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「ライバルをおとしめない」 絶好調ボルボ社長の戦略

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NIKKEI STYLE

2年連続で日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したボルボ。販売も絶好調で、5年連続で前年超え。2018年は悲願の年間受注2万台を突破した。その成功の秘訣は何なのか。ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長に、2回に渡って話を聞いた。前編は2014年の就任以来、木村社長が行ってきた改革に迫る。

データ重視の木村流ID経営を導入

小沢コージ(以下、小沢) 2018年は悲願の受注2万台突破で、1996年以来の絶好調。秘訣はいったいなんなのでしょうか?

木村隆之社長(以下、木村) 18年発売のコンパクトSUV「XC40」が受注4000台の純増で、現在納車10カ月待ち。新型ワゴンの「V60」も18年9月の発売後、すでに1500台受注。それでいて16年に出したラージSUV「XC90」も、17年に出したミディアムSUV「XC60」も、販売台数が減るどころか一部増えているくらいで。

小沢 一見、新商品群が当たっている印象ですが、それだけじゃないですよね。木村社長がボルボに就任した14年から伸びている。スバリ絶好調の秘密を教えてください。

木村 実は僕、5年前にボルボに入ったときにびっくりしたんです。日本のボルボほど客層の良いブランドはないと。だって顧客の年齢中央値を取ると51歳から53歳で、平均年収が1300万円から1500万円くらいなんですから。これって完全にメルセデスさんやBMWさんやアウディさんと一緒。それでいてBMWさんやアウディさんの平均購入単価が500万円台、メルセデスさんが600万円台なのに、ボルボだけが350万円。こりゃダメだと。当時はコンパクトカーの「V40」を中心に安売りばかり。いいお客さんがいるのに自分たちでブランド価値を下げて本来のポテンシャルを生かしきれていない。

小沢 問題は商品力じゃない。売り方が間違っていたんだと。

木村 その通り。今ほど商品はそろっていませんでしたが、当時も決して悪くはありませんでした。

小沢 とはいえ安売りしていたものを途中から高くしても売れない気がしますが。

木村 この手のお客様は、ディスカウントよりバリューやプレミアムを求めているんです。正しい商品に正しい値付け、正しいオプションを付ければ必ず売れます。そもそもインポート物というのは本国の言いなりで、むちゃな値付けをしていたりするものですから。

小沢 要らないオプションばかり付いて、価格ばかりが妙に高いとか?

木村 そう、既存商品でもちゃんとした値付けと装備で納得していただければ、グレードが上のものが売れるんです。例えば本革シートが欲しくて、1つ上のグレードしか選べなくても、シートヒーターやパワーシートが付いていれば納得できますよね。

小沢 高いワインでも、いいチーズと生ハムがセットで出てきて、ちゃんと気持ち良くなれれば、客はお金を払うと。まずくて意味ないつまみが出てくるほうがよっぽどイヤで。

ボルボなのに先進安全がオプションなんて!

木村 それから安全装備をすべて標準にしました。エアバッグはもちろんのこと、先進安全機能の自動ブレーキや、最先端の歩行者エアバッグも。もちろん一番安いコンパクトのV40からです。そんなの、当たり前じゃないですか。ボルボのようなプレミアムブランドで、安全が売りなのに安全装備がオプションなどということは、あり得ません。

小沢 でもそれが長らくできなかった。

木村 それは僕が初の日本人社長だったということが関係しています。

木村 ボルボ・カー・ジャパンができてから41年間は外国人社長だったんです。彼らは日本人の感覚が分からないですし、しかも基本的に3年で交代してしまいますから。僕は最低でも5年はやると宣言しました。

小沢 3年から5年になることで、何が変わりますか?

木村 私が社長に就任してからすでに11のディーラーさんにやめていただき、新たに3つのディーラーさんに入っていただいています。外国人社長にはそれができないんです。ディーラーを切ると短期的には痛みを伴いますから。

小沢 そういう地道な努力で価格帯と販売体制を整えていった3年前、いよいよ待望の新世代のXC90が入ってきました。このビッグチャンスをどう生かそうと思いました?

