「ことばのシャワー」で未来が変わるやる気スイッチを入れよう(22)

明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所長 菊入みゆき

明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所長 菊入みゆき
2017/1/12

昨夜見たテレビドラマの主人公のセリフ、さっきまで雑談していた友達が言ったことば。私たちは、毎日、ことばのシャワーを浴びています。

この言葉のシャワーは、私たちのやる気に影響を与えています。

恋愛映画で恋する気分に、戦闘シーンで戦いモードに

映画を観たあと、しばらくの間、その映画の気分を引きずることがあります。例えば、恋愛映画を観たあとは、恋愛モードの甘い気分になり、戦闘シーンを観たあとは、戦いモードの攻撃的な気分になったりします。

こうした気分の引きずり現象は、映画のテーマや舞台設定の影響によるものもありますが、主人公が語るセリフの影響もあります。恋愛映画で語られる、「会いたい」「好きだよ」などの愛のことばや、戦闘シーンでの「突撃だ」「戦え」などの戦闘的なことばが、私たちの記憶に残り、気分や行動を左右します。

映画のセリフだけでなく、日常生活の中で読んだり聞いたりしたことばに、私たちは影響を受けています。厳密に言うと、ことばの意味に影響を受けるのです。

ことばで成果が変わる

ニューヨーク大学でこんな実験が行われました。大学生を、A、Bの2グループに分け、それぞれ7枚のカードを使ったことば遊びのゲームをしてもらいます。Aグループのカードには、「勝つ」「成功する」「努力する」「競う」「成し遂げる」「達成する」「打ち勝つ」ということばが書かれています。一方、Bグループのカードには、「牧場」「絨毯」「川」「シャンプー」「駒鳥」「帽子」「窓」ということば。ゲームをした後、今度は別のパズルを解いてもらうのですが、Aグループの学生の方が、パズルの成績が、明らかに良かったのです。

カナダのマギル大学では、ランニングマシンで運動をする実験が行われました。Aグループでは、隣のマシンの人が、「運動、大好き」「とても楽しい」「もっとやりたい」と言っています。Bグループでは、隣の人が、「運動、大嫌い」「お金がもらえるからやってるだけ」と言っています。すると、Aグループの大学生の方が、より強く運動し、心拍数が上がり、運動の時間も長かったのです。

脳が活性化する

私たちの脳は、あることばを読んだり聞いたりすると、そのことばが表す意味を察知し、その意味に当たる部分が活性化する、と言われています。

ことば遊びのゲームで、Aグループの学生は、カードのことばから、「達成」「努力」などの意味を察知し、その部分が活性化したのでしょう。活性化した状態のままパズルを解いたので、努力して高い成果を達成したのです。

ランニングマシンのAグループは、隣の人のことばから、「高いモチベーション」という意味を察知し、自分自身も高いモチベーションで運動した結果、心拍数が上がったり、長く運動するという結果になりました。Bグループでは、逆に、「低いモチベーション」の部分が活性化したのでしょう。Aグループに劣る結果となりました。

気づかずに浴びていることばのシャワー

私たちの日常でも、同じようなことが起こっています。しかも、それを自分では意識していません。実験に参加した学生は、実験の目的を知らされていませんでした。自分がカードや隣の人に影響を受けていると気づかないまま、パズルや運動をしていたのです。しかし、結果として、AグループとBグループでは、明らかな差がつきました。

自分が、毎日どういうことばのシャワーを浴びているかを、考えてみてください。いっしょにいる友達のことばは、どういう内容が多いですか。「○○って面白いよね」「◇◇って楽しいよね」という話が多い場合は、脳の中の「楽しむ」という部分が活性化します。すると、次の行動も、楽しむようになります。楽しんで行動すると、結果が出やすく、また毎日の気分の質も上がります。これが繰り返されると、明るい将来が開ける可能性は高まります。

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