検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

世界最大の若者サミットで私が話したこととは?

「違い」を愛せる社会に(6)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

One Young Worldと呼ばれる、若者の社会起業家や活動家などを対象にした国際カンフェレンスが毎年開催されています。カナダのオタワで開催された今年、日本代表として参加する機会をいただきました。当日は1300人以上の活動家が世界中から参加し、戦争・平和のテーマから、教育格差、人権問題、ビジネスのあり方など様々な分野においてのリーダーの講演を聞き、問題解決に向けての議論を繰り返し行いました。

その中で、私が光栄にも登壇させていただく機会をいただきました。今年の「人権」のテーマが「LGBT」であったことから、私の考える日本社会の現状と、改善に向けて私自身が行っていることをお話しさせていただきました。こちらに、スピーチの日本語訳を共有させていただきますので、一読していただけますと幸いです。

私は日本人です。そして、自分のことが「嫌い」でした。周りとは違っている自分が、嫌いでした。そんな私が、マイノリティーが居心地よく生きられる社会の実現を願って、本日ここでお話させていただきます。

(I am Japanese, and I hated myself. I hated myself for being different from others. So now I'm here for my speech, hoping to change the world to a place where all minorities can feel embraced.)

昨年、エルサレムのゲイプライドパレードで、ユダヤ派の男性がナイフで襲撃し、6人が負傷するという不幸な事件がおきました。世界では、このような憎しみや嫌悪感による衝突が度々起きています。

(There was an horrific incident last year in Jerusalem when six people were stabbed in a hate crime attack while attending a Gay Pride parade. We hear shocking news of LGBT people being attacked and killed in hate crimes all around the world. )

日本に住む私たちにとっては、こういった暴力は理解しがたいものです。

(However, for those of us living in Japan, these incidents of extreme violence are hard to understand, almost to the point of being unimaginable.)

では、日本はLGBTをはじめ、すべてのマイノリティーに寛容な社会と言えるのでしょうか。

(So does this make Japan a country that accepts and embraces diversity? A society that welcomes people from LGBT communities, people of different nationalities, and other minorities?)

私の答えは、「NO」です。日本はまだ閉鎖的で寛容とは言い難い国だと感じます。一つ例を挙げてみます。

(My answer, sadly, is "No". Japan, I feel, is still a closed and intolerant country. Let me give you an example.)

自分がゲイだと公表した一橋大学の学生が、いじめを経験して自殺するという事件が話題になりました。

(A boy at one of the top universities in Japan committed suicide after experiencing severe bullying for being gay.)

残念ながら、これは異例なことではありません。約70%の性的少数派はいじめを受けた経験があり、30%は自殺を考えたことがあるといいます。日本が抱える課題はマイノリティーに対する「無意識な差別」だと思います。

(Unfortunately, this is not an unusual case. 70% of sexual minorities in Japan have experienced bullying in school, with 30% of those saying that they have considered suicide. What Japan is facing, is "unconscious discrimination" towards minorities.)

このような課題を解決し、多様性に寛容な社会を実現することはできるのでしょうか。私は出来ると信じています。もちろん、その地域の文化によって、そのやり方は変わってくるだろうと思います。

(Is there any way we can eliminate this discrimination against minorities? I believe, the answer - all around the world - is "yes", and the ways to fight such prejudices will be different, depending on the local culture.)

日本には「出る杭は打たれる」ということわざがあります。信頼や仕事、社会的なポジションを失いたくなければ、周りと同化したほうがいい、という教えです。

(There is a saying in Japan that "the nail that sticks out gets hammered in", meaning that the best policy is to try to be the same as others, or you could lose your job, and lose your position in society.)

子どもたちも、そういった教育を受けることがあります。保険の教科書には「大きくなると、みんな異性を好きになる」とまで書いてあるものもあります。そんな中で、果たして自分がLGBTであることを肯定できるわけありません。

(Kids are also instructed in schools to "be the same" as everyone else. In the health textbooks distributed to school children, it clearly says "when we grow up, we start to be interested in the opposite sex." No wonder people cannot feel confident in declaring themselves as LGBT!)

