日産、ソフトバンク、革新投資機構の問題(安東泰志)ニューホライズンキャピタル取締役会長

画像はイメージ=123RF
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「日産自動車、産業革新投資機構、ソフトバンクグループには企業統治という共通問題がある」

年の瀬に向け、日産自動車、産業革新投資機構(JIC)、そしてソフトバンクグループ(SBG)の3社が世間をにぎわせている。日産はカルロス・ゴーン元会長の逮捕・解任と後任人事を巡る仏ルノーとの不協和音、JICは民間出身役員の高額報酬問題に端を発した経済産業省との対立、SBGは通信子会社ソフトバンク(SB)の株式上場だ。

それぞれ別のトピックのように見えるが、実は共通した問題をはらむ。企業統治(コーポレートガバナンス)の問題である。

まず、田中正明社長はじめ民間出身の取締役9人が全員辞任する事態に発展したJIC。田中氏は記者会見で「(報酬などを巡り)経産省からの提示が次々と変更された。こうした信頼関係の毀損行為が辞任の理由だ」「法治国家でない」と経産省を批判した。

社長を含む取締役は株主の代理人として利益を実現

しかし、社長を含む取締役は株主の代理人として株主の利益を実現することが使命である。JICの株式は100%近くを政府が握り、経産省との内々のやり取りがどうであれ、最終的には政府の意向に従うのは当然といえる。

ましてや、JICは政府保証を含め約2兆円規模のお金を投入する事業である。政府は株主としてのみならず、出資者・債権者としても国民の声を代弁しなくてはならない。この点では、経産省側に理があるといわざるを得ない。

一方、日産やSBで問われているのも株主の代理人としての取締役の役割である。両者には「親子上場」の問題が存在する。

日産はルノーが株式の43.4%を握る。取締役も派遣しており、実質的な親子上場といえる。SBは典型的な親子上場であり、上場後もSBGが6割強を握り続ける。

親子上場の弊害については2018年2月のコラム「ソフトバンク 親子上場に理解得られるか」で記した通りだが、親会社の利益が優先されるあまり、少数株主(一般株主)の利益が阻害される恐れがある。

取締役は株主の代理であり、特定の株主を優遇することは許されない。東証が定めるコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)にも「上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使にかかわる環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべき」との記載がある。

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