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日本出店も視野に パリで大人気の「天才」パティシエ

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NIKKEI STYLE

2018年3月、パリの最高級ホテル、日本人旅行者にとっても憧れの的の「ル・ムーリス」内にオープンした小さなテークアウト菓子専門店には、今もなお行列が絶えない。世界各国の旅行者が短い滞在中にわざわざ訪れ、舌の肥えたフランス人マダムも足しげく通う。週末ともなると1時間待ちはざらだ。人気の秘密は、パティシエ界の若きプリンス、セドリック・グロレ氏が創り出す、従来のケーキの概念を覆すようなパティスリー。今秋、仏版Vanity Fair誌の「世界で最も影響力のあるフランス人50人」にも選ばれたグロレ氏に、菓子作りへの思いを聞いた。

――26歳でル・ムーリスのシェフパティシエに抜てきされ、32歳で料理界のアカデミー賞といわれる「レ・グラン・ターブル・デュ・モンド」で世界ベストパティシエ賞に輝きました。2017年には「レ・グラン・ターブル・デュ・モンド」、2018年には「ワールド・ベスト50レストラン」で、世界ベストパティシエ賞を獲得。フランスメディアは「天才」と賛辞を惜しみません。

2年連続で世界一を達成したのはパティシエとして初の快挙で、自分自身とチームにとって最高の栄誉で、大変誇りに思います。同時に、多くのお客さまがそれにふさわしいかを見極めにいらっしゃいますので、そのタイトルに見合うようにと、良いプレッシャーを感じています。

――いつ頃、なぜ、パティシエになりたいと思うようになったのですか。

祖父母がホテルのレストランを経営していたので、祖父が料理するのを10歳の頃からよく手伝っていました。家でも大好きな菓子作りに明け暮れていたのですが、ある日、両親に「そんなに好きならプロになったら」と薦められ、12歳のときに初めてパン屋で1週間見習い修業をしたんです。1週間、本当に一生懸命働きました。

そうしたら、パン屋の店主が両親に電話をして「息子さんは並外れて素晴らしい。パティシエになるべきだ」と褒めてくれて。両親はそれまで、「よくない」とか「うるさい」「ふざけてばかり」と言われるのしか聞いたことがなかったので、息子の良い評判を初めて聞いてとても誇りに思っていました。そのときにパティシエになろうと思ったのです。

――2018年3月、ムーリス内に自身の店を初めて出したことで、それまでホテルのレストランでしか口にできなかったケーキをテークアウトでも楽しめるようになりました。

大きな挑戦でした。僕のケーキはとても繊細なので、テークアウトでは新鮮でしかも長持ちするよう、レシピをすべて作り直しました。(100万人超のフォロワーがいる)インスタグラムなどの影響もあり、外国人のお客さまがとても多いのですが、ホテルのお膝元、パリ1区にお住まいのフランス人の常連さんも毎日のようにいらっしゃいます。

ホテルの近くには、ラグジュアリーブランドが立ち並ぶバンドーム広場もあるので、高級ブティックにお勤めの方が、(1個170ユーロの)ルービックスケーキを、お得意先へのギフトなどに買っていかれることもありますね。週の後半、特に土曜日は混む、12時のオープンには1時間から1時間半の行列ができます。通常15時半頃にはケーキがすべて売り切れます。

――スペシャリテは何ですか。

果物を彫刻したシリーズですね。旬の果物を使い、モダンでありながら、シンプルさを追求した作品です。ケーキ作りにおいては、いかにシンプルにするかを常に考えています。パティシエはよく、様々な素材を盛り、どれだけ詰め込むかを考えがちです。でも僕のケーキを見てください。装飾も無駄もない。僕はシンプルであることを哲学として捉えています。シンプルで、かつ最高のものを作る。これは極めて難しい。哲学としても、そして実際問題としても。でも、あえて味をそぎ落して、核となる味だけを求めて作っています。

