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就活をするにあたって考えてほしいこと

僕ら流・社会の変え方(29)

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2019年卒の皆さんは、自分の志望業界や志望企業を絞り込んだり、業界や業種への理解を深めるために業界研究や企業研究、自己分析などをしたり、採用選考に向けてさまざまな準備を進めていることでしょう。僕のところにも学生から就活についての相談をよくされますが、これまでの自分を分析することに加え、さらに考えてもらいたいことがあります。それは、この先の人生を通して何をやりたいのか、また、社会のどんな課題に向き合い、その中で自分はどんな役割を果たしたいのかということです。

そこで今回は、就職活動において社会課題と向き合う必要性について、3つのパートに分けてお伝えしたいと思います。

業界研究は必要?

まず、考えたいのが、業界研究は本当に必要なのかということです。なんとなく周りもやっているし、やらなければならないという漠然とした焦りから、様々な書籍などを手にとって、今後伸びる業界、人材が求められている業界などを調べ、そのための知識や技術を集中的に身につけようとしている人は多いかと思います。しかし、今、様々な業界は企業の再編や、新事業への参入に伴い、どんどん変化を遂げています。特にAIなどのテクノロジーの台頭で、どの業界もITと関わらずにはいられなくなってきていますし、副業・兼業の解禁は、様々な業界の中で人材が入り混じり、そこから新たな事業が生まれたりする状況をよりつくりやすくしています。

私のよく知るホームセキュリティーの会社は、10年ほど前までは、鍋ややかんなどの生活金物、ドライバーやハンマーなどの工具類、それに扉のノブや取手などの家具金物を売る、いわゆる街の金物屋さんでした。店の一角で合鍵などをつくっていたのですが、一人暮らし高齢者などの防犯対策や企業のセキュリティー対策がより求められる時代の趨勢を読み、今では家の鍵から企業の入退出管理まで一貫して行うセキュリティーの専門会社になりました。最近では、センサー技術の発展にともない防犯カメラの需要が増えているほか、セキュリティーから発して企業全体のコンサルティングも行うようになっているとのことです。販売業に興味を持って就職した人はこの変化にさぞ驚いていることでしょうが、社長さんには社会課題を的確に捉える先見の明があったと言えるでしょう。

今の小学生が働き始めるころには、今ある仕事の半分が入れ替わっているという予測が国内外で出されているほか、アメリカの未来学者レイモンド・カーツワイル氏によれば、2045年には「シンギュラリティ(技術的特異点)」、すなわち「人類の知性を超越する非生命的な知性」が出現し、私たちの想像を超える社会の大変革が起こるのだといいます。これからの社会では、業界や職種を選ぶより、変わっていく社会の中で、何のためにどんな仕事をしたいのかということが、より大切になっていくことでしょう。

働き方改革に伴い、個人の「社会的価値」が重要に

ところで、最近、ニュースを見ると国会等で盛んに議論されているのが「働き方改革」です。裁量労働制の方の賃金や総労働時間の規制ばかりに注目が集まっていますが、忘れてはいけないのは、政府が企業に副業やパラレルキャリア、テレワークなど多様な働き方を推奨している点です。そうした流れを受けて、いくつかの企業は一度家庭に入り職場復帰を目指す女性や専門性を持つ人を中心に、就業形態などにとらわれない採用方法を模索しているほか、社員の副業を促すために様々な取り組みを進めています。

例えば、8年で離職率を28%から4%にした株式会社サイボウズでは、「より多くの人が、より成長して、より長く働ける環境を提供する」というポリシーを定め、ワークライフバランスに配慮した制度や、退社しても再入社できる制度、それに社内コミュニケーションを活性化する制度を導入。「社内部活動」の促進や副業の解禁なども行いました。また、ソフトバンクは、1万人規模で「スーパーフレックスタイム制」を導入。業務効率化により創出できた時間を自己成長の機会に投資してもらうべく、正社員に毎月1万円の支援金を給付しているということです。副業を許可し、他社との交流会を実施するなど、社外活動によるイノベーションの創出を促進していると言えます。

