ボルボが日本で「脱ディーゼル」に踏み出した理由

木村 しかも皮肉なことに、企業平均燃費がいいフランスのルノーも、プジョー・シトロエンも、ディーゼルから徐々に撤退しているのに、スキャンダルを起こした当のドイツ勢だけがディーゼルにこだわっている。なぜかというと、燃費のいいディーゼルがないと、欧州で求められている企業別平均燃費基準(CAFE)をクリアできないからです。CAFEの罰金は本当に厳しくて、平気で1台当たり数万円あるいは数十万円にまで達します。これをVWの台数で掛けたら、とてつもない罰金額になってしまいます。

小沢 確かにVW、メルセデス、BMWは脱ディーゼルどころかより新しいクリーンなディーゼルを躍起になって開発しています。

木村 同じディーゼルにこだわる企業でも、日本のマツダさんなどはユニークな技術をお持ちだし、理由が違うと思いますが、ドイツ勢がこだわる理由はCAFEとサプライチェーンですよね。自動車メーカーは部品メーカーと系列でつながっているから、ディーゼルをやめたらいきなり「おまんま食い上げだ」というメーカーさんがたくさん出るはずなんです。それなのにボルボは先にやめると決めた。日本でもインパクトがありますよね。

もちろんディーゼル車は燃費以外にもいいところがたくさんあって、エンジントルクが太いからストップ&ゴーが多い通勤でも運転がラクですし、余裕もあるんですが、もし5年後売ったときに本来値段が付けられる車両が「ゼロですよ」とか「ディーゼルだから取れません」となるのはプレミアムブランドとして絶対やってはいけないこと。だから早めにディーゼルを絞り込もうという決断に至ったのです。

ディーゼル車の走行の制限を示す標識(ドイツ北部ハンブルク市)

車種ごとに異なる対応

小沢 ボルボ・ジャパンでは、新型V60以外のボルボ車はどうするんですか?

木村 次に出るセダンの「S60」は日本、欧州でもディーゼルなしです。米国で造りますから。

小沢 ラージSUVのXC90はどうですか?

木村 今春ディーゼルを導入予定です。このくらいのセグメントになると長距離乗られるお客様が多くて燃費ニーズも強いし、ガソリンハイブリッドを搭載しても燃費をそれほど取り戻せないので。

小沢 その下のコンパクトはもちろんディーゼルなし?

木村 今はあるけどやめていくということですね、XC40のディーゼルは。インパクトが大きすぎるかと思って、ストレートに宣言はしていなかったんですが(笑)。

小沢 しかしボルボはジャッジが速いですね。木村体制ならではですか。

木村 いえいえ、本社と相談してですよ。

販売的には「かなり痛い」

小沢 ということはボルボ全体としてはいつディーゼルから完全撤退するんでしょう。

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