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小沢コージのちょっといいクルマ

「ライバルをおとしめない」 絶好調ボルボ社長の戦略

2019/1/8

ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長(右)と小沢コージ氏

2年連続で日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したボルボ。販売も絶好調で、5年連続で前年超え。2018年は悲願の年間受注2万台を突破した。その成功の秘訣は何なのか。ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長に、2回に渡って話を聞いた。前編は2014年の就任以来、木村社長が行ってきた改革に迫る。

■データ重視の木村流ID経営を導入

小沢コージ(以下、小沢) 2018年は悲願の受注2万台突破で、1996年以来の絶好調。秘訣はいったいなんなのでしょうか?

木村隆之社長(以下、木村) 18年発売のコンパクトSUV「XC40」が受注4000台の純増で、現在納車10カ月待ち。新型ワゴンの「V60」も18年9月の発売後、すでに1500台受注。それでいて16年に出したラージSUV「XC90」も、17年に出したミディアムSUV「XC60」も、販売台数が減るどころか一部増えているくらいで。

小沢 一見、新商品群が当たっている印象ですが、それだけじゃないですよね。木村社長がボルボに就任した14年から伸びている。スバリ絶好調の秘密を教えてください。

木村 実は僕、5年前にボルボに入ったときにびっくりしたんです。日本のボルボほど客層の良いブランドはないと。だって顧客の年齢中央値を取ると51歳から53歳で、平均年収が1300万円から1500万円くらいなんですから。これって完全にメルセデスさんやBMWさんやアウディさんと一緒。それでいてBMWさんやアウディさんの平均購入単価が500万円台、メルセデスさんが600万円台なのに、ボルボだけが350万円。こりゃダメだと。当時はコンパクトカーの「V40」を中心に安売りばかり。いいお客さんがいるのに自分たちでブランド価値を下げて本来のポテンシャルを生かしきれていない。

小沢 問題は商品力じゃない。売り方が間違っていたんだと。

木村 その通り。今ほど商品はそろっていませんでしたが、当時も決して悪くはありませんでした。

小沢 とはいえ安売りしていたものを途中から高くしても売れない気がしますが。

木村 この手のお客様は、ディスカウントよりバリューやプレミアムを求めているんです。正しい商品に正しい値付け、正しいオプションを付ければ必ず売れます。そもそもインポート物というのは本国の言いなりで、むちゃな値付けをしていたりするものですから。

小沢 要らないオプションばかり付いて、価格ばかりが妙に高いとか?

木村 そう、既存商品でもちゃんとした値付けと装備で納得していただければ、グレードが上のものが売れるんです。例えば本革シートが欲しくて、1つ上のグレードしか選べなくても、シートヒーターやパワーシートが付いていれば納得できますよね。

小沢 高いワインでも、いいチーズと生ハムがセットで出てきて、ちゃんと気持ち良くなれれば、客はお金を払うと。まずくて意味ないつまみが出てくるほうがよっぽどイヤで。

青山に開業したブランドコンセプトストア「ボルボ スタジオ 青山」は2017年10月のオープンから1年で、来場者が4万人を超えた

■ボルボなのに先進安全がオプションなんて!

木村 それから安全装備をすべて標準にしました。エアバッグはもちろんのこと、先進安全機能の自動ブレーキや、最先端の歩行者エアバッグも。もちろん一番安いコンパクトのV40からです。そんなの、当たり前じゃないですか。ボルボのようなプレミアムブランドで、安全が売りなのに安全装備がオプションなどということは、あり得ません。

小沢 でもそれが長らくできなかった。

木村 それは僕が初の日本人社長だったということが関係しています。

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