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女子学生に不動の人気、 「一般職」就活をする前に どうする? 女子のキャリア(17)

株式会社ACT3代表取締役 堂薗稚子

2017/3/17

いよいよ2018卒学生の就活がスタートしましたね。企業の採用意欲も高く、「女性活躍推進」「働き方改革」が社会的に叫ばれていますから、女子学生のみなさんにとっても、多くの「働く」選択肢が開かれていることでしょう。

ベンチャー企業で成長実感を経営と共に持つ、管理職候補として大きな組織で力を磨く、若手に仕事を任せてくれる企業で早くから裁量権を手に入れる、起業を目指す......そんな目標とともに、本当によく聞くのが、「有名人気企業で、事務系のサポート業務に就きたい」という声です。一昔前は「一般職」と呼ばれ、今は企業や業界によって様々なコース名や職種名となっていることが多く、いわゆる「総合職」のサポート業務を行う仕事のことです。

この連載の開始当時にも「総合職、それとも一般職~女性の幸せは二者択一?」という記事を書きましたが、今回もこの「総合職」と「一般職」について考えてみたいと思います。

一般職は超難関!?

名称はいろいろあるので、便宜上、ここでは「一般職」と呼びますが、この「一般職」×「有名人気企業」は女子学生に絶大な人気があります。「前に立って自己主張するのは向いていない」「長く安定して働き続けたいから」と彼女たちは言います。実は、総合職として入社した後、数年経った女性たちが「事務職に転職したい」と言うこともとても多いのです。

特に商社の事務職人気は今も昔もとても高い。親御さんにとって自慢の娘だろうなぁと思うような大学出身だったり、語学が堪能だったり、スポーツや芸術など一芸に秀でていたりと、「どんな企業のどんな仕事にだって挑戦できる」と思われる女性が、「一般職がいい!」と言ったりします。

長く採用にも携わっていた私からすると、どこかで「もったいないな」と思わず感じてしまうこともあるのですが、私はこの「一般職志向」は否定しません。彼女たちと話していると、最初は表向きにいろいろな理由をあげていても、そのうちに「どんな仕事でもいいから、あの企業に入社したい」「優秀な人たちに囲まれる環境にいたい」「上昇志向についていく自信が持てない」といった正直な動機も出てきて共感させられます。「昔からOLに憧れていたので」「婚活の一種です」と仕事そのものとは関係のない動機も、「なんか、素敵な感じだよねぇ」と、ほほえましく、共感してしまいます。誰になんと言われようと、一般職と腹が決まっているのならいいんじゃない!と応援したくなります。

ただ、一般職志向の女子学生のみなさんに気を付けてもらいたいなと思うことはいくつかあります。ひとつは、「大企業、正社員で一般職」の内定を得るのは、もはやパイロットだとかアナウンサーのようなレベルの超難関だということです。最近の企業では、正社員ではなく、契約社員や派遣スタッフが事務系のサポート業務を担う企業がすごく多いので、求人そのものがわんさかあるわけでもありません。

その上、求人数が少ないためか、「人気企業ランキング」などには出てこないけれど、今も昔も不動の人気で、ものすごい競争率です。どうしても「一般職」「事務系サポート業務」というのであれば、企業の規模や知名度、雇用形態など、どのポイントを妥協するのか自分なりの優先順位をつけるようにしましょう。

また、就活終盤に選考が行われることも多いので、そこまで何も就活していないと、最後に持ち駒がなくなるリスクもありますから、戦略的に、「一般職が無理だった場合はこの企業のこの仕事」という内定をもらえるように別の動きをしておくことも重要だと思います。「どうしても!」と思うのであればあるほど、強い信念と覚悟をもって活動しなければならないかもしれません。

一生続けられるイメージがわくかどうか

もうひとつ、「長く働き続けたいから、安定していて制度も充実している会社で、時間的にも融通がきく働き方をしたい」といった理由で一般職を志向するのであれば、それこそ、長い目で冷静に将来をイメージしてみた方がよいということです。

これから50年近く働き続けるかもしれないのです。他の仕事に比べて一般職でのサポート業務は、「あなたでなければ」という仕事ではなく、代替がききやすい仕事である傾向があります。つまり、新しい業務がどんどん増えていくわけではないのです。毎日毎日、20年、30年と似た業務を繰り返していくことがあなたにとって向いているかどうか。40歳、50歳になったとき、同じ環境でその仕事をコツコツ続けて、自分が心地よく働いているイメージが湧くかどうか。

そして、もし自分や家族のために転職しようと思ったとしたら、そのときどんなスキルが身についているのか、転職マーケットでの価値はどうなっているか、よくよく見極めることが必要でしょう。一般的に、同じ企業でサポート業務をコツコツ何十年も続けることは、居心地も収入も一定以上はよくなることが見込めない場合が多いのです。転職サイトやフリーペーパーを見てみると、一般職的な仕事は、他の職種に比べて正社員であっても最低給与が低いことが多く、中年以降にひとりで生きていくにはしんどいなと感じる金額だったりします。

そもそも転職マーケットでの一般事務などのオフィスワークは正社員求人が多くないし、派遣登録でもある年齢からは仕事の紹介が減るとぼやく人は多くいます。それがある意味の市場価値の実態なのです。結婚して子どもを授かり、一定の生活は保障される未来、なんて、誰にも約束できないのですから、色々な将来の自分を想像してみて、「長く働き続けたいから」という動機と矛盾しないか、検討してほしいと思います。

私の周囲には、かつて、あえて一般職での就職を選んだ友人が比較的多くいます。転職して別の仕事をしている人、専業主婦になった人もいますし、25年同じ企業で働き続けている人もいます。私の周囲だけかもしれませんが、将来不安も「ああだったら」「こうだったら」の妄想も出てくるけれど、本気で後悔しているような会話にはなりません。彼女たちに限った話ではなく、自分の選択に責任を持ってその後の人生を歩んできたからでしょう。正解なんて永遠に誰にもわかりません。

就活は、社会の仕組みを広く深くのぞき見できる、またとない機会でもあります。憧れの一般職も人気企業も、その他の選択肢も、色々な角度から検討してみましょう。実際に長く一般職、サポート業務で働く女性たちに、実感を聞いてみるのもいいと思います。そして、「いろいろ考えたけど、やっぱり超難関でも一般職で働きたい!」と腹が括れたら、前に進むのみ!戦略的に就活を進めてください。憧れの仕事の内定をつかめるよう、応援しています。

堂薗 稚子(どうぞの わかこ)
1969年生まれ。92年上智大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材系事業の営業職を経て「就職ジャーナル」副編集長、「リクナビ派遣」編集長、カンパニーオフィサー、ダイバーシティ推進マネジャーなどを歴任。13年、株式会社ACT3設立。女性活躍支援など、企業の組織開発・人材開発にかかわる調査・企画立案、コンサルティング・研修・講演などを行う。著書に『「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』(KADOKAWA)。二児の母。

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