「本当の友達」を作る方法
どうする? 女子のキャリア(16)
あけましておめでとうございます! 皆さん年末年始はどのように過ごしたでしょうか。地元の友人と会ったり、家族や親せきとゆっくり過ごしたりした、という方も多いかもしれませんね。普段、なかなか会わない地元の知人と時間を過ごすと、大学生になってからの人間関係や友人関係に、なんとなく「はかなさ」を感じる人もいるのではないでしょうか。
実際に、「自分には本当の友達がいないのではないか」と悩んでいる人は意外とたくさんいます。時に、「自分には何かが欠けているのではないか」「周囲と素でコミュニケーションできない」と深く自省してしまい、不安になったり未来が恐ろしくなったりする、と相談を受けることもあります。
社会人になると人間関係は楽になる?
女子同士の人間関係は複雑なことが多いものです。そのせいか、女性は人間関係そのものに、とても敏感な感性を持っています。幼いころから、集団の中での自分の立ち位置を正しく見極め、相対する人の心中を慮り、失敗しないように努力したてきた、という女性も多いことでしょう。それは、女性が相手の真意をくみ取ってうまく「好意」を得ていこうとする、高度なコミュニケーション能力に長けているからだと思います。
そして、この力は社会に出たとき大きな武器になる。どんな仕事もひとりだけではできないし、相手の力を存分に引き出してこそ成しえるものが大きいからです。キャリアを重ねて管理職になっても、あるいは子どもを授かってママ友達ができても、きっとこの高度な力が活きてくることでしょう。
社会人になってからの人間関係には、同性同士・異性、年代を問わず、うっすら「利害」というオブジェクトが存在するようになります。そうなってくると、多少、人間関係を構築するのが不得手でも維持するのに不器用であっても、なんとかそのオブジェクトを真ん中において、それを修復しようとする力が働くものです。
仕事そのものを中心にしたコミュニケーションでは、あまり「好き嫌い」は関係なくなるので、社会人になったときの人間関係が不安だ、と必要以上に心配しなくてよいように思います。その代わり、「友達」はできにくくなるかもしれない。仲間はできるけれど、利害がなくなると関係が終了してしまう...といったこともよくあります。
かくいう私は、友達がとても少ないのです。頻繁に連絡を取り合っている友人はほとんどいません。「友達」とこちらが思っていても、相手がそう思っているかどうかは未確認ですし、仕事や家族のことで手一杯になって、クリスマスカードや年賀状で近況を知るくらいになってしまっています。「今は友人との時間なんて作れない」とうそぶいたところで、いつも人に囲まれて楽しそうな人を見ると、なんとなく凹んだ気分になることもあります。「本当の友達」問題は、年をとってもずっとつきまとうテーマなのかもしれませんね。
先日、大学卒業以来会っていなかった友人から連絡があり、10人くらいが集まる忘年会に誘ってもらいました。25年ぶりです! 25年前と言えば、みなさんがまだこの世にまったく存在しなかった頃。「今さら会うのも...」とも思ったりしたものの、勇気を振り絞って出かけてみることにしたのです。
えらく緊張して、喉はカラカラ、胸をドキドキさせながら会場に入ったとたん...。みんなの顔を見回しただけで、あっという間に25年が巻き戻っていったのです。彼ら彼女たちの25年。色々な試練を乗り越えながら、仕事や家庭と向き合い、今だって相応の悩みを抱え...。全てを語らなくても、友人たちの顔に素晴らしい歴史が刻まれているのがよく伝わってきます。私の顔はどうだったのかなぁ。25年前とは全く違う話題ばかりだったけれど、それぞれみんなが成長し続けたことがよくわかって、とても刺激的な夜でした。
帰り道、風に吹かれて歩きながら、「今日出かけてきて良かった!」と私はしみじみ思っていました。無我夢中で自分のことをやっていた頃、友人と疎遠になるのはある意味当たり前なのかもしれない。社会人になる、ということは、大学時代に知り合った多くの人たちと、一旦遠くなっていく、ということでもあるかもしれません。でも40歳を過ぎたころから、なぜか不思議と再会する機会がやってくるようになるものです。そこでもう一度新しく友情を育めばいいのかもしれません。
「人間関係がストレスだ」と言う人はたくさんいます。一方で友人や人とのつながりがないことに、恐怖に近い不安を感じることもあるでしょう。「余計な人間関係を切り捨てて、本当に信頼しあえる人とだけ付き合えば、ストレスのない生き方ができる」といった考えを持って実践している人もいます。
「本当の友達」に必要な年月
今現在の生き方や選択の仕方で、未来はどんどん変わっていくのですから、みなさんにとって何が正解かなんてわかりません。でも、大人でもない、こどもでもない、利害のない時代を一緒に過ごす大学時代の友人たちです。今は表面的な付き合いしかできていないように感じても、20年後、30年後に「本当の友達」になるかもしれませんし、仕事のご縁が生まれることだってあるかもしれません。
ストレスが強い人間関係は辛いですが、社会で生きていくには多少のストレスは避けられません。現在、「本当の友達かどうか」「素の自分を出せているか」はわからないにしても、きっと人生の財産になる人間関係がそこにはあると思うのです。大人になって疎遠になっていくことが、なんとなく予感できているからこそ、はかなさを感じるのかもしれませんね。
でも、きっと、疎遠になっていく期間もその友情には必要なのでしょう。大学時代の友人や知人のご縁は、社会人になってからのものとは違うように感じます。今しか育めない人間関係、ストレスや悩ましさ、はかなさを感じつつも、簡単に切り捨てずに「置いておく」といいと思います。将来、今よりもっと素晴らしい友情関係が生まれ変わるかもしれませんよ。
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