三井住友海上の宇野智哉さん「ポジティブ思考でいこう!」
学生時代の過ごし方(1)
「日経カレッジカフェ」を読んでいる学生の皆さんに、先輩社員からのメッセージをお届けします。テーマは「学生時代の過ごし方」。有意義な学生生活を送るために、いま何をすればいいのか。初回は三井住友海上火災保険の宇野智哉さん(28)です。
若者対象の自動車保険
――まず、いまの業務内容を教えてください。
「自動車保険部で商品開発と開発した商品のプロモーションを担当しています。最近の例でいうと、若者向けの自動車保険を2015年10月に発売しました。『1DAY(ワンデー)保険』と『はじめての自動車保険』です。実は、これまで損害保険業界でターゲットを絞った商品というのはあまりなかったのです。就活生向けのインターンシップイベントなどを通じて、若者の生の声を収集しています。こうした新商品を世の中に広めていくことと、次はどんな保険を生み出したらいいのか考えていくのが目下の任務です」
――若者向けの商品を生み出すに当たってどんな工夫をしたのですか。
「新商品の『1DAY保険』は、文字通り24時間単位の保険。親や友人のクルマを運転することになった時に利用してもらうものです。セブンイレブンの端末や、スマホから申し込めるので利便性が高いと思います。保険料は500円から。スマホから申し込む場合、保険料は携帯料金と合算しての請求となります。保険に入らずに運転するのは危険なので、是非利用してもらいたいですね。すでに利用は10万件を突破。18~24歳が全体の半分を占めていて、狙い通りとなっています」
「一方、『はじめての自動車保険』は、初めて加入する若者向けの商品です。補償内容をシンプルにし、パッケージ化。営業コストを抑えるなどで、一般的な商品よりも保険料を10%安くしました。まず『1DAY』から始め、その後『はじめての』に入るという流れで活用してもらいたいと考えています」
経済の勉強をしておこう
――続いて、学生時代に頑張ったことを教えてください。
「金融分野に興味を持っていたので、ゼミは国際金融論を選びました。経済分野の文献には意識して目を通すようにしました。実際に株の取引も体験。経済の勉強はどの分野にも必要ですので、是非やった方がよいですね」
「サークルで入っていたのは英語とテニス。このうち英語のサークルは、英語を使ってディスカッションするものです。ここで英語に慣れたので、入社後の海外研修でも役立ちました」
「バイトはテレホンアポインターをやりました。ネット媒体に求人広告を出してもらう営業をするものです。タウンワークでひたすら電話をかけて、その後、実際に広告をもらいに行きます。飲食店や小売店のオーナーなど中小企業の経営者と触れ合う機会が多かったのですが、皆さん魅力的な方々でしたね。バイト先では、ロールプレーイングの研修も施してくれて参考になりました」
海外には行った方がよい
――学生の皆さんに、在学中にやっておいた方がよいというお勧めはありますか。
「お金があれば、留学や旅行で海外に行っておけばよかったと思います。海外で異文化に触れることは大切ですからね。自分の基準で"常識"を決め付ける危険性も理解できるでしょう。入社後、ベトナムの保険会社で就業体験を受ける機会がありました。現地では、アポイントの取りかたが大雑把なことに驚きました。予定が直前まで決まらず困ったのですが、考えてみれば、現地の人たちにとっては、予定を直前まで確定させないのが常識で、こちらの感覚が常識から外れていたということになります。ベトナムでは、学生時代に英語のサークルに入って英語に親しんでいたことが役に立ちました。一方、ベトナム語も勉強しましたが、最初はかなり難しく感じました。結局、何とか軽い日常会話はこなせるようになりましたが」
就活は幅広くみよう
――自身では、どんな就活をしましたか。
「金融に興味があったので、銀行や証券会社も視野に入れて活動しました。いまの会社から最初に内定を得たので、そのまま入社を決めたのです。損保はもともと優先度が高い業種でしたしね。損保の仕事は、多様な業種にかかわることができます。まさに、鉛筆からロケットまで、という表現がぴったりです。この会社に入ってみて、人に優しい組織だということが分かりました。研修や福利厚生もきちんと整備されています」
「学生の皆さんには何事にも興味を持つことをお勧めします。関係ないと思っていたことが、調べてみると、意外なつながりがあることがわかって、のめり込むこともあるものです。自身の就活でいうと、ほぼ金融しかみなかったのですが、企業の規模を問わず、様々な業種をのぞいた方がよいと思いますよ」
ポジティブ思考でいこう
――なるほど。では入社して嬉しかったこと、逆につらいと感じたことを教えてください。
「商品が世に出る前の段階から、携われることは嬉しいですね。影響が大きな業務を担当していることにやりがいを感じます。多様なバックグラウンドを持った上司や同僚と、ひとつの方向に向かっていく楽しさもあります」
「つらいと感じることはないですね。ポジティブな思考が大切です。シンプルに考えたらよいのです。ネガティブになってもよいことはないですよ。何があっても命までは奪われない、と考えたらよいのです」
――今後のキャリアについてどんな希望を持っていますか。
「入社後、まず営業店に配属となり、そこで5年間、営業全般を経験しました。その後、1年間の国内とベトナムでの研修を経て、現在の担当になりました。これまでの経験を生かしながら、成長していきたいと考えています。海外現法の運営や、国内での国際業務、さらに大きな舞台で働けたらいいですね」
――最後に、プライベートでの楽しみは?
「巨大なものをみることです。スカイツリーだとか、ダムだとか。富山県にある黒部ダムなどは素敵です。あとは、魚をみるのも好きですね。水族館でいえば、アクアワールド茨城県大洗水族館がお勧めです。この水族館の近くには、お気に入りの漁港もあるんですよ」
(聞き手は村山浩一)
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