目的に合わせてタイプを選ぼう!
インターンシップ成功術(中)
インターンシップに行こうと決めたら、どの企業のインターンシップに参加するのか。すでに将来の就職先として興味のある企業がある場合には、その企業のインターンシップに参加しようと思うでしょうが、具体的に就職したい企業が決まっていない人も多いでしょう。ということで、今回は目的に合わせてどんなインターンシップがいいのかを考えてみましょう。
まず、インターンシップにはどんな種類があって、どんな目的を持っている人に合うのかを見てみましょう。
就業体験型
インターンシップ本来の意味として使われるのが「就業体験」で、大学が授業としてインターンシップに単位をつける場合には、この就業体験型になります。実際の職場に入って社員と同じように働きながら仕事を理解するという内容です。職場で社員と一緒に仕事をしながら働くことを理解するため、インターン期間は1~2週間と長めになります。中小企業やベンチャー企業、NPOなどでは1カ月以上の長期間のインターンシップもあり、その場合には週に数日働くことが多いです。
実際に職場に入って働くため、取引先と接する機会もあります。参加している企業に迷惑をかけないためにも、事前にあいさつや名刺交換の仕方、電話のかけ方、メールの出し方など、ビジネスマナーを学んでおく必要があるでしょう。
グループワーク型
企業の職場に入ることができない金融機関などが実施するのがグループワーク型。会議室などの会場で、参加学生がグループとなって企業から与えられた課題などに取り組む内容です。企業の事業内容に沿ったプログラムもあれば、自己理解のようなワークもあり、学生の参加目的と合わないこともあります。具体的にどんな内容のワークなのか、事前に確認するようにしましょう。
同行・同席型
社長のカバン持ちや営業同行など、社員と行動を共にしながら仕事を理解するものです。また、企画会議や取引先との打ち合わせなどの会議に同席するパターンもあります。学生自身は仕事をするわけではありませんが、最前線で仕事に接することができるのが特徴です。
職場で働くことを経験する「就業体験型」は受け入れ企業、参加する学生共に負担が大きいが、同行・同席であれば実際に仕事をする機会はほとんどないために両者の負担は軽い。期間は3日から1週間程度。就業体験と同じく、事前にビジネスマナーを身につけておいてください。
見学型
事業内容などの説明に加えて工場や研究所等の見学が組み込まれたプログラム。メーカーが理工系学生対象に実施することが多く、期間は1、2日と短期。文系学生向けには職場や社員食堂などを見学するものもあります。
講義型
業界や事業内容、仕事内容などの説明をする講義形式のもの。期間は1日で終わる1dayインターンシップがほとんどです。1度に数百人が参加する大規模なものが多く、金融業界などで実施されます。
複合型
上記の形式を組み合わせたもので、初日に「業界・会社研究型」、2日目に「見学型」、3、4日目に「同行・同席型」、5日目に「グループワーク型」で全体を振り返るというもの。数十人規模を受け入れるインターンシップで利用されています。
アルバイト・パート型
就業体験型と同じで実際に職場で働くことができますが、業務内容が社員の補助的な仕事が多く、企業の本来の仕事を理解することは難しいでしょう。参加してみないと、就業体験型かアルバイト型かが分からないことが多いです。また、職場ではなく、イベント出展の手伝いなどとして募集していることもあります。
以上が、主なインターンシップの種類になります。他にも海外インターンシップや大学の授業として単位のつくインターンシップなどがあります。目的に合わせて選んでください。
なお、インターンシップに参加したいという学生の意欲を利用して、ブラックインターンシップもあるので注意が必要です。具体的には、学生に実際に仕事をさせているにもかかわらず、インターンということで賃金を支払わない、1日○○○円という報酬を払うものの残業などがあり、結果的には最低賃金を下回る時給で働かせているなどだ。
「内々定」「選考で優遇」などをエサに学生を集め、名ばかりインターンシップで、実際には過酷な労働を強いる企業もあるので注意してください。もし、「ブラックインターンシップかも?」と思ったら、すぐに大学のキャリアセンターに相談してください。
日経HRコンテンツ事業部長、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤講師。91年入社。高齢者向け雑誌編集、日本経済新聞社産業部記者を経て98年より就職関連情報誌・書籍の編集に携わり、2005年日経就職ナビ編集長、2015年日経カレッジカフェ副編集長、2018年から現職。著書は『これまでの面接vsコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接の完璧対策』『面接の質問「でた順」50』など。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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