全編にわたって登場するちょっととぼけた味のキャラクターが、表情豊かに「ヤバイ! がんばろう!」とか「はっきりいってイミフメイ!」とか、手書き文字で合いの手を入れたりポイントをついたりしてくれるのが楽しい。普通の活字フォントで組まれた図表的な部分と手書き文字でキャラクターが動く部分のバランスがちょうどよく、難しそうな本でもその読みどころを読者にひき付けて教えてくれる。
取り上げた本は『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』『ティール組織』『やり抜く力』『サピエンス全史』など、ここ2~3年のベストセラービジネス書が目白押し。『イノベーションのジレンマ』といった経営学の古典的名著や、強制収容所の内部の様子と収容者の心理状態を克明に記した『夜と霧』も取り上げる。
もちろん日本人の著作も楠木建『ストーリーとしての競争戦略』や伊丹敬之『経営戦略の論理』、山本七平『「空気」の研究』など、多彩に取り上げられている。
全体は4章構成。「『個人』の生き方を考える」「『人間』の本質を理解する」「『企業・組織』の本質を考察する」「『世の中』の変化を予測する」の4章で、企業・組織に関する本が15冊で一番多い。「店頭での動きがいい本のひとつ。比較的若い読者が手にとっていく」と、ビジネス書を担当する本店マネジャーの川原敏治さんは話す。
定番の経済予測本が堅調
それでは、先週のランキングを見ておこう。今回は10位までを表に掲げる。
(1)女性発の働き方改革で男性も変わる、企業も変わる | 小島明子著(経営書院) |
(2)「会社に眠る財産」を掘り起こせ! | 岡村衡一郎著(朝日新聞出版) |
(3)教養としてのワイン | 渡辺順子著(ダイヤモンド社) |
(4)きびだんごの法則 | 神木優著(グッドブックス) |
(5)会計の世界史 | 田中靖浩著(日本経済新聞出版社) |
(6)モテる読書術 | 長倉顕太著(すばる舎) |
(7)未来の投資術 | 宮脇咲著(扶桑社) |
(8)大前研一日本の論点 2019~20 | 大前研一著(プレジデント社) |
(9)見るだけでわかる!ビジネス書図鑑 | グロービス著(ディスカヴァー・トゥエンティワン) |
(10)2019 長谷川慶太郎の大局を読む | 長谷川慶太郎著(徳間書店) |
(八重洲ブックセンター本店、2018年12月9~15日)
1位の働き方改革の本、2位の企業のコアを探して経営革新する手法を説いた本はいずれも著者イベントで売り上げを伸ばした。4位の桃太郎を題材にした自己啓発本も同様だ。店頭での売り上げ上位は3位と5位のビジネス教養書。8位と10位に定番の経済予測本が入っているのが同店の売れ筋の特徴だ。紹介した本は9位にランクインした。
(水柿武志)