一方、私が考えているのは、今後、企業が社員の派遣先としてNPOなどのソーシャルセクターを推奨するケースが増えること、そして社員もそうした分野で副業する人が増えるということです。以前、この連載で、ある通信会社の人事担当者が、震災後、支援のため、また新たなビジネス開発のために優秀な社員を率先して被災地に送っているという話をしましたが、その理由は、人口減少社会にあっても社会課題を解決するような商品やサービスは今後社会で必ず必要になるはずであり、地方の社会課題を「先取り」することになってしまった被災地に人材を送ることは、社会貢献的な意味だけでない価値を持つということでした。 企業は今後、副業の解禁に伴って、社内のイノベーションをより一層進めるべく、NPOなどのソーシャルセクターとの付き合いを多面的に深めていくことになるでしょう。

そうなると個人に必要なのは、会社にいようとNPOにいようと、共通の、社会課題の解決のためにどんなスキルを身につけ、どんなことをやっていくのかという視点と、その実績により個人の「社会的な価値」を高めていくという行為です。企業の中でひたすら業績を上げることに専念するのではなく、社会への貢献度を意識し、社会に求められる人材になることです。アメリカではビジネスに特化したSNS、「Linkedin」というダイレクトリクルーティングサービスが急成長を遂げていますが、日本にもいずれそんな社会が訪れるでしょう。

社会課題の複雑化

最後に考えておきたいのが、今後ますます真剣に向き合う必要がある社会課題が複雑化しているという点です。少子高齢化やライフスタイルの多様化に伴い、地域では一人暮らし高齢者や孤独死が増加し、待機児童が社会問題になるなどする一方、商品やサービスは、一人ひとりの生き方にあった多様なものが求められるようになってきています。そんな中、従来のように個別の専門家にバラバラに課題解決を求めるのではなく、多様な分野で多様な志向の持った方が協力して最適な解決方法を見つけ出す必要性が出てきています。

だから皆さんに求められているのは、学生時代に自らの社会的価値を高めるため、自分が関心のある企業やNPO、自治体でインターンシップをして専門性を磨く一方、そうした経験の中で多様な人とつながって、一緒に何かを成し遂げることです。一つの分野にとどまらず、より多くの経験を通して、SNSの中では出会わない人と出会う努力を続けてください。そうすれば、自分の思考の幅も広がり、その中から、自分がしばらくの間取り組みたいテーマも見つかるかもしれません。

僕は、大学3.4年生、あるいは大学院1.2年生で、自分が一生をかけて取り組みたいことや、これからの社会にとって必要なことが見つかるとは、必ずしも思っていません。今の僕も、模索する毎日です。だから就活では、自分が今気になっている社会課題は何か、またそれを解決するために自分ならどんなことができるのかを、自分の経験と照らし合わせながら探ってみることが大切になります。

僕の場合は、9.11で大切な友人の親戚をなくし虚無感に苛まされた結果、頭で考えてばかりでなくとりあえず足を動かしてみようと、国際問題の解決に取り組む様々な活動に参加しました。当時の仲間と学生団体を立ち上げ、イベントも行いました。動いてみると様々な反響を得られ、メディアにも取り上げられました。それらの活動を通じて、NPOのPR力を高める方法を学びたいと思い、広告会社の博報堂を選びました。その後、様々な課題にぶち当たる中で、議員やNPOの代表を務めることになりました。仕事の内容は変わっても、その時々の職場で出会った人は自分の財産となり、今でも様々な場面で活動をサポートしてくれています。

大切なのは、自分が心から解決したいと思える社会課題を探し続け、そこに挑み続ける姿勢だと、僕は思います。たとえ学生時代に見つからなくても、とりあえず今の時点のベストを選べばいいんです。まずは、自分の尊敬する先輩が「社会のために」といきいきと働くことができている会社を選べばいいと思います。そして、就職してビジネスを学び、AIなどの最新技術を学び、コミュニケーション能力を身につけ、自分の武器を研ぎ澄ましてから、また悩み、考えてみてください。

横尾俊成(よこお・としなり)
 NPO法人グリーンバード代表/NPO法人マチノコト代表/港区議会議員(無所属)/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程に在籍中。早稲田大学大学院修了、広告会社の博報堂を経て現職。まちの課題を若者や「社会のために役立ちたい」人の力で解消する仕組みづくりがテーマ。第6回、第10回マニフェスト大賞受賞。月刊『ソトコト』で「まちのプロデューサー論」を連載中。著書に『「社会を変える」のはじめかた』(産学社)、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』(フィルムアート社)。
HP:http://www.ecotoshi.jp
Twitter: @ecotoshi

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