人生100年時代の就活、副業視野に礎作る企業選びを
人事部の視点(5)
学生の皆さん、こんにちは。高橋実です。さて、3月より、いよいよ2019年入社予定の皆さんの就職活動が解禁になりました。これからいよいよ本格的な就活シーズンが始まりますね。頑張ってください。
ところで、私事ですが、3月末で、約5年間勤めた株式会社HDEを卒業します。新たなキャリアとして、「本気の複業」に取り組むことにしました。「本気の複業」とは、主業があってのサブ的な副業ではなく、「全て本業にする」。そんな働き方です。
株式会社モザイクワークという、企業の採用や組織・人事課題を解決する会社と、倉庫業の新しい価値を提供する 寺田倉庫の人事戦略室長、人々に幸せな食を提供する 株式会社タイソンズアンドカンパニーの人事戦略担当と、複数の企業の人事、そして組織・人事に関わる仕事に携わり、新しい働き方に自ら取り組む「人体実験」にチャレンジします。
若いころからの副業って、あり?なし?
昨今の「副業ブーム」で、気になっていることがあります。 最近、学生の皆さんから「副業ができる企業がいい」という声を聞くようになりました。「やりたいことをやれる」「お金を稼ぎたい」「会社に縛られたくない」といったようなイメージ。会社に所属するけれど自由度が高い、そんな企業の人気が高まってきています。
でも、若いうちからの副業は、僕は(まだ)おすすめしません。
副業が悪いと言っているわけではありません。寧ろ僕は副業賛成派です。これからの日本の少子高齢化による労働力減少をカバーするためには、「それぞれの人が持っている能力をシェアして活かす」ことが必要だと思っています。
ただ、それには「活かせる能力を持っていて」「周囲の期待に応えられる」ことが条件になります。つまり、色々な経験をして力をつけてから、はじめて副業は活きるのです。仕事とは、「やりたいことをやれる」ではなく「やるべきことをやる」そして、「期待に応える成果を出して」初めて周囲から認められるようになるものなのです。
まだほとんどの企業は「週5日フルタイムで会社に出社する」のが前提です。もちろん残業もあるでしょう。そんな条件のなか副業をやるのであれば「プライベートの時間を削ってやる」か「週5日の仕事の時間を減らして」やるしかありません。まだ活かせる能力がつかないうちから副業をすると、下手をすれば自分の成長を阻害してしまうかもしれません。
人生は長い。まず足場を固めてからでも、副業はできる
学生の皆さんは、まだ仕事の経験値はゼロです。能力が高く、素晴らしい実績を上げることができる人はいるかもしれませんが、それはほんの一握りの人。「二兎負うものは一兎をも得ず」ということにならないか、ちょっと心配です。
僕自身、これまで副業の経験はありません。でも、約30年の社会人経験を経て、少しずつ能力がついてきました(まだまだ足りないですが)。だからこのタイミングで、本当に副業はできるのか。その疑問の答えを出すために「本気の複業(全て周囲の期待に応えられる成果を出す)」にチャレンジすることしました。まだどうなるか分かりません。だから、「人体実験」なのです。
人生ははるか遠く長い道のりです。人生100年時代、これからどんなことだってやろうと思えばできる。そして、その長い道のりでは、多くの今想像もつかない困難も待ち受けているかもしれません。まず、自分自身の足場を固めてからでも遅くないはずです。
土台をしっかりと作っておけば、力はついてくるし、そこから先の選択肢は広がっていく。これから皆さんが選ぶ就職先は、自分自身の礎をしっかりと作る、そんな企業を選ぶべきなのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。