TOEIC350点の壁を越えるには 音読と「英借文」
TOEIC超勉強法(4)
前回は第1の壁:単語の壁突破法をご紹介しました。今回は、第2の壁:TOEIC350点〈文法の壁〉突破法をご紹介します。まずは、文法で悩んでいる人の典型的症状を紹介します。
広島県のYKさん(21歳・学生・女性)のケースです。
以下、こんな症状で悩んでいる人に質問です。
Q.文法って何ですか?
私は文法とは、単語の並べ方だと思っています。文法とは単語を並べて文章を作るときのルールです。したがって文法力とは、「文の瞬間把握能力」であり、「文の瞬間構築能力」であると定義できると思います。文法は文章を作るときの設計図といってもいいでしょう。文法は不必要だという声も耳にしますが、暴論です。家を作るにも設計図がなければ、いい家は建ちません。
しかし、文法にこだわりすぎると間違えることを怖れるあまり、英語が出てこなくなります。そこで学生の皆さんへ、次のアドバイスをさせていただきます。
1.話すときは怖れず大胆に
2.書くときは細心の注意を
別な言い方を英語ですると、
1. Let's enjoy making mistakes when you speak English.
2. Let's enjoy correcting mistakes when you write English
こんな気持ちでいれば、文法と仲良く付き合えると思います。
第2の壁;TOEIC350点〈文法の壁〉突破法
(1)英作文はやめる:正しい英文を借りて、"英借文"を
自分が書いた英作文を見て、「これで文法的に正しいのかな?」とか、「こんな言い方をするのかな?」と悩んだことはありませんか? 私はYKさんのように文法用語や構文を頭の中で考えながら文章を作る英作文より、最初から正しい英文を借りてそのまま覚える"英借文"をおススメしています。
TOEIC350点前後で悩んでいる学生さんは、英作文をしてもほとんど間違った英文を作ってしまいますし、とても時間がかかってしまいます。ぜったい間違う英作文より、ぜったい正しい英借文の方が、このレベルの方へのアドバイスとしてピッタリです。私が主宰する合宿で英作文の課題文を出してみました。「目は心の窓である」です。皆さんも英作文してみてください。Eyeとwindowは入りそうですね。
参考までに、合宿で出た代表的な答えは以下のようなものです。
1.Eye is window of mind.
2.Eyes are windows of mind.
3.Eye is window of heart.
4.Eyes are windows of heart.
5.An eye is a window of a mind.
6.The eye is the window of the heart.
7.The eyes are the windows of the mind.
正解はネイティブの2人だけでした。なぜそれが正解なのと聞いても、Because we say so.としか答えませんでした。6のheartをsoulにすれば正解文(The eye is the window of the soul.)になります。彼らにとって、この文はすでに体に刷り込まれていますから、自然なリズムの英文で文法的にも正しいという判断をしたのでしょう。"文法はリズムだ"、と言ってもいいかもしれませんね。
手をたたいてリズムを取りながら、この正解文を5回音読してみてください。そして天井を見て言ってみてください(Look Up & Say)。どうですか? すんなり口から出てきませんか? この音読とLook Up & Say の組み合わせは、文法的に正しい文章を体に刷り込むための基礎トレーニングとしておススメです。
(2)教科書復習:まずは中学英語の復習から
YKさんは、早速"英借文"を始めました。その時にYKさんからいただいたお便りには、「私が購入したのは、中1の教科書ガイドです。一からやり直して、自分に一番欠けている"文法の基礎固め"をするつもりです」と、書いてありました。大正解だと思います。中学の教科書ガイドなんて、という人が多いのですが、手に取ってみてください。説明が非常にわかり易く、文法が難しくて、という人にはおススメです。
英借文するときに、音読とLook Up & Say の組み合わせだけではなかなか覚えられないという方は、音読しながら5回ずつ書き写す音読筆写とLook Up & Sayを組み合わせてください。「筆写」を加えることによって記憶への定着がより高まります。
YKさんからの別のお便りです。英借文を100日ほど続けたころのものです。
YKさんは、苦手な文法の克服に基礎から取り組もうとして始めた"英借文"のおかげで、英語よりももっと大切な何かを見つけたようですね。
次回は、第3の壁:TOEIC470点〈音法の壁〉突破法をご紹介します。文字で見れば分かるのに音だけだと耳が空回り......という方へのアドバイスです。
「英語トレーニングのICC」代表 千田潤一
http://www.icc-chida.com
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