスになっています。コミュニケーションや雑談をする力を手っ取り早く身に付けるには、バイトがおすすめです。何か目標を持ってアルバイト経験を積んでほしいですね」
「生まれ育ったのは静岡県の東部です。Uターン就職といっても静岡市など県中部のことは全然知らないので、地名を覚えるのが大変でした。地方銀行に内定して故郷に戻る学生のみなさんはぜひ、地域ごとの文化や特性などを勉強し、頭の中に入れておいてください」
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