新年こそ始めたい断捨離 最初の1カ月で無理なく実現
本当に必要なモノをフル回転させるには、まずは不要なモノを部屋から出すこと。「30日間チャレンジ」で家中のいらないモノを無理なく手放し、快適で健やかな暮らしを手に入れよう。
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「自分にとって本当に必要なモノの量は、所持品のわずか2割」とは、自らの体験に基づく片づけブログが人気のミニマリスト・筆子さん。「不必要なモノをため込む生活は、デメリットだらけ。気持ちが散漫になってやるべきことに集中できないし、片づけや掃除も手間がかかる。モノに振り回されて過ごすことになります」。
ムダなモノを持たない暮らしを実現するには、モノの絶対量を減らすことが大前提。そこで提案したいのが、1カ月で家中の不要なモノを手放す「30日間チャレンジ」。「まずは簡単なところからトライし、ステップを踏みながら進めていくのが長続きする秘訣です」と筆子さん。マンネリになりかけたら、下記の「継続のコツ」を取り入れてみて。
【1~5日目】手放すことに慣れる! 手放しやすいモノからトライ
最初はウオーミングアップの期間。抵抗感のないモノから徐々に捨て、手放すことに慣れる。「捨てることの気持ち良さに気づけば弾みもつきます」。
初日は悩まずサクッと捨てられるものから。バッグの中のお菓子の包み紙や財布のいらないレシートなど、明らかなゴミをポイ。
冷蔵庫を開けて、期限切れの食品がないかを見渡してみる。生鮮食品だけでなく、調味料やレトルトなども裏返してチェック。
「自分がお金を使って得たわけではないモノ」がターゲット。化粧品のサンプルやフリーペーパー、使っていないもらい物など。
使用していない「入れ物」を処分。"そのうち使うかも"と取っておいた箱、瓶や缶、デパートの紙袋など一気に捨てよう。
壊れたモノは処分。複数あるモノは、使い勝手のいいお気に入りだけを残して。ペンなどの文具、しゃもじといった調理道具など。
継続のコツ
(1)部屋の写真を撮って客観視できると弾みがつく
(2)手放しタイムは「1日15分以内」
(3)売ろうと考えすぎない! 目的は「手放すこと」と心得て
【6~10日】ため込みがちな「プライムゾーン」に着手
プライムゾーン=最もモノをため込こみがちな場所。難所のようだが、実は数が多い分、片づけやすく効果大。場所は人によって異なる。クローゼットを例にトライ!
シミやシワが目立ち、洗濯してもどうにもならない服は、取っておいてもスペースのムダ。ためらわずに捨てても問題なし。
年齢とともに似合わなくなってきた、サイズが合わなくなった服、買ったものの、いざ着てみたらイマイチだった服など。
年間通して1度も袖を通さなかった服は、今後も着ない可能性が高い。クローゼットには、ヘビロテのアイテムだけを残す。
着る服と着ない服が一緒になっていると、管理が大変。似たような服は、お気に入りアイテムを選抜し、他は潔く処分を。
クリーニングで付いてきた針金ハンガー、使わない収納ケースなど、"服を管理するモノ"から、いらないものをチョイスして。
【11日~25日】そのほかの場所を「1日1カ所整理」
プライムゾーンが片づくと、一気にスッキリ感が増す。とはいえ、ここで張り切りすぎは禁物。目標達成のために、ペースを守って淡々と進めること。
床の上にじか置きしたバッグや出しっ放しのモノは、しまうか、捨てる。床の上にモノがないと、掃除機をかけるのもスムーズ。
ダイニングやローテーブルの上に、小物やチラシが置かれていると、部屋がゴチャゴチャと汚く見える。まとめてゴミ箱へ。
不要なレシートはもちろん、出番の少ないポイントカードも処分。余力があればクレジットカードの見直しも。枚数を絞って。
バッグの中を隅までチェック。使用済みの書類や不要なチラシ、お菓子の包み紙やティッシュなどのゴミは外に出して。
携帯電話の中身も手放しの対象。ため込んだ写真データはオンラインストレージに保存。使用していないアプリも削除しよう。
流行遅れ、似合わなかった、飽きてしまったなど、使いかけの状態で放置している化粧品を、メイクボックスから出して処分。
書き味の悪い文具やいらない書類は捨てる。取扱説明書やテキストは、スキャンして電子化してしまうのも、モノを減らすコツ。
サイズが合わない、デザインが嫌、足が痛くなるなど、出番の少ない靴は処分。傘はよく使うものだけを残し、その他は捨てる。
歯磨き道具、洗顔料や化粧品など、洗面台の上にあるアイテムのうち、役目を終えたものは捨て、出しっ放しは元の位置へ。
くたびれてしまったタオル類を処分。コスメやメイク道具を入れている場合は、一度すべて取り出し、いらないものを選別。
シャンプーの試供品や入浴剤など、好みでないモノは潔くOUT。トイレブラシなど掃除道具類も、使わないものは処分。
