ハヤカワ五味はなぜ社長になったのか
バカこそものの上手なれ(5)
はい、ハヤカワ五味です。第5回の今日は、なぜハヤカワ五味は社長になったのかという話をします。一応、今でこそ社長という肩書きがありますが、小学生の頃からずっとデザイナーという職業に憧れ続けていました。というのも、もともとドラゴンクエストというゲームが大好きで、いつかゲームのキャラクターデザインをしたいという意味で、小学校の卒業文集にもデザイナーになりたいと書きました。
なので、グラフィックデザイン学科に入ったこともあるし、今でも将来の夢はデザイナーです。最近、学生で「将来の夢は起業家です」という人を目にすることが多くなりましたが、私の場合は「イヤイヤ法人化してイヤイヤ社長になった」ようなものです。今回はその点について詳しく話そうと思います。
会社はゲームのアカウント
まず、社長という肩書きについて説明します。「社長とかすごい!」ってよく言われますが、実際社長になること自体はすごく簡単です。10年前に法改正されたことで、今は資本金1円から法人化できます。そこに申請の金額やら諸々含めても法人化すること自体は少なければ10万円とか、全部任せても30万円くらいで作れます。なので、社長であること自体はなんも偉くないです。
分かりやすくゲームに例えて見るのであれば、会社はゲームのアカウントに似ていると思います。最初にアカウントを作るのにいくらかお金がかかるにしても、まあたかが知れている、しかも誰でも作れる。そこで何をするのかはプレイヤー次第、そのアカウント内で成功した人はすごいし、失敗する人、何もしない人もいる。なので、アカウントを持っていること自体は何もすごくないし難しくない。
そう、肩書きなんて何にもならない、強いて言うなら人に自分のことを簡潔に伝えるための手段でしかない。さらに、社長になるということ、法人化自体は目的でもゴールでもなくて、手段でしかない! 空っぽなアカウントでしかありません。
ただ実際、ある程度は予見していましたが、肩書きの社会における強さは実際あって、大抵がよくないベクトルに働きます。例えば、友人と飲みに行くにしても「社長、社長」といじられたりとか、人とフェアに接するのがちょっと難しい感じ。特に初対面の人は、社長って肩書きだけでちょっと距離を置いたりするので、なかなか不便だし息苦しい。
ハヤカワ社長として接してくる人ばかり
実際、私は2016年1月に成人式だったのですが、正直あまり気乗りしませんでした。なぜなら、小学校時代はいじめられていたし、高校生時代の友人は地元の成人式に出る人が多かったからというのと、自分は陰キャラだったくせに大学に入ってメディアに出始めたので本名の稲勝としてではなく「ハヤカワ五味 社長」として接してくる人が多いだろうと思ったからです。
案の定その嫌な予感は当たりました。「最近テレビにたくさん出ててすごいね、"ハヤカワさん"!」。そのような言葉を多く聞きました。本名の稲勝として接してくれたのは、高校時代の仲良かった人やクラスメイトくらいじゃないかな。とってもショックでした。
他にもあまり仲良くない友人と飲みに行ったりすると、ずっと「社長、社長」って呼ばれて、会計の時には「領収書切っていい?!」とか言われることも多々あります。冗談だと分かっていてもどうしても嫌な気持ちになります。例えば、クラスでちょっと勉強できる子が、「頭いい、頭いい」ってみんなに言われて、テストの前には「頭いいから勉強教えてよ?」って、たいして仲良くない人から言われる時の嫌な感じに近いのかなと思います。
飲みに行くのは新宿ゴールデン街
そのため私は成人してからというもの、自分の素性を明かさないでも一人として話し合うことのできる新宿のゴールデン街や、中野の小さめのバーにばかり行くようになりました。なんで、えらい人たちはゴールデン街とかよくわからないところによく行くんだろうという長年の謎がちょっと解けた気がしました。
そのような理由で、法人化をすることもあまり気が乗らなかったし、社長って呼ばれるのがイヤすぎて、法人化を先延ばしにしていました。
では、なんで私は法人化したか?
それは税金とか契約の関係です!!!!!!!!
例えば、法人化以前は「19歳 学生」として取引しなければならないため、仕入れ代金等も前払いが当たり前でした。でも、法人化すれば「株式会社」としての取引になるので、月末締め翌月末払いの請求書で済むなど。本当に一気に仕事がしやすくなりました。
売り上げがある程度超えて法人化していないとクソ面倒だね! なので、社長になったのは本当に最後の最後まで不本意(笑)。
「社長になりたい!」って言う人、不安です
よくtwitterでの反応とか見ていますが「ハヤカワ五味さんみたいに社長になりたい!」っていう人をちらほら見ます。とっっっっっても不安です。法人化は手段、社長やデザイナーっていう肩書きも一時の仮の姿。そういったややこしいものや外側のいざこざは取っ払って、じゃあ自分は何をしたいのかというところに向き合ってもらいたいです。私は、「たくさんの人を幸せにしたいな」と思ってプロダクトを作っています、そのための手段としての法人化なのです。
大抵のことは、実際にやってみると数倍簡単だったりするので、自分のやりたいことに合わせて必要な手段を選び、考えていきたいし、その中で随時肩書きも変わっていくと思います。自分で肩書きを決めて、やってることと微妙にずれてもそのままで活動していく人とかもいますが、それもいいかもしれない! 肩書きは、一言で相手に自己紹介ができるという意味でプレゼン、プレゼンでしかないのです。私もまだまだ模索中なので肩書きはどんどん変わっていくと思います、見てて面白いと思うので、よーく見ててください!(笑)
そんな感じで、社長のハヤカワにはもちろん支えてくれるスタッフもいるわけで、次回はハヤカワ五味の仲間に関して話していければと思っています。更新お待ちくださいッ☆
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