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理学部は就職に弱いか、強いか  専攻格差と早めの判断が分かれ道

ホンネの就活ツッコミ論(24)

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今回のテーマは、「理学部の就活」です。20回目で文学部就活をご紹介しましたが、今回は理学部についてです。理学部は「学生は専攻にこだわりすぎて就活で苦戦しやすい」という意見と「工学部の機電系(機械工、電気電子工)ほどでないにしても、就活は決まりやすい」という意見に分かれます。

同じ学部で就活イメージが大きく分かれるのは珍しく、理学部独特の事情、と言えるでしょう。この背景には、学科・専攻の格差、それから学生の判断が大きく左右しています。

就職しやすい学科~数学科、化学科

就職が決まりやすいのは数学科です。そもそも論で言えば、数学を学び直接生かせる職種は数学の研究者か、中高の数学教員くらい。それほど多いわけではありません。つまり、最初から数学科の学生は就活においては「専門外」を意識します。

それから数学そのものではないものの金融やITは関連分野と言えます。それもあって、金融機関やIT業界には強い学科です。IT業界も、システムエンジニアや営業職よりも上級職に多く決まっていきます。

大学院進学、金融業界、教員・教育業界、IT業界が進路の「四強」。金融業界は数学の応用学・数理ファイナンスの専門性を評価されてのものです。金融機関の営業職というよりは、アクチュアリーなど専門職として採用されることもあります。

化学科も就職は悪くありません。化学メーカー、電機・電子部品メーカーなどからの求人が多くあります。化学は、工学部応用化学科と同じく、化学メーカーからすれば欲しい人材です。そして、化学関連メーカーは学生の想定以上に多数あります。

化学メーカーが困るとすれば、相次ぐ学部学科改編でどの大学がどの専攻をやっているのか、把握できなくなってきていることです。それもあってか、公益社団法人日本化学会東京支部主催で「化学系学生のための企業合同説明会」(事務局は株式会社エル・フォート)を例年3月に開催。ここに多数の化学メーカーが集結します。まだ先の話ですが、化学科の学生は参加してみるといいでしょう。

物理学科は専攻で分かれる

物理学科は学科どころか、専攻で大きく分かれます。物理学科の専攻は大別すれば、物性と素粒子に分かれます。このうち、物性だと機械メーカーからの需要があります。モノの性質を追う、という研究内容は機械メーカーからすれば応用が利きますし、必要な技術だからです。

一方、素粒子だと原子の中身を解き明かそう、という基礎研究を生かせる企業はそれほど多くありません。それもあって、就職では苦戦してしまうのが現状です。

生物、地学は苦戦

理学部で就職に苦戦しやすいのが、生物学科、応用生命系学科、それから地学科です。これは、学科の研究内容が企業にとって応用が利くものかどうか、という視点で考えると明らかです。

生物を系統的に分類する分類学、生物内部の器官などを研究する形態学、細胞そのものを研究する細胞生物学など、いずれも基礎基盤研究が中心となる生物学科は、その研究を企業活動に生かせるのはほとんどありません(バイオ関連は後述)。生物学科教員によっては、すぐ役立つ学問でないことを当の本人も認めるほどです。

地学科も同じです。地質学関連では地質コンサルタント、石油メーカー、建設会社など。気象学関連では気象予報会社などからの求人があることはあります。ただ、こうした求人は少ないですし、そもそもそれほど多く必要となるわけではありません。

では、バイオ関連はどうでしょうか。製薬、種苗、食品、化学などバイオに取り組む企業は多数あります。当然ながらバイオ関連の人材の求人もありますし、生物学科、応用生命系学科にも来ることは来ます。

ただ、問題は競争相手が多い、という点でしょう。同じ生物学科、応用生命系学科だけではありません。薬学部、農学部、工学部、医療系学部、同じ理学部の化学科などからも応募者があります。これらをすべて合わせると競争が激しく、その分だけ生物学科、応用生命系学科は就職で苦戦してしまいやすいのです。

