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個人が社会に発信する時に必要なこととは?

実践デモクラティックラーニング(3)

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「若者と政治をつなぐ」NPO法人YouthCreate代表の原田謙介です。自分が非常勤講師を務める岡山大学の授業「実践デモクラティックラーニング」の様子をお伝えするシリーズの第3弾。授業のエッセンスを学生とのやり取りも含めて書かせていただいています。授業の狙いは、「受講生自身が若者と政治をつなぐ担い手となること」と、「岡山を若者参画の進んだ街としていくこと」です。今回は個人の発信の価値や社会を変える可能性についてお伝えします。

「保育園落ちた日本死ね」覚えてる?

原田 今回のテーマは個人発信メディア。「保育園落ちた日本死ね」っていうブログの話覚えてる? あ、これは全員覚えているわけだね。では、その「保育園落ちた日本死ね」っていう題名のブログを、ちゃんと全部読んだことある人いる? 読んだ? 何か覚えてる?

学生 あんま覚えてないですけど、キャッチーなフレーズのわりにまともなことは言ってるなと。

原田 なるほど、タイトルがキャッチーなわりにまともな。

学生 「私は活躍できないじゃないか」って内容だったのかなと。一億総活躍!? じゃないみたいな。

原田 そうそう、よく覚えているね、そうですね。一億総活躍ってちょうど出た頃なのに、私は子供を保育園に預けられないから活躍できないよ、というブログでした。久しぶりにブログを読んだら、意外と短いんですよね。いい感じにスッとまとまっていて。だから結構流行ったのだと思う。

また、同時に興味深いのは、「保育園落ちた日本死ね」というフレーズはみんな知ってるけど、ブログを読んだり、ブログの中身について自分なりに考えたりした人はかなり減るかなということです。このブログが国会でも紹介されて政治も保育の分野に関して動いた。そして、去年の参議院選においても主要な争点の1つとなった。結局誰が書いたか未だ分かってない1つのブログ。つまりは個人発信のメディアから政治が動くこともある。他に何か個人の動きから社会や国が変わった事例って思いつく?

学生 名前忘れましたけどなんか、足尾銅山?

原田 おおー、いいね。田中正造さんだね。

学生 でもあの人議員じゃなかったですか?

原田 そうですね。まあ議員ではあったと思うんだけど、たしか議員辞めた後も活動をされてたね。他に何かありますか?

学生 沖縄の基地問題。

原田 基地問題全般みたいなイメージかな。それとも何か具体的な例が思い浮かぶ?

学生 何かオスプレイが・・・落ちたんでしたっけ?

学生 落ちた。海に落ちた。

学生 で、その映像や写真などと一緒にSNSとかで多くの意見が投稿されてたのを見た気がします。

「政治家」「行政」「市民」「メディア」へのアクションは?

原田 そうだね。明確に何か変化があったというわけではないかもしれないけど、米軍基地に関しての様々な視点や意見の市民の声というのも政治や社会に影響を与えているだろうね。実は僕は、2012年から1年間ぐらいかけて、法律を変えようという動きをやっていたことがありました。「インターネット選挙運動」という単語聞いたことある? 日本は2013年までは、選挙のときにインターネットは使えなかった。立候補者が選挙の間にSNSやブログを更新したり、僕ら普通の人が誰かを応援する投稿をすることが禁じられていた。そんな時代がつい最近までありました。

「我が町にサッカー場を作るべきだ」と思ったらどんな働きかけをするか?

その時の経験を話す前に、みんなでちょっと考えてみようかな。仮にサッカー場がない町があったとしよう。みなさんは住人で、サッカー場が我が町にあるべきだと思った人だと想像してください。そうなったときにあなたは、どういうアクションをとりますか。ヒントとして、仮で4つのアクションの対象を示してみてます。「政治家」「行政」「市民」「メディア」の4つ。まずは「政治家」に対してということで何かありますか?

学生 行政に対してプレゼンするにあたって、その後押しをお願いする。最終的にその予算決定とかって行政になると思うんですけど、それをこっちが提案するにあたって後押しを。

学生 議会で議題にしてもらう。

学生 じゃあ似たとこがあるんですけど、行政とか、あと民間のお金で作るスポンサーさんとかに根回しをしてもらう。

学生 何かブログとかで言ってもらう。

原田 色々とありがとう。議会の議事録に残るということは大事だね。スポンサーへの根回しは若干怪しいにおいもするけどね。行政に対してはどうだろ?

学生 パブリックコメントに書く。

学生 デカいサッカー場とかだったら、まあ建設地を選んだりとか、土地を買収したりとかに関して手伝ってもらう。

原田 パブリックコメントは行政側からの問いかけに対して市民が意見を書くという流れになるけど、でも意見を届けられる機会だもんね。メディアに対しては?

学生 地方新聞に投書する?

学生 地元のテレビとか、あとはフリーペーパーとかに取材してもらったりとか。

学生 ラジオに投稿する。

原田 インターネットは見てないけど、新聞は購読している層に対しては投書っていいね。最後に市民に対しては?

