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「就職したら一人暮らし」をすすめる理由

どうする? 女子のキャリア(11)

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NIKKEI STYLE

だんだん春の気配が感じられる日が増えてきました。3年生はこれから就活、4年生はまもなく卒業、就職の季節を迎えますね。新しい生活が始まるにあたって、「女性が社会人になって長く働き続けていくために、今からしておくべきことは何でしょうか?」と女子学生に聞かれることがあります。今になって振り返ると、過去の後悔や失敗が色々と思い出されてしまって、しておけばよかったと思うことは山ほどあるのですが、なかでもとても大事だなと感じている教訓がひとつあります。それは「自立」についてです。

社会人の「自立」とは?

私は大学時代の前半は上京して寮生活をしていましたが、父が東京に転勤となり、実家から大学に通えるようになりました。うれしくもあり、でもそれまで気ままに過ごしていたので、とても窮屈にも感じたのを覚えています。

就職しても、最初の1年は実家から仕事に通っていました。慣れない早起き、夜遅くまでのハードワーク、先輩や同僚との飲み会、家へは眠りに帰るような暮らしです。優しくて心配性の母は、二日酔いの朝もきちんと朝食を支度してくれたり、シャツやスーツにアイロンをかけておいてくれたりして、色々と世話を焼いてくれました。

でも私はいつも自分のことしか考えず、「朝ごはん、食べないってば」とか「あのシャツ、クリーニングに出しておいてって言ったのに」などと勝手なことばかり言って、心から感謝の気持ちを抱く、ということはなかったと思います。それどころか、「あーあ、私もお父さんみたいに、お母さんみたいな奥さんが欲しいなぁ」とひどいことを言うことさえあり、母が黙っていた時の表情を思い出すと、今でも胸がしくしくします。

そんなある夜、たまたま、父と私は向かい合ってテーブルについていました。長女の私に厳しい父は、いつも私が仕事の話をしても、ぐっと眉間にしわを寄せるだけ。私は厳しい父に期待されたい気持ち、認めてもらいたい気持ちが強くあり、いつもよりも仕事の話を色々としました。社内で評価され表彰を受けていること、大きな金額を動かしていること、上司や先輩が可愛がってくれること、などなど。たった一言、「お前もがんばってるんだね」と言って欲しくてまくしたてたのです。

父は黙って聞いていましたが、最後は険しい顔になって、そのまま自室にこもってしまいました。私は茫然とし、悔しくて腹が立って、憤りの感情がこみ上げてくるのを感じました。「社会人になりたての私が一生懸命やってるのに! 一言褒めることもできないなんて!」。

次の朝、父からのレポート用紙のような紙に書かれた手紙を母から受け取りました。そこには、私の仕事に対するスタンスや考え方に対しての懸念がひとつひとつ指摘されていました。そして、最後に、「一刻も早く家を出なさい。精神的な自立と物理的な自立は、密接な関係があります。それなのに、お前はそれを別々に考えている。一人前に扱ってほしいのなら、自分の足で立って生活をしなさい」と書いてあったのです。

この言葉の意味がきちんと分かるようになったのは、ずっとずっと先のことでした。自分のことを自分でできない、誰かに依存して甘えているのに気付かない......。私は学生時代から、精神的にほとんど成長していなかったのだと思います。一人暮らしを始めて、自分の精一杯の働きに対する対価で生活を営む難しさ、それができてこその本当の自由を感じるようになってきました。そうして何年もかかって、ようやく私にとって大切な父の教えとして実感できたのです。

給料だけでは生活できない?

以前、親戚の女の子が就職することになったとき、私は「家を出たほうがいいよ」と、父に言われたことを話すと、ポカンとした様子でした。「お給料だけじゃ、生活できないもん」「家にお金入れるからいいでしょ」とも言われました。「まだわかってもらえないかもしれないな」と思い、それ以上は何も言いませんでしたが......。

私が就職した24年前には、女性向けの社員寮はない会社も多く、大企業から内定をもらうには「女子学生は自宅から通勤できること」が暗黙の条件になっていることがとても多かったのです。もちろん実家を出ることだけが物理的な自立ではありませんが、よく考えると「女性は自立しなくてもいい」と言われているような気がしてきてしまいます。

でも今の時代、物理的にも精神的にも自立して生きていくチャンスが女性にも開かれています。これほどの「自由」はないのです。欲しいもの、求めているものを「欲しい」と言い、いくつもの選択の中で迷いながら答えを出すとき、「自分で決める」ためには依存心があってはなりません。

もちろん人によって事情はいろいろです。一人暮らしをしていなければ「自分で決める」ことができない、などというわけではありません。ただ、働くことを決めた女性が、これから豊かに社会人としての人生を過ごし、自分の選択を貫いていくために、「精神的な自立と物理的な自立の密接な関係」について考えることはとても重要なことではないかと思います。

実家を出る、と具体的に決めると、不安なことや危険なことが山ほど浮かんできます。実家にいるメリットばかりが目についてしまうかもしれません。心地よい我が家は、いくつになっても家族のいる、帰れる場所であることは確かです。だからこそ、社会人になるときに、一度本当に「巣立ち」を意識してみてほしいのです。もしかしたら、これが初めての「自分自身でした選択」ということになるのかもしれません。

社会人になることで、これまでと生活が大きく変わっていきます。そんな中では、「実家を出る」という選択はすぐにできることではないかもしれません。迷ったり悩んだりしている人も多いでしょう。もし、「ひとりで頑張ってみよう」と思えたとしたら、新しい季節を新しい自分で歩いてみることが、きっととても素晴らしい経験になるはずです。

堂薗 稚子(どうぞの わかこ)
1969年生まれ。92年上智大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材系事業の営業職を経て「就職ジャーナル」副編集長、「リクナビ派遣」編集長、カンパニーオフィサー、ダイバーシティ推進マネジャーなどを歴任。13年、株式会社ACT3設立。女性活躍支援など、企業の組織開発・人材開発にかかわる調査・企画立案、コンサルティング・研修・講演などを行う。著書に『「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』(KADOKAWA)。二児の母。

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