パートナーは見聞を2倍にしてくれる
女子大生経営者として学んだこと(10)
実家を出てから常に共同生活
これを話すと大抵驚かれるのですが、私は一人暮らしをしたことがなく1年半前に実家を出てから、友人か彼氏かと常に共同生活しています。「同棲ってどうなの? 仕事しづらそう!」という意見もあるかもしれませんが、自分はこうやって同棲していること自体すごく有意義だなと思っています。知り合いに聞き、すごくいいなと思っている言葉が端的にその理由を示してくれています。それは「最高のパートナーは見聞を倍に、悲しみを半分にしてくれる」という言葉です。
例えば同棲は読書に似ていると思います。「本を読むべき!」という人の意見でもよく聞きますが、本のメリットの1つで「本を通せば、人の経験や見聞を追体験できる」ということがあります。大きな失敗をした人の話を読めば、自分がそこまで失敗しなくても、大失敗したような経験を感じることができます。これが恋愛だったり、仕事だったり、人生だったり。自分が若くても、老人になった時の視点で物事を体験したり考えたりすることができるのです。
一緒に住んでいる相手が体験したことは、例え自分が詳しくない分野であったとしても、日々の会話などを通じて詳しくなっていきます。こうした追体験的な部分が恋愛、というより恋人、パートナー、人によっては親友関係においてすごく重要だなあと思っています。
親しい人の経験は自分事化しやすい
例えば、友人が何か仕事でいい成果を出すよりも、普段の考え方や生活リズム、価値観を知っている恋人(や親友)が仕事でいい成果を出した方が、他人事ではなく自分事化しやすいと思います。彼氏にいいことがあると自分も嬉しくなるのに近くて、いろいろ詳細を聞いていけば彼氏が仕事で成功したら、それを自分が体験したのに近い学びがあると思います。
これが仕事以外の部分でも、「何か良い作品を見た」や「良い人に出会った」などのエピソードなど、相手が体験したことも、自分が経験したのと近い形で吸収されていくと思います。私自身、彼氏が最近見たお気に入りの映画や作品の話を聞いて、実際に観に行くことも多いです。それにより、最近自分の大学での制作活動での視野や表現もだいぶ広くなってきたなと思います。
思考のバリエーションも2倍になります。例えば、選挙に関してなど、自分一人で考えるより他人の意見を聞いた方が面白いし、より考えるきっかけになる。それがさらに近しい恋人であれば、頭ごなしに否定したり横流しにするのではなく、どうしてそういう考えに至ったかも含めて考えて知ることができると思います。
彼氏からも多くのことを学んだ
もっと現実的な、現金な話をします。私はエンジニアの元彼とひどい別れ方をしたけれども、交際当時、色々なFabの知識(3Dプリンタなど。今でもなんとなく操作できる気がする)を学ぶことができ、それがfeastの期間限定ショップをするときの内装に生きてきています。アートやデザインを生業にしている今の彼氏とも付き合い始めてから、色々な美術史を教えてもらったり、デザインや大学の課題に悩んでいるときに参考になる本を貸してもらったり、相談に乗ってもらったりしています。それ以外にも、日々いいデザインや面白いイベント、出来事があったら随時LINEに投げて共有しています。
それで得たもの見たものはバラバラではありますが、仕事にもデザインや考え方、人のマネジメント面で生きていて、これはパートナーでなければ得られなかったものだなあと思います。仕事が上手く行き続けるというようなことはほとんどないので、お互い不安定なときにポジティブになるスイッチを入れあえるのもすごく素敵だなあと感じます。「俺はこれイイと思うけどな」とか「私、暇だから何か手伝おうか」とか、過去に同じようなことで悩んでたという発見に繋がることもあります。逆に、お互いネガティブだと負のスパイラルに入ってしまうこともありますが(笑)。
苦労を物理的にも精神的にもシェアする
仕事がうまくいってる人は何かを犠牲にしているところが多いと思いますが、どうせなら全部楽しみたいじゃん! と私は常々思っています。女性でありながら仕事で成功している人は、「家庭や出産を諦めました」って言っている人が多いという話を聞くこともありますが、結婚じゃなくても何かしらの形でパートナーがいるということは、その人が経験して思ったことを交換しあい、苦労を物理的にも精神的にもシェアすることができと思います。
結婚してワイワイ楽しそうで、自分のしたいことに素直で、仕事を本当に楽しんでいる、かっこよくて尊敬できる20代の女性若手社長、そしてメディア等でも広く知られているというような人はなかなか出て来ないなあというイメージがあります。なので、ハヤカワ五味としての20代の目標は早い所、上のようなかっこいい女性像を作り上げることです。
そうなるとなかなかやることがたくさんあるぞ......! 20歳までで学んだことはたくさんありますが、ここからはさらに実践に移していくステージだと思います。自分も幸せになりつつ、目標やライバルとされるようなハヤカワ五味になるためにも、今回書き下ろしたことは胸に留めつつ日々しゃきしゃき生きていこうと思います。
この連載は今回で終了ですが、ハヤカワ五味、これからが一番面白い時期だぞ! と宣言しておきます。そして、また、日経カレッジカフェでお目にかかれるよう精進いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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