優秀な学生はどこでも内定が取れる?就活の誤解(1)

横浜国立大学准教授 服部泰宏

横浜国立大学准教授 服部泰宏
2016/1/21

初めまして。私は横浜国立大学で経営学を研究しています。なかでも企業と学生との出会いの場である採用・就職をよりよいものに変えていくための「採用学プロジェクト」を推進しています。

納得できる就活のために

みなさんは就活を始めると、「いったい企業はどんな学生を求めているのか」を何とかして知りたいと思うでしょう。一方、企業の採用担当者も、「いったいどうやったら、わが社で活躍してくれそうな人材を見分けられるか」と必死なのです。

学生と企業がお互いの情報をそのままさらけ出して、「こんな私はこういう仕事がしたい」「こういう条件の我が社で、こういう仕事をするこんな人に来てほしい」という希望が一致する企業で採用されるのがお互いにハッピーなはずです。でもそれが実際にはなかなかうまくいかず、ミスマッチが生じやすいのです。「採用学」はこうした不幸なミスマッチをなくすための研究です。

この連載ではそうした「採用学」の観点から、企業が何を考えて採用を行っているのか、そして学生はどのようにすれば自分に適した就職ができるのかについて考えていきたいと思います。

弱小チームはなぜ成功したか?

ブラッド・ピッド主演の『マネーボール』(2011年)という映画を知っていますか? 米国カリフォルニア州の弱小メジャー球団だったオークランド・アスレチックスが、常識破りの方法で一躍強豪に至るまでのストーリーです。アスレチックスは松井秀喜選手や、中島裕之選手が所属したことでも有名です。

2002年、アスレチックスは前シーズン地区2位になりましたが、有力選手を強豪チームに引き抜かれ、戦力ダウンが確実になっていました。ゼネラルマネジャーに就任したビリー・ビーンは、当時の野球界では常識外れとされた独自の手法でチームの再編に取り組みました。

当時のメジャーリーグのスカウトたちは、選手の持つ能力を足、肩、守備力、打撃力といった要素に分解し、それらの能力を示す過去の実績にしたがって、選手の「優秀さ」を評価し、採用していました。

しかし、ビリーはこうしたスカウトの経験則を疑っていました。たとえば、当たりが悪くても、野手がちょうどいない所にボールが飛べば、それは「ヒット」としてカウントされる。また多くの打点を上げられたのは、たまたま自分がバッターボックスに立った際にランナーがたまっていたからかもしれない。偶然に左右される要素が多すぎると考えたのです。

さらに、当時のスカウトは、「球を打つ音がいい」「いい顔つきをしている」といった主観や印象論で選手を「優秀である」と評価し、高い報酬を提示したりすることもあったのです。

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