「高還元」うたうキャッシュレス払い 魅力と注意点は

2018/12/21

マネートレンド

写真はイメージ=PIXTA
写真はイメージ=PIXTA

長らく現金主義が幅を利かせていた日本に、キャッシュレス化の波が押し寄せている。スマートフォン(スマホ)やアプリの普及、国の後押しなどが背景にある。キャッシュレスで得する方法と留意点、今後の見通しを探った。

ポイント還元競い、顧客取り込み

「20%キャッシュバックします!」。12月に入って話題を呼んだのが、ソフトバンクグループ(9984)とヤフー(4689)が共同出資するスマホ決済のペイペイ(東京・千代田)が4日に始めた「100億円還元キャンペーン」だ。破格の大盤振る舞いに利用者が殺到、わずか10日で終了した。

東京・渋谷のヤマダ電機(9831)の大型店で、米アップルの約4万円のタブレット端末「iPad(アイパッド)」をペイペイで購入した横浜市の会社員(39)は「8000円分近く戻るのはうれしい。還元された分は地元のコンビニで買い物に使う」と喜んでいた。

20%という高還元率で攻め込んだペイペイ(東京都渋谷区の家電量販店)

ペイペイは小売り大手ではヤマダ電機、ビックカメラ(3048)、ファミリーマートで使える。各社のポイントサービスを上乗せできる。ヤマダ電機とビックカメラでは8%分上乗せされるため、合わせて3割近くがポイントとして返ってくる仕組みになっていた。

スマホ決済は戦国時代を迎え、顧客の取り込みに向けたポイント還元競争が盛り上がっている。対話アプリ大手LINE(3938)が展開する「LINEペイ」では、月間利用額に応じて0.5~2%の還元を受けられる。バーコードに似た役割を果たすQRコードで決済すれば、還元率は3.5~5%に上がる。

決済ベンチャーのOrigami(東京・港)の「Origamiペイ」は12月から、牛丼チェーン「吉野家」全店で使えるようになった。これに合わせて年末までの期間限定で「Origamiペイ」を使えば牛丼並盛りが半額になるキャンペーンを17日から始める。楽天(4755)の「楽天ペイ」の還元率は通常0.5%だが、来年1月末までワタミ(7522)のチェーン店で使うと10%の「楽天スーパーポイント」がもらえる。

こんなお祭り騒ぎをよそに、還元サービスの「合わせ技」で、日常的にポイントをため込む人もいる。

埼玉県の40代主婦が常に財布に入れているのは、スマホ決済のKyash(東京・港)が発行するプリペイドカード。月間利用額の2%が翌月戻ってくる仕組みだ。同社の決済のユニークなのはスマホだけでなく、カードとしても使える点。プリペイド式の「Kyash Visaリアルカード」で、原則VISA加盟店ならどこでも使えるが、クレジットカードではないので審査もなく、未成年でも使える。

若年層で電子マネーのプリペイドカード利用が増えている

実際にはこんなふうに使っている。この主婦は息子の通学定期券代を、あえてクレジットカードにひも付けたスマホ決済で息子に送金する。ここでカード利用に対する0.5%のポイントが生じる。さらに息子は、Kyashのカードで定期代を支払う。これで2%分のポイントが発生する。計2.5%分のポイントを稼げる仕組みだ。毎月2500円分程度戻ってくる。主婦は「私は友人との会食に使い、息子はほしいカメラを買うためにためている」と満足げだ。

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