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魔法の服薬法 子どもの心くすぐる「おとな飲み」とは 子どもへの薬の上手な飲ませ方(3)

日経ドラッグインフォメーション

2019/1/20

子どもが見ているポスターには何が示されているでしょう。答えは記事中にあります(写真提供=稲垣美知代氏)
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小児科門前の薬局で子どもの服薬指導に日々奮闘する薬剤師で、『極める!小児の服薬指導』(日経BP社)の著者でもある松本康弘さんが、子どもに薬を飲んでもらうための工夫を紹介します。明日から使える具体的なノウハウ満載です。

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子どもへの薬の上手な飲ませ方として「薬を嫌がる子ども どのくらい飲めれば大丈夫?」「横抱きで少しずつ… 乳児に薬を飲ませる4つのコツ」と書いてきましたが、その第3弾、「おとな飲み」です。

雑誌などで、小児の服薬指導が取り上げられると、苦い粉薬の飲ませ方として、食品との混合がよく紹介されています。私も薬剤師になりたての頃は、学会や雑誌で「薬の飲み合わせ」が書かれていると、必死になって書き写していました。それらの情報を利用して、「この苦い○○という薬、飲めないときには△△に混ぜてね」と何の疑いもなく保護者に伝えていました。

しかし、私が子どもの頃、親は甘くせずに、頑張って飲むようにと言っていました。粉薬を食べ物と混ぜて飲ませるという指導は、薬を飲む基本である「薬は水で飲む」ということからは外れています。

ある程度の年齢に達したら、本人に理解してもらい、自ら進んで飲んでもらうことを勧める指導が必要です。そのためにはどうしたらいいんだろうと悩んでいたときに出会ったのが、「おとな飲み」です。

■使うのは、同じくらいの年齢の子どもの写真

「おとな飲み」では、アイスもお薬ゼリーもチョコも使いません。使うのは同じくらいの年齢の子どもが上手に飲んで、得意そうにしている写真だけです。それを見て自尊心をくすぐられて、頑張って飲む気にさせるというものです。

この「おとな飲み」はいながき薬局(東京都立川市)に勤務されていた稲垣美知代先生(現在は退職)が考案し、数年前から同薬局で実施されている服薬指導です。今回は、第24回日本外来小児科学会の「熱血リレー」で発表された内容[注1]から紹介します。

「おとな飲み」の基本は、「水」で服用することです。保護者の方に頼み、子どもが水で粉薬を飲む一連の行為を写真にして、患者指導用ツールを作りました。患者指導用ツールには大きな文字で「じょうずに『おとなのみ』」と書いて、子どもの目の届きやすいところに常時置いておきます。

これが冒頭の写真で子どもが見入っていた「おとな飲み」ポスターです(写真提供=稲垣美知代氏)

指導の対象は女児なら3歳半以上、男児なら4歳以上です(女児の方が少し精神の成長が早いからでしょうか)。まず保護者に、「現在の粉薬は味が改良されており、子どもが飲みやすくなっている」ことを説明します。これによって保護者の薬に対する苦手意識を取り除きます。次に患児に目線を合わせて、患者指導用ツールを示しながら直接話しかけます。

例えば、「この子は4歳のお兄ちゃんなのよ。粉薬をこんなに上手に『おとな飲み』できるの。こうすると薬の味もしないしお水と一緒にスーッと飲めてとても楽なのよ。どう、◯◯くんもやってみる?」などです。

多くのお子さんはOKしてくれます。話が決まったら保護者に以下を説明します。

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