妥協知らずのネットショッパー~人気はインスタ映えする海外ブランド
私たちