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「高還元」うたうキャッシュレス払い 魅力と注意点は

2018/12/21

「破格の還元の可能性があるから、キャッシュレス決済はやめられない」。東京都在住の会社員(29)もうれしそうに話す。買い物は基本的にKyashで支払い、クレジットカードの「楽天カード」とひも付けている。Kyashと楽天カード双方の還元を受け、これだけで還元率は3%超だ。「様々な販促キャンペーンを組み合わせ、キャッシュレス決済で月5%以上の還元をめざしている」という。

新規参入の増加などを受け、キャッシュレス決済は今後も増える見通し。野村総合研究所によると国内のキャッシュレス市場規模は2024年、17年に比べ67%多い122兆円となる見込みだ。

一方で使うにあたっては注意すべき点もある。スマホ決済や電子マネーを現金に戻すには、コストがかかる場合が多い。たとえばLINEペイの残高を銀行口座に出金する際は216円の手数料がかかる。

各社のキャンペーンは、期間や総額を限っていることが多い。業界に詳しいカンム(東京・渋谷)の八巻渉社長は「各社とも販促予算には限界もあり、還元内容が低下すれば、利用者は別サービスに移りがち」と指摘する。販促情報を常に把握する姿勢がいる。

システム面の不安もある。ペイペイは100億円還元キャンペーンの開始後、システム障害が発生し、店舗で決済サービスが使えない時間帯があった。ソフトバンクの携帯電話サービスが6日、一時使えなくなるトラブルがあったが、通信網が使えなくなれば、当然決済も滞る。Kyashも二重決済が起こりかねないトラブルを何度か起こしている。成長過程だけにトラブルはつきものともいえるが、大事なお金だけに、注意が必要だ。

■「加盟店手数料ゼロ」を掲げる

利用者キャンペーンの裏では、スマホ決済の新興勢による激しい加盟店争奪戦が起きている。

「QRコードがあるだけでお客が来る可能性が高くなるのはありがたい」。東京都墨田区にある「キラキラ橘商店街」の一角にあるパン店の店主は売り物のパン類の横に掲示したQRコードを指さしながら顔をほころばせる。

買い物客はスマホをこのQRコードにかざせば「ペイペイ」で決済できる。中国アリババ集団が展開する決済サービス「アリペイ」も使えるため、訪日観光客の来店も期待できる。QRコード決済には店にQRコードを掲示するタイプと、顧客のスマホ画面のQRコードを、決済会社が配布する専用読み取り機で決済するタイプがある。読み取り機を使わない方を選ぶと店が支払う手数料は約3年間無料になる。「LINEペイ」なども同様のキャンペーンを展開している。

中小規模の店がキャッシュレス決済に後ろ向きだったのは、カード会社などに支払う平均3.24%にのぼる手数料負担が大きかったため。スマホ決済のキャンペーンでハードルが下がった。

破格のキャンペーンの背景にあるのは、使える店をいち早く増やさなければならないという危機感だ。

LINEの「LINEペイ」の加盟店は100万店を超え、さらに増やす方針だ。「楽天ペイ」はローソン(2651)、ファミリーマートといった主要コンビニをはじめ、様々な業態の加盟店を増やす。楽天カードを使えばポイント還元率が1.5%に高まる仕組みで、楽天のグループ顧客に誘導する。

一方で競争激化を受け、早くも事業を縮小する企業も出てきた。エニーペイ(東京・港)は、個人間送金・割り勘サービス「paymo(ペイモ)」を19年5月に取りやめると発表した。サービスを終えるとポイントが使えなくなる可能性があるため、注意が必要だ。目先のキャンペーンだけにとらわれて決済手段を選んだ結果、使い勝手が悪かったり、サービスが続かなかったりすることがないよう運営主体の経営体力にも気をつけたい。

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