ディスカッションのコツ(下) グループ全員合格のつもりで!
「コミュ力」に悩む学生へ贈る言葉(7)
就職選考でも取り入れられる機会の多いグループディスカッション。具体的にどのように臨めばよいのでしょうか。次の10個の突破法を意識して、練習していきましょう。
突破のための10原則
1、全員で受かろうという心構えで
2、問題をよく読み込む
3、ストーリーを考える
4、司会はハイリスク・ハイリターン
5、影の司会者となれ
6、うなずく、あいづちをうつ
7、結論から話す
8、ちょこちょこ発言ばかりではダメ
9、評論家にならず、実体験を活かした個性的な発言を
10、反論してもいいが敵を作らない
それでは、それぞれを解説していきます。
始める前に 1~3
心構えとしては、一人で戦おうとせず、グループ全員が仲間だという意識を持って臨みます。皆で良い方向に話し合いを進めて、正解を導き出し、有意義な話し合いにすることを心がけます。一人だけ受かろうと暴走する人はどんな企業でも嫌がられます。なぜなら、ディスカッションはチームワークを見るためのものだからです。
少し(2、3分)考える時間を取ってからスタートするように提案すると良いでしょう。その間、問題をよく読み込み、自分なりにどんな話し合いを展開していくか、ストーリーを組み立てます。
役割分担 4~5
司会もしくはリーダー役をきめるかどうかは、多くの場合、参加者に委ねられています。ですが、最近はみんな決めてかかります。司会がいるといちいち話を司会に戻さなくてはならないので、時間を要します。短時間の時はいない方が早く結論にたどりつけるということもあります。
司会・リーダー役は目立つので、有利になります。ただし、失敗したときの責任が問われるのも司会です。ハイリターンだけれどもハイリスクとはそのことです。また、逆に話べたな人は司会を引き受けるという手もあります。
司会・リーダー役の次に決めるのが、書記です。女子が一人だと書記になってもらうというような進め方は感心しません。あくまでも自選でやりたい人がやるのがいいでしょう。書記になった人は要注意です。書くことに追われて発言が少なくなりがちだからです。書記に徹して黙って書いてだけいてはだめなのです。発表があるなら、書記の人がやるといいですし、話し合いの節目節目で「ここまでの意見を整理すると・・・」などのまとめの発言をすると発言回数を挽回できます。
他にもタイムキーパーを決める場合もあります。これはなくても全員で気を付けるようにするとできるものです。時間管理は重要です。結論が出ないと就職試験では大きなマイナスになります。仕事とは結論ありきのものだからです。話し合いのための話し合いでは意味をなしません。
もしも司会になれなくても、「影の司会者」としてまとめの発言をするというのもいい役回りです。話し合いが横道にそれないように、それたら軌道修正をするように発言していきます。話し合いを俯瞰して、全体を見る視点を大事にしましょう。
発言方法 6~8
人の発言の時、うなずく、相づちを打つなどして、よく聞いてあげるとチームワークを取りやすくなります。次の発言の機会を得やすくなるというメリットもあります。
また、発言はいつも1分以内を意識して、結論から話しましょう。長い発言は人の発言の機会を削るということになるので、嫌がられます。論理的な話し方は簡潔に結論から話すことです。
「そうですね」で終わると発言とは見なされません。「私も同意見です。なぜなら・・・」と理由を言えば発言として印象に残ります。
発言内容 9~10
一番大事なのは、発言の内容ですね。評論家のような抽象的な発言ではなく、自分の経験に基づいた説得力ある発言を心がけましょう。
「それについては、ゼミで勉強したのですが・・・」と言うと説得力がありますね。
「アルバイト先で実際にあったことなのですが・・・」と言うと、みんな「なになに?」と聞いてくれます。
その発言がグループの最終的な結論になって行けば、良い評価になるでしょう。ただし、最近の学生のみなさんは話し合いが「なあなあ」に終わることが多い傾向があります。仲良くしようと思うあまり、論を戦わせることなく全ての意見を盛り込んでいては、毒にも薬にもならないディスカッションになります。
もしも残り時間が少なくなってからでも、話し合いの方向がズレていると感じたら、勇気を持って異論を唱える方が良いでしょう。これは敵を作れと言っているのではありません。チームワークが取れていても、全く別の方向に進んでいてはゴールにはたどりつけませんね。時には心を鬼にして、言い方だけは気を付けて、ゴールを再確認しましょう。
以上でグループディスカッションの突破法は伝授しました!
あとは、話し合いに慣れていくことですね。ブレーンストーミングでなく、時間内に結論を出すという事を意識して、注意点に沿って進め、日頃から訓練していきましょう。
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