MONO TRENDY

小沢コージのちょっといいクルマ

「ライバルをおとしめない」 絶好調ボルボ社長の戦略

2019/1/8

木村 それまではプレミアムを売るのに国産車のような売り方をしていたわけですよ。「今お持ちの他ブランドの車より、燃費がいいです」みたいな。それは違うでしょうと。自分が持ってる600万円のドイツ車をけなされてうれしい人なんて誰もいない。「アウディも素晴らしいクルマですよね、しかし……」と言えるようになれと。

小沢 まるでプロレスですね。敵の技を受けてから勝つ(笑)。

木村 そういう積み重ねがブランドを変えるということなんです。実際、「指名買い比率」という、クルマを買うときにボルボしか考えてないというお客様が、10ポイント近く上がりました。

小沢 まさに理詰め、まさにID経営ですね。プロ野球の野村(克也)監督の話を聞いているような気になってきました。

ボルボでは、サービスに従事する全スタッフを対象に世界規模でアフターセールスの技能競技大会「VISTA(Volvo International Service Training Award)」を実施している。写真は「VISTA 2018(ボルボ・アフターセールス技能競技大会)」の日本決勝大会のもの

木村 高級品、プレミアムというものは、ジャンルによって通用する世界としない世界がハッキリとありましてね。いわゆるファッションはフランス、イタリアのラテン系が強いじゃないですか。ところがクルマは違うんですよね。日米欧のマーケットはもちろん、世界最大の中国から新興国までジャーマンスリー、つまりメルセデス、BMW、アウディが圧倒的に強いんです。

小沢 でも実際にXC40は2018年の日本カー・オブ・ザ・イヤーと「2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤー」を、XC60は2017年の日本カー・オブ・ザ・イヤーと2018年の「ワールドカーオブザイヤー(WCOTY)」をとりました。なぜなんでしょう。

木村 昔ボルボは安全・上質・頑丈が魅力で、「ぶつかっても死なない(くらいの安全性)」ということが最大のセールスポイントでした。それが今ではスウェーデン発のラグジュアリーテーストを前面に打ち出していて、デザインや色使い、素材感で、他にない味わいを出してます。しかもラージクラスの90シリーズからミディアムクラスの60シリーズ、2018年に出したコンパクトクラスの40シリーズまで、すべてを一新。商品力が全面的に上がっただけでなく、商品戦略が分かりやすくなったことが大きいでしょう。

小沢 結局、今の顧客平均単価はどれくらいなんですか。

木村 ジャーマンスリーと遜色なく、僕が社長に就任した2014年の業績を100とすると、2017年は台数が120、売り上げが150、2018年は台数が135で売り上げが170。

小沢 ということは、3年で売り上げが5割増し、4年で7割増しになったということですか。メチャクチャすごい。

木村 ありがとうございます。

◇  ◇  ◇

木村社長インタビュー、後編では「脱ディーゼルエンジン」に挑む理由について聞く。

1965年、大阪府生まれ。大阪大学工学部卒。1987年、トヨタ自動車入社。2003年、米ノースカロライナ大学でMBA(経営学修士)取得。日本でのレクサス事業立ち上げに参画。07年、ファーストリテイリングを経て、08年に日産自動車入社。インドネシア日産、タイ日産社長などを経て退社。14年7月から現職
小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

MONO TRENDY 新着記事

MONO TRENDY 注目トピックス
日経クロストレンド
NTTドコモが店頭の看板から「ドコモ」を消したワケ
日経クロストレンド
日本初「カチッと鳴る」歯ブラシ ライオンが開発
日経クロストレンド
日本電産・永守重信会長 最後の大仕事は大学
日経クロストレンド
30代前半で世帯年収1000万超 好きなブランドは?
ALL CHANNEL