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優秀な学生はどこでも内定が取れる?

就活の誤解(1)

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NIKKEI STYLE

初めまして。私は横浜国立大学で経営学を研究しています。なかでも企業と学生との出会いの場である採用・就職をよりよいものに変えていくための「採用学プロジェクト」を推進しています。

納得できる就活のために

みなさんは就活を始めると、「いったい企業はどんな学生を求めているのか」を何とかして知りたいと思うでしょう。一方、企業の採用担当者も、「いったいどうやったら、わが社で活躍してくれそうな人材を見分けられるか」と必死なのです。

学生と企業がお互いの情報をそのままさらけ出して、「こんな私はこういう仕事がしたい」「こういう条件の我が社で、こういう仕事をするこんな人に来てほしい」という希望が一致する企業で採用されるのがお互いにハッピーなはずです。でもそれが実際にはなかなかうまくいかず、ミスマッチが生じやすいのです。「採用学」はこうした不幸なミスマッチをなくすための研究です。

この連載ではそうした「採用学」の観点から、企業が何を考えて採用を行っているのか、そして学生はどのようにすれば自分に適した就職ができるのかについて考えていきたいと思います。

弱小チームはなぜ成功したか?

ブラッド・ピッド主演の『マネーボール』(2011年)という映画を知っていますか? 米国カリフォルニア州の弱小メジャー球団だったオークランド・アスレチックスが、常識破りの方法で一躍強豪に至るまでのストーリーです。アスレチックスは松井秀喜選手や、中島裕之選手が所属したことでも有名です。

2002年、アスレチックスは前シーズン地区2位になりましたが、有力選手を強豪チームに引き抜かれ、戦力ダウンが確実になっていました。ゼネラルマネジャーに就任したビリー・ビーンは、当時の野球界では常識外れとされた独自の手法でチームの再編に取り組みました。

当時のメジャーリーグのスカウトたちは、選手の持つ能力を足、肩、守備力、打撃力といった要素に分解し、それらの能力を示す過去の実績にしたがって、選手の「優秀さ」を評価し、採用していました。

しかし、ビリーはこうしたスカウトの経験則を疑っていました。たとえば、当たりが悪くても、野手がちょうどいない所にボールが飛べば、それは「ヒット」としてカウントされる。また多くの打点を上げられたのは、たまたま自分がバッターボックスに立った際にランナーがたまっていたからかもしれない。偶然に左右される要素が多すぎると考えたのです。

さらに、当時のスカウトは、「球を打つ音がいい」「いい顔つきをしている」といった主観や印象論で選手を「優秀である」と評価し、高い報酬を提示したりすることもあったのです。

「優秀」とは何か?

そこでビリーは、選手を評価する際にスカウトの「目利き」ではなく、コンピュータによるデータ解析を重視しました。分析の結果見えてきたのは、偶然に左右されない純然たる選手の「優秀さ」を測る数字は、打者なら「出塁率」(どんな方法であれ、とにかく塁に出る率)だ、ということでした。投手が投げるボールを見極める「選球眼」こそが、「優秀」な選手の条件だという結論です。

メジャーリーグの世界では、打率や打点の高い選手こそが「優秀」とされ、ボールを正確に見極める「選球眼」のある地味な選手は冷遇されていました。ビリーが他球団の選手を探したところ、本来のチームへの貢献度に比べて、評価が低い選手が何人も見つかりました。

たとえば、極めて出塁率が高かったが、腕にけがを負い、本来のキャッチャーというポジションをこなせない状態であったスコット・ハッテバーグ選手。ビリーはどの球団も見放したこの選手を、ほとんど送球をしなくても済む一塁手へコンバートするという条件で、強豪ボストン・レッドソックスから安く引き抜きました。ハッテバーグは、レッドソックス時代とは別人のように活躍し、02年シーズンには136試合に出場し、アスレチックスはシーズン中20連勝という大記録をなしとげたのです。

「当たり前」を疑おう

この物語が私たちに教えてくれるのは、誰が「優秀か」ということは決して一律に決まるものではなく、球団なり企業なりがどのような採用をするかによって変わってくる、ということです。従来は「足が速い」「守備がうまい」「長打が打てる」といったことが「優秀な」選手の条件であるという考えが主流でした。

そんな中でアスレチックスは、「出塁率」こそが、チームの勝利に貢献する最も重要なファクターであるという観点から選手の採用を行いました。「出塁率」の高さというのは、それまで全く重視されてこなかった要素です。その意味でアスレチックスは、「新しい優秀さ」を作り出したとすらいえるでしょう。数学の試験をした時と、体育の試験をした時とでは「優秀」な人が変わるように、企業がどのような採用をするかによって「誰が優秀か」ということは変わってくるのです。

だから就活をする際には、「その企業がどういう学生を採用しているか」、つまり「その企業がどういう学生を優秀である(でない)と決めているか」を考える必要があります。ところが、野球の世界と同じように、ビジネスの世界でも、人材を採用する側である企業が、採用する人材の「優秀さ」をきちんと定義しないままに、その企業なり業界の慣例だとか通説にもとづいて、採用を行ってしまっていることが多いのです。

「学歴が高い人材は優秀だ」とか「優秀な学生を見抜くには面接が一番だ」といったことが採用の世界では通説となっていますが、研究では、こうした説に対して否定的な結果が出ています。ということは学生の側からすると、たとえば学歴に自信がなくても、ハッテバーグの「出塁率」のように、注目されていない自分の長所をうまくアピールして企業に納得してもらえるようにすればよいわけです。この連載では、企業と就活生が「当たり前」のこととして信じている誤解を検証し、双方にハッピーな就活ができるよう応援していきたいと思っています。

服部泰宏
1980年神奈川県生まれ。滋賀大学経済学部情報管理学科専任講師、准教授を経て、現在は横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授。専門は経営行動科学・組織行動論。科学的手法を取り入れて企業と人材のミスマッチを防ぎ、企業と学生双方にとってハッピーな採用を目指す「採用学」を提唱し、企業や学生とも共同で研究・活動を進めている。

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