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採用・就活スケジュールのルールがなくなる?

就活教室 どうなる21年卒(1)

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ルールはあっても、誰も守らない――。スポーツなら即刻退場、もしくは没収試合になるのでしょうが、何ら罰則もないのが採用就活スケジュールのルール。経団連の中西宏明会長が「経団連が採用の日程に関して采配すること自体に極めて違和感がある」「個社の方針を大事にしてやっていくべき、違いがあってしかるべき」と話したことから、2021年以降は「採用ルール廃止も」という議論に発展しています。ここでは、現在の採用・就活スケジュールの問題点はどこにあるのか、仮にルールがなくなったら就活はどうなるのかを考えてみます。

同じことを繰り返してきた過去

就職の世界を長く見てきた身としては、「また始まったよ」と思ってしまいます。実はこの手の話、大学生の皆さんの祖父母が就職活動をしていた頃からあった話なのです。

ちょっとだけ古い話にお付き合いください。1950年代、「最終学年の10月から選考開始」というルール(第1次就職協定)がありました。現在の内定日ですね。ところが、時代は高度成長期、企業は優秀な人材を採用するために「他社よりも先に選考を!」となり、60年頃には大手企業の採用活動は7月には終わってしまいました。このときに企業の団体、日経連が「ルールを守らないなら辞めた!(と言ったかどうかは分かりませんが)」と、「採用野放し宣言」をし、採用日程を決めないことにしたのです。今と全く同じです。

その結果、何が起こったのか。ルールがなければ我先にと採用活動を始め、70年になると大学3年生で内定が出る事態に。このため、再び72年に第2次就職協定として「最終学年5月会社訪問 7月選考」が決まり、76年に「最終学年10月会社訪問 11月選考」となりました。ところが、またルール破りが横行、今度は労働省がルール作りから抜けたのです。

ということで、ルールを決める→ルールが破られる→ルールをやめる→早期化が進む→ルールを決める、が繰り返されているのです。こうした歴史を知っている人は「またやってるよ」と思ってしまうのです。

ここまでを見ると、ルールを守らない企業側が悪いとなってしまいますが、企業側は国や大学側と一緒に努力を続けてきました。97年から2012年まで経団連は「新規学卒者採用・選考に関する企業の倫理憲章」を制定し、一時期は憲章に賛同している企業名を公表するなど、ルール遵守に力を入れていたのです。

ただ、2013年の政府による就活時期の後ろ倒しと同時に、「憲章」が「指針」に変わってしまい、賛同企業の公表もなくなってしまいました。経団連も政府に言われたスケジュールを会員企業に「憲章」として守らせることに抵抗を感じたのでしょうか? そして、2015年卒業者の採用スケジュールは「3月広報解禁 8月選考開始」となり、さすがに真夏の就活は厳しいと、現状の「6月選考開始」に落ち着きました。

現状のルールで問題ないのか?

では、現状の採用日程が維持されれば良いわけでもありません。日経HRが今年7月に内定者に実施した調査(回答者数234人)では、95%の人がインターンシップに参加し、参加した企業の本選考を受けた人の71%が「何らかの優遇があった」と回答しています。

現状のルールでは「インターンと採用活動を結びつけてはならない」と決められているため、インターンが選考と関係あることを公言している企業はほとんどありません。そのため、インターンに参加してから、もしくは本選考が始まってからでないと、優遇策があるのかどうか分からないのです。学生の中には「インターンに行かないと選考を受けられない・通らない」と思い込んでいる人も多く、50社以上のインターンに参加したという学生も現れています。

このようにインターンが選考の一部になったため、インターン参加のための説明会やエントリーが始まる6月が実質的な就活スタートになっています。つまり、早期化是正のために後ろ倒しをした採用・就活スケジュールですが、インターンの選考化によって早期化・長期化が進むという逆の方向に力が働いているのです。

インターン以外にも採用選考でおかしなことが起きています。ルール上の選考とは「面接」なので、6月選考開始のルールを表面上守るために「面接」を「面談」「質問会」「懇親会」「模擬面接会」などと言葉を変えて実質的な選考をしている企業もあります。就活生からは「何が選考なのかわからない」「選考ではないと思ったら選考だった」などの声も聞かれます。このように、実質的な面接をしながら、面接ではないという屁理屈でごまかしている企業もあるのです。

ルールがなくなって早期化が進むのか?