学生 書名を呼び掛ける。

学生 サッカー場を使いたい団体を探す。いざ完成した後に、ほぼ確実に使ってくれそうな団体をいっぱい探す。

学生 市民にも2種類あるかなと思って。1つは利害の関係があるような人とかいますよね。それこそお店を持ってて、サッカー場できたら儲かるなとか。単純にサッカー好きだからサッカー場欲しいという人もいるだろうし。そういう人たちに協力してもらって、一緒に活動するっていうのはどうでしょう?

原田 なるほど。それはたぶん大きいよね。もう1種類は? 2種類って?

学生 で、もう1つは関係ない人で、そういう人にはサッカー場できたらいいよね、サッカーおもしろいよねって......。とりあえずサッカーの良さを推す。

原田 なるほど、純粋にね。「お金儲かりますよ」とかじゃなくて。はい、他ありますか?

学生 反対運動を起こしそうな人を説得する。

原田 対市民は、意外といっぱい出てきましたね。じゃあ他に働きかけの対象があれば教えて。

学生 僕はスポンサーかなと思ったんですけど。資金を出してくれるか、チームができたら支援してくれるとか。

原田 はい、ありがとうございます。結構いろいろ出してもらったと思っていて。そのいろんな動きがあって、別にどれも、何が間違いってことはないと思うし、どれが、逆に言えばどれが必要かどうかも、場合によるんです。でも、最初のステップとしては「認知」が大事だと思っています。

「保育園落ちた日本死ね」っていうのは、見出しや内容が強烈だった。そして多くの人に「待機児童」の話の認知が広がったんです。自分が課題だと思い、改善をしたいと思っていることが、他の人はそんなに興味なかったりということも多くある。そもそもそんな課題や将来や効果があるんだって知らなかったりする人に対して知ってもらうっていうステップは本当に大事です。

また、「議会で発言してもらう」もそうだし、「政治家にブログなどで発信」をしてもらうことにより一気に、政治や行政や法律が関わる内容になる。個人の願いじゃなくて街全体の戦略としての話になり、自己責任じゃなくて社会全体で考えるべき課題になる。もちろん、政治的な色が入ってくると権力闘争などに巻き込まれて良くない面もあるかもしれない。

マスメディアもそうですね、日々新しいネタを探しているので、そのネタが有用そうなものであればそれは取り上げる。あと最後、市民ですね、意見の中で面白かったのは、利害関係者の協力を取り付けるというものかな。同じ目標に対して同じ思いで同じステップを歩む必要ってないかもしれない。サッカー好きな人がサッカー場が欲しいから作るでもいいし、観客からの収入を期待する商店街があってもいい。

大きなビジョンに基づいた巻き込み方が大事

僕がインターネット選挙運動解禁の際に行ったキャンペーンの内容の具体例を少しお伝えしますね。意識したのはストーリーです。「選挙のときにインターネットが使えないって古い、何かおかしいよね」というだけでは「まあね~」ぐらいで終わってしまう。要素を増やしてストーリを描く。「インターネット選挙運動解禁をした結果、社会が変わってくんだ、地域が変わってくんだ」みたいな大きなビジョンに基づいた巻き込み方が結構大事かなと思っている。

「やりたいのはインターネット選挙運動を変えるっていう、法律を変えるってだけじゃなくて、政治と接する新たな機会を作り出すこと、政治参加のかたちをもっと多様にすること、それが私たちの目指す社会です」といった大きなビジョンを掲げるっていうのは、結構大事だったりします。

また、政治家とどう向き合うかということ。「現状否定型」の「これダメじゃんっていうことを言いまくるやり方」と、「いいですね、一緒に作っていきましょう」と前向きに行く「太陽型」。この大きな2つの関わり方があるときにには、僕は基本的に後者を取ります。「インターネット選挙運動解禁されてないから、おかしいだろう」ということを言うんじゃなくて、「インターネット選挙運動解禁をスタートに、いろんなこと作っていこうよ」という伝え方。これは市民に対してもメディアに対しても同じかな。

でも、何か発信をするときは、やっぱりまず見なきゃいけないのは、政治家とか行政とかじゃなくて、まずは横の人。自分と同じような人たちが、その自分と同じ問題意識をどれだけ持ってくれて、どれだけ意図を共有してやってるということを、実は結構見なきゃいけないのかなとは思っています。

そのために自分自身の声でストーリを語って、周りに認知してもらって、社会を作っていってください。政治家から社会の変化が進むんじゃなくて、一人の人間の感覚・意見からでも社会は変わっていきます。

原田謙介(はらだ・けんすけ)
 NPO法人YouthCreate代表。1986年岡山県生まれ 2012年、東京大学法学部卒業。在学中に国会議員事務所でのインターンを経験し、若者の投票率向上を目指した学生団体ivoteを発足、現在は「若者と政治をつなぐ」をテーマに、NPO法人YouthCreateの代表として活動中。

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