これまで何度か、大学での講演会や、テレビでの討論番組にて「多様性」をテーマにお話をさせていただくことがありました。LGBTの当事者である人が知り合いにいるかどうか尋ねても、手が挙がるのはわずか1~2%でした。

(I have had opportunities to give speeches at universities and on national TVs about the importance of embracing diversity. And when I ask the audience if they have ever met someone who is LGBT, only 1 or 2% will raise their hands.)

これが「無意識な差別」の現状です。違いに慣れていないことからくる、「無意識な差別」です。そして、疑問視されないまま、偏見が積み重なっていきます。

(That is why the key issue here is "unconscious discrimination", and this "unconscious discrimination" comes from being unused to people who are different. And so, the stereotypes go unchallenged.)

私自身、この「無意識な差別」を経験したことがあります。「日本人」に見えないことから、学校でいじめを経験しました。クラスメイトに外国人と触れ合った経験を持つものは少なく、その不慣れさが理由で、お互いに接しかたがわからなかったのかもしれません。マイノリティの排除することは、向き合う挑戦をすることよりも、簡単なことです。

(I myself, also experienced this "unconscious discrimination." Just because I don't look like a "Japanese", I have experienced bullying in school. The classmates, sadly, had never met anyone who is a different race, and were too scared to explore the differences. Shutting out the minorities is the easiest solution. )

私はこういった風潮を変えようと決心しました。そこで、私はCulmony(カルモニー)という組織を立ち上げ、子ども達に「多様性」という魅力を体験してもらうための活動を始めました。

(I was determined to eliminate this. And so I founded a company called Culmony to give Japanese children the chance to explore the fascinating diversity of society.)

現在は、多様なバックグラウンドを持つ若いチューター(先生)たちによる、多文化理解プログラムを提供する家庭教師サービスや、イベントを展開しています。子どもたちは、楽しく遊びながら、世界各国の国際文化を始め、障害者やLGBTの当事者の人たちと触れ合うことができます。

(We run an after school program and a tutoring service, where children can meet and have fun with people of different nationalities and races. They enjoy spending time with people who have disabilities, and of course, people who are LGBT.)

Culmony(カルモニー)のカリキュラムは、ロールプレイやアクテビティを通して、多様性を尊重しながら、自らのリーダーシップや非認知能力を伸ばすための経験を提供しています。これまで、600人以上の子どもたちが参加してきました。私たちの目標は、「多様性」を重んじる次の世代のリーダーとなりうる人たちを育てることです。

(The Culmony curriculum enables them to learn how to respect and live with diversity through fun activities and role-playing. Over 600 children have been to workshops - the aim is to educate the next generation of leaders in society who will both protect and celebrate diversity.)

子ども達にとって、多様性を体験するということが、簡単ではない場面もありました、初めてハイチの黒人の男性を見た8歳の女の子は、泣き出して逃げてしまいました。このような「多様性」を向き合う難しさは、LGBTの人の接する際にも生じることがあるかもしれません。

(It has been a difficult journey for some of them. I remember one 8-year-old girl who cried and ran away when a black teacher from Haiti showed up. There can be a similar lack of confidence when they meet people from an LGBT background.)

でも、この女の子は、黒人の男性に対して差別をしていたわけではありません。ただ、怖かったのです。1時間のレッスンが終わる頃には、その女の子は、ユーモアあふれるフレンドリーなこの黒人の男性にすっかり懐いていました。これが、子どもたちの魔法です。

(But this little girl really wasn't trying to discriminate, she was just scared. After an hour she had become good friends with the Haitian teacher - this is the magic of children!)

私たちはみんな、恐怖を感じます。

人間は「想定外」「不慣れ」そして「未知」に対して、無意識に構えてしまいます。それでも、私は真の多様性社会を実現できると、心から信じています。

(We all have fears.

Humans are creatures who struggle with the "unexpected", the "unfamiliar" and the "unknown". However, I believe that we humans CAN build a society that truly embraces diversity.)

「見知らぬもの」を「身近なものに」変え、

「違い」を楽しむ勇気を持ち、

多様性の美しさを追求できれば...

私たちは、きっと人間の弱さを克服できます。

(If we can change the "unfamiliar" to the "familiar"...

If we can have the courage to see "difference" as exciting...

If we can explore the beauty of diversity...

Then I believe we can overcome our weakness of this fear.)

心からリスペクトし、愛する日本へ。ありがとうございました。

(With all my love and respect for Japan. Thank you.)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_