専攻にこだわるか、広く見るか

理学部の各学科を調べていくと、就職先が多そうなのは化学科と物理学科の一部くらい。数学科は数学そのものではなく、関連の金融工学、数理ファイナンスなどを生かせる金融業界、PC言語の習得しやすさを評価してのIT業界などが中心です。他の生物学科、応用生命系学科、地学科、物理学科の一部は専門性を生かせる企業からの求人が多くはありません。

そこで、理学部の学生がどうすればいいか、と言えば、専攻へのこだわりをどうするか、という問題です。

せっかく、大学4年間(または修士なら6年間)、勉強してきたことを全く生かせない他業界への就職、というのは難しい決断です。実際に、理学部系統の学生は、専攻へのこだわりをなかなか捨てられません。結果として就活時期が長くなり、条件の低い企業で手を打つしかなかった、という学生も少なくないのです。

一方、専攻は専攻、就職は就職、と学生が割り切って早めに動いた場合はどうでしょうか。この場合、文系学部生と総合職就職で競合することになります。理学部生からすれば、文系学部生に勝てるわけがない、と思い込むのですが、実はそうではありません。採用側からすれば、学科がどこであれ、理学部生はコツコツと勉強なり研究を続けてきたことを知っています。その地道さは文系学部生とは別にきちんと評価するのです。

このため、早い時期に専攻と就活は別物、と割り切った学生は就職がうまくいきやすい傾向にあります。

大学院進学は不利?

理学部と言えば、国立大学を中心に大学院進学が多数ないし一定数を占めています。現3年生からすれば、就職か、大学院進学か悩むところでしょう。私は専攻を極めたい、専攻を生かして就職できるほど知識・技量が高い、と自信を持てる、両方を満たすのであれば大学院進学が適当と考えます。

そこまででもない、ということであれば、就活に切り替えることをお勧めします。理学部の中でも国立大学や私立大学難関校の教員は、「研究は大学院に行ってこそ深まる」「研究を途中で投げ出すのは良くない」などと大学院進学を勧めてきます。

特に強く勧めるのが生物学科、応用生命系学科。これは他の学科(大学院だと研究科)が能力のない学生に来られても迷惑(かつ、本人のためにならない)のに対して、生物学科・応用生命系学科だと「ピペットを洗浄する雑用係要員」としての需要があるから、という説があります。ネット上ではピペットと奴隷を掛け合わせた「ピペド」というスラングがあるほど。

真偽は不明ですし、大学院進学によって道が開ける学生もいるでしょう。が、単に教員が勧めたからという理由だけで選ぶのではなく、自分にとって何が最適解か、検討する必要があります。

大学院生はどうする?

すでに大学院生となった場合、就活では専攻との関連性がさらに大きなテーマとなります。数学科や化学科、物理学科(物性)だとそれぞれの専攻を必要とする企業がありますので大学院進学はプラスに働きます。

が、それ以外の理学系統の専攻だと、その専攻を必要とする企業は多くありません。そうなると、企業からすれば大学院(修士)の2年間は回り道、となります。年齢が高い分だけ敬遠する企業も出てくるでしょう。

では、理学系統の大学院生の就活は絶望的か、と言えばそんなことはありません。年齢が高い、と言っても2年程度。浪人・留年を入れても3~4年程度の学生が大半のはず。3~4年の年齢差が大きすぎると敬遠する企業もあれば、それくらいなら許容範囲と考える企業もあります。逆に言えば、学生が数歳(または4歳)年下の学部生と同期として一緒にやっていける器量を示せれば十分です。

それから、専攻違いの企業を志望するといっても、学部・大学院6年間、勉強してきたことがまるっきりムダになる訳ではありません。勉強や研究を続けたことで身に付いた能力は、パソコンでいうところのアプリではなくOSのようなものです。OSの能力が高ければ、アプリが入っていなくてもパソコンはそれだけ高く売れます。理学部の大学院生も全く同じです。就活でもOS能力の高さを示せれば、うまく行くに違いありません。いずれにしても、専攻とは無関係の企業・業界も含めて就活を進めることが求められます。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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