チームで力を発揮する 大切なのは安心感と役割やる気スイッチを入れよう(12)

明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所長 菊入みゆき

明星大学特任教授、JTBコミュニケーションデザイン ワーク・モチベーション研究所長 菊入みゆき
2016/5/13

3人以上人が集まると、そこにはそのグループだけの独特のムードが形成されます。仲のいい友達のグループ、部活動やサークル、アルバイト先の職場等、それぞれ違った雰囲気や価値観があり、グループのやる気も様々です。あるグループでは高いやる気を発揮する人が、別のグループではまったくやる気が出ない、ということが起こります。

グループができていく過程

大学の授業でグループディスカッションをすることがあります。特に初めて会うメンバーの場合では、グループの人間関係が作られていく一連の流れがあります。

最初は、ぎこちなく挨拶をし、自己紹介をし合う。少しずつ互いのことを知り、話し合いをするうちに、「あ、この人はしっかりしていて、リーダーっぽい」「この人は、話しやすそう」等、一人一人に対して、なにかしらの印象を持ちます。話が活発に盛り上がったり、沈黙があったりしながら、グループのムードができていきます。笑いが絶えないグループ、几帳面に話し合いを進めるグループ、静かに濃い話をするグループ等様々です。

中には、一人だけが一生懸命話して、他の人がつまらなそうだったり、うまくグループが作られていないケースもでてきます。

グループのやる気を高めるには、どうしたらいいのでしょうか。

見られるとがんばる

人は、一人でいるより、集団でいるほうがやる気が出ることがあります。まわりに誰もいなければ、何をしても自由ですから、サボることもできます。でも、誰かがいれば、「見られている」という意識がどこかで働き、自然にきちんとやるようになるのです。観客を前にしたタレントのようなものです。

また、仲間がいると、その中で「少しでも自分をよく見せたい」という気持ちも働きます。「いいことを言いたい」、「良いヤツだと思われたい」と思うと、きちんと発言したり、人の発言をしっかり聞いたりすることになります。

いいグループが作られる場合には、集団のポジティブな効果が出ているのですね。

手抜き、タダ乗り、そして恐怖

しかし逆に、集団でいることでネガティブな現象も現れます。まず、手抜きが起こります。「ほかの人がやってくれる」「自分一人くらいやらなくても大丈夫」という気持ちです。

ある綱引きの実験では、1対1で対戦した時と比べ、8人ずつのチームになると、皆半分の力しか出していなかったことがわかりました。これは、フリーライダーと言われる現象です。いわゆる、タダ乗りですね。

もう一つのネガティブ現象は、恐怖によって引き起こされます。「否定されるのが恐い」という気持ちが、行動を抑えてしまうのです。ディスカッションでも「こんなことを言ったら、バカにされる」「誰も反応しなかったら、気まずいし恥ずかしい」という気持ちがあると、発言しなくなります。

グループでは互いに影響を与え合います。誰かがタダ乗りしているように見えると、他のメンバーも、「自分だけがんばったら損だ」という気持ちになり、同じようにタダ乗りをする。不機嫌な表情の人がいると、その人への恐怖で皆の発言が抑えられる。一人のちょっとしたしぐさが、グループ全体のやる気を左右することがあります。

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