傷んだ食材の他、いつ買ったのか思い出せない調味料、お弁当に付いてくる醤油やわさびなど、"なんとなく取っているもの"も捨てて。
水やレトルト・インスタント食品、調味料などのストック食材を総点検。賞味期限切れや、保存状態が悪いものは処分しよう。
調理器具や鍋、保存容器、スポンジなど、使い勝手が悪いものや使い古したものを見つけよう。シンクの上も端までチェック。
引き出物など贈り物でもらうことも多く、いつの間にか増えがちな食器類。ため込むと、取り出しにくい上、災害時にも危険。
【26日~28日】「野望ガラクタ」を見つけ出す
「こんなふうになりたい」と野望を抱いて買ったのに、結局使わず、ガラクタ化しているアイテムたち。「迷ったら捨てましょう」。
口コミや広告に乗せられて買った、ダイエット用品や美容・健康器具類。「"いつか使うかも"は、たいてい使いません」。
自己実現のために買ったものを捨てるのは、"なりたい自分"を手放すようで決断しづらいが、使っていないならただのゴミ。
勢いで購入したものの、手つかず状態の本。いったん手放し、本当に読みたくなったときに再び購入すればいいと考えよう。
【29日~30日】思い出のモノ
30日チャレンジの締めくくりは思い出の品。「モノを手放しても、大事な思い出は心にとどまります。捨てることで、今を生きるきっかけにも」。
子供の頃に大切にしていたり、元カレからのプレゼントだったり。愛着があって捨てづらいなら、最後に一緒に記念写真を。
ほとんど見ないようなアルバムの写真は、ベストなものを厳選し、残りを処分。手紙はスキャンしてデータ保存する方法も。
余計なモノを入れない&増やさない7つのアクション
ムダなモノを持たない暮らしをキープするには、"入れない&増やさない"仕組みをつくることが大切! ミニマリストの筆子さんおすすめの7つのアクションを実践すれば、必要なモノだけに囲まれた心地よい生活に整います。
1つ家の中に入れたら、別のモノを外に出す「ワン・イン・ワン・アウト」は片づけの黄金ルール。「この法則を守れば、家の中のモノの絶対量は変わらないはず。手放すモノは同じジャンルがベスト。例えば、新しい靴を買ったら古い靴を1足処分。モノを買うときも慎重に吟味するようになるし、収納スペースに頭を悩ますこともありません」。
部屋にモノを入れない=過剰に買わないことが大前提。そのためにはまず、自分の"買い物グセ"を知ること。部屋を見渡し、最も数多く持っているモノが、自身がよく買いがちなアイテム。その上で、家計簿やレシート、手帳などで振り返って、どういう店でどんなシチュエーションのときに買い物をする傾向があるのかを分析しよう。
自分の買い物グセが分かったら、それをもとに、期間限定で「買わないチャレンジ」を実践。ターゲットは、これまで過剰に買っていたモノ。例えば、"会社帰りにコンビニでお菓子を買いがち"な傾向があるなら、"1週間だけコンビニに寄らない"ルールに。「最初は簡単なことから始めて、徐々にハードルを上げていくのも手」。
「家にまだ使えるモノがあるのに、店で出合った新しいモノをつい買ってしまうのが、家にモノが増える原因」と筆子さん。こうしたクセを防止するには、"買ったら48時間以内に使う"をルールにしてみて。「衝動的な買い物行動にブレーキがかかり、"買った後でどう使うのか"をイメージする習慣が自然に身に付くように」。
"あったら便利かも!"は、"なくても暮らしていけるもの"と心得て。「日本は便利グッズの宝庫。しかし、たいてい用途が限られているため、利用頻度が低く、場所も取ります。買い物をするときは、"他のモノで代用できない?"と思いを巡らせてみること。汎用性の高いアイテムが1つあれば、モノは増えていくことはありません」。
人からのお裾分けや贈り物をもらいがち、街で配られるティッシュやサンプルをつい受け取ってしまう…。「本来自分の意思で選び抜いたアイテムではないので、不要なモノが多い。結局処理し切れず、"誰にあげようか"などと考えるはめになり、"決断疲れ"を起こす場合も。最初から受け取らないほうが、振り回されずに済みます」。
モノが増え続ける理由は、固定観念にとらわれているせいかも。「"これがないと生活できない"と思い込んでいるモノは意外に多い。私はバスタオルをやめて、普通サイズのタオルで代用しています。洗濯がグッとラクになり、収納スペースも広く使えるように。水切りカゴや玄関マットなどもしかり。発想の転換にトライしてみて」。
この人に聞きました
ブロガー 1959年生まれ。カナダ在住の人気ブロガー。モノを捨てられないタイプだったが、20代後半にシンプルライフを志し、ミニマリストに。ブログ「筆子ジャーナル」主宰。著書は『1週間で8割捨てる技術』(KADOKAWA)など。
(ライター 西尾英子)
[日経ウーマン 2018年12月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。