「ルールを守れないならなくしたほうがいい」といった声も聞こえてきそうですが、ルールの存在が全く無意味だったかというと、そうでもありません。企業も学生も大学も決められた日程を採用・就活スケジュールの目安にしてきました。ルールがあるから極端なスケジュールで採用活動を実施する企業もなかったのです(外資は昔も今も早期採用)。「ルールはあったほうがいい」という声が多いのも、そのような歯止め効果を期待しているからでしょう。

では、このルールがなくなると就活はどんどん早まってしまうのか? そんなことはないでしょう。ユニクロ(ファーストリテイリング)のように1年生から内定を出す企業が続出するとは思えません。理由は大学側の反対です。大学は就活の早期化・長期化による学業への悪影響が出ることに反対しています。全国の大学でつくる「就職問題懇談会」も今回、現行ルールを維持する方向で議論を進めるとの方針を示しています。

リクナビ、マイナビ、キャリタス就活など就活サイトの動きもあります。就活サイトは企業から掲載料をもらって運営している一方で、大学の協力を得ながら学生に会員登録をしてもらっています。企業側が採用活動を早めたいからと言って、大学側を無視してオープン時期を早めることはないでしょう。企業・大学の両方に配慮したサービス時期を考えると、極端な早期化には動かないと思われます。過去(2010年)には、就活サイト側が「学業への影響」を理由にサイトのオープン時期を自主的に後ろ倒ししたこともあるのです。

現実的なところは。。。。

現実の日程との乖離や早期化・長期化が進んでいること、インターンの選考化、曖昧な表現の選考が就活生に混乱を与えていることなどを考えれば、基本的には2014年卒業者向けのスケジュール(12月広報解禁 4月選考開始)に戻すほうがいいのではないかと思っています。

もともと採用・就活スケジュールに関しては、2020年の東京オリンピック・パラリンピック(オリ=7月24日~8月9日、パラ=8月25日~9月6日)があるため、就活とバッティングしないスケジュールにしたほうがいいという意見がありました。7月に入ると宿泊施設や交通機関の確保などで影響を受ける就活生が出てくる可能性があるからです。これは大学のキャリア支援担当者や企業の採用担当など、現場レベルでは言われていたことです。

結局、「採用ルール廃止」には至らず、現状のままか、「12月広報解禁 4月選考開始」か「12月広報解禁 3月選考開始」になるのではないでしょうか。前倒しになれば就活の早期化は進みますが、長期化は避けられます。また、2月、3月、4月は大学の授業もないために学業への影響も少なくなります。ただし、インターンの選考化については、もとに戻すことが難しいかもしれません。企業はいつの時代でも他社よりも先に学生を囲い込みたいと考えます。インターンの選考化という禁断の果実を手にしてしまった現在、これをやめることはできないでしょう。

今後、国と企業、大学が話し合い、ルール廃止か存続が決まると思いますが、「ルール廃止」までは行かない、行かないでほしいと思っています。それは過去にルール廃止で良くなったことがないからです。そして、ルールを決めるなら、当事者である就活生や大学のキャリア支援担当者、企業の採用担当者など現場の声が反映されますように!

渡辺茂晃(わたなべ・しげあき) 日経HRコンテンツ事業部長、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤講師。91年入社。高齢者向け雑誌編集、日本経済新聞社産業部記者を経て98年より就職関連情報誌・書籍の編集に携わり、2005年日経就職ナビ編集長、2015年日経カレッジカフェ副編集長、2018年から現職。著書は『これまでの面接vsコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接の完璧対策』『面接の質問「でた順」50』など。

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