シンプルであることは、ムーリスで共に仕事をする、(フランス料理界の巨匠)アラン・デュカスから学んだことです。シンプルにすることはある意味、リスクを取ることでもありますが、そのシンプルさが、2年連続世界一というタイトルにつながったのだと思います。

――仕事をする上で大切にしていることは何ですか。

お客さまを喜ばせることですね。お客さまの喜ぶ顔を見る、それが僕にとって何より大切なことです。僕のケーキを食べて、お客さまが笑顔にならなかったら、もっと頑張らなきゃと思います。ここへ歩いてくる途中で、お客さまに呼び止められて「あなたの大ファンです」と言われたんです。そういうのはこの上ない喜びですね。

それから(大理石模様の特注の箱に入ったケーキを差し出し)宝石のように、いかに美しく見せるかにもこだわっています。「美は人をひきつけ、美味は人をとりこにする」と信じています。

――日本に興味はありますか。日本の料理界をどう思いますか。

日本は、最も興味深い国です。自分のクリエーションに一番合っていると思います。3年前に(シンプルさを追求する)自分の創作コンセプトがはっきりと定まり、その後、2017年9月に初めて日本を訪れたのですが、自分のコンセプトを再確認できた旅でした。和食は、素材を大事にして、あれこれ混ぜ合わせたりしない。そして、最高の食材でできる限りシンプルに作る。それが、自分のケーキと共通しています。

日本と聞いて一番に思い浮かぶのは、やはり尊敬という言葉ですね。仲間に対して、上司に対して、あらゆるベースにリスペクトがあると感じます。それが洗練された料理や菓子、包装、テーブルのプレゼンテーションに至るまで、すべてにつながっていると思います。

――これまで決して順調というわけでもなかった? どんなことに苦労されたのでしょう。

家族や友人との時間を犠牲にして仕事に打ち込んでいるので、一緒に過ごす時間が少ないのが辛いですね。でも、抜きんでるためには、仕事に打ち込まなければならない。仕事、仕事、仕事です。(ムーリスの前に勤めていた)フォションでは下っ端でしたが、同僚の2倍働きました。なぜなら、一番になりたかったから。一番といっても、ただの一番じゃない。とにかく最高を目指してきました。

このムーリスで仕事をすることはこれまでで一番、挑戦のしがいがあります。30人ほどのチームを動かさないといけませんし、自分の店舗に加えて、ホテルのレストランのランチ、ティータイム、ディナー、さらには宴会やルームサービスなどがあります。正直、すごく難しい。あらゆる場所の、すべてのお客さまを満足させないといけないですし、ホテル中の様々な局面で決断を下さなければならない。

これから新年会もあり、バレンタインもあり、イベントの合間を縫って特注の仕事もこなす。とにかくノンストップです。毎日がチャレンジングで、自分の人生にとって最大の挑戦ともいえます。世界中どこを見ても、これほど多様なスタイルに対応するパティシエはほかにいないのではないでしょうか。ただひとつ、ムーリスの最上階にあるロイヤル・スイートから月にケーキを送ることはまだ実現できていないですけどね(笑)。

――今後の目標をお聞かせください。

(パリ以外の)世界の大都市にも自分の名を冠した店を開くのが夢です。とはいっても、20店舗や30店舗ではなく、2店か3店のみにしたい。パリでも出店のお誘いがありますが、すべてお断りして、パリはムーリス1店舗にこだわっています。

アジアに1店もしくは2店展開するのが今の目標です。日本か中国か韓国か、それはまだ言えませんが、2年ほどかけて準備しています。新店舗を開くからには、すべてにこだわりたい。新店舗では、現在のムーリスとは少し違ったスタイルを目指そうと思っています。

現在はマスタークラス(特別講義)などで世界中を回っていますが、もう少し歳をとって、50歳か60歳ぐらいになったら、学校を創りたい。パティシエとしての、自分の哲学やノウハウを次世代につないでいきたいと思います。それから、人生の最後には、自伝を書きたいですね。

(パリ在住ライター 吉田理沙)

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