木村 XC90に関しては、当初ディーゼルエンジンが日本には導入されない予定だったので、困ったなと思いました。今も大型SUVに関しては、欧州ディーゼルはパワーや燃費の面で魅力ですから。でもよく見ると2リッターガソリンターボのT5もバランスの取れたいいエンジンだし、ここでオプションを含めて魅力的なグレードの塊を作り、あとは競合にない7人乗り3列シート車を前面に押し出そうと。

小沢 確かに3年前は、プレミアムな3列シートSUVがほとんどありませんでしたね。

木村 そこで私は3列目の安全性を特に押し出せと指示したんです。ボルボはすべての席で、前の席と同等の安全性を作り込んでいますから。

小沢 販売店の意識改革は?

木村 そこも相当やりました。ボルボはデザインド・アラウンド・ユー、まずは人を中心に置き、その周囲をデザインするというクルマ作りをうたっています。メーカーがそう言っているのだから、あなたたちにもそれに応えてもらいたいと。そのコンセプトをセールス、接客の世界に落とし込んだら「顧客満足度No.1」の座を得られるに違いないと思いましたから。

他ブランドを決しておとしめないセールスに

小沢 木村社長の話を聞いているとすべてが理詰めですべてがごもっとも。でも実際にそれを現場に教え込むのって大変ですよね。

木村 まずは私がレクサス時代にやっていた手法ですが、セールスマンのドレスコードを作りました。具体的には専用のピンバッチを作った。

小沢 意識は高まりますか。

木村 はい。それと大きいのは新車が出るたびに毎回、サーキットにスタッフ全員を呼んでやる商品研修ですね。商品には絶対の自信がありますから、セールスだけでなくサービスマンにも乗ってもらって勉強してもらう。それと同時に競合車にも乗ってもらう。するとスタッフ全員が自分の言葉で商品を語り始めます。

小沢 セールスの説得力が増す。言葉が本物になりますよね。

木村 そのほか商品研修で徹底的にやったのは「他ブランドを決しておとしめない」です。

木村 それまではプレミアムを売るのに国産車のような売り方をしていたわけですよ。「今お持ちの他ブランドの車より、燃費がいいです」みたいな。それは違うでしょうと。自分が持ってる600万円のドイツ車をけなされてうれしい人なんて誰もいない。「アウディも素晴らしいクルマですよね、しかし……」と言えるようになれと。

小沢 まるでプロレスですね。敵の技を受けてから勝つ(笑)。

木村 そういう積み重ねがブランドを変えるということなんです。実際、「指名買い比率」という、クルマを買うときにボルボしか考えてないというお客様が、10ポイント近く上がりました。

小沢 まさに理詰め、まさにID経営ですね。プロ野球の野村(克也)監督の話を聞いているような気になってきました。

木村 高級品、プレミアムというものは、ジャンルによって通用する世界としない世界がハッキリとありましてね。いわゆるファッションはフランス、イタリアのラテン系が強いじゃないですか。ところがクルマは違うんですよね。日米欧のマーケットはもちろん、世界最大の中国から新興国までジャーマンスリー、つまりメルセデス、BMW、アウディが圧倒的に強いんです。

小沢 でも実際にXC40は2018年の日本カー・オブ・ザ・イヤーと「2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤー」を、XC60は2017年の日本カー・オブ・ザ・イヤーと2018年の「ワールドカーオブザイヤー(WCOTY)」をとりました。なぜなんでしょう。

木村 昔ボルボは安全・上質・頑丈が魅力で、「ぶつかっても死なない(くらいの安全性)」ということが最大のセールスポイントでした。それが今ではスウェーデン発のラグジュアリーテーストを前面に打ち出していて、デザインや色使い、素材感で、他にない味わいを出してます。しかもラージクラスの90シリーズからミディアムクラスの60シリーズ、2018年に出したコンパクトクラスの40シリーズまで、すべてを一新。商品力が全面的に上がっただけでなく、商品戦略が分かりやすくなったことが大きいでしょう。

小沢 結局、今の顧客平均単価はどれくらいなんですか。

木村 ジャーマンスリーと遜色なく、僕が社長に就任した2014年の業績を100とすると、2017年は台数が120、売り上げが150、2018年は台数が135で売り上げが170。

小沢 ということは、3年で売り上げが5割増し、4年で7割増しになったということですか。メチャクチャすごい。

木村 ありがとうございます。

◇  ◇  ◇

木村社長インタビュー、後編では「脱ディーゼルエンジン」に挑む理由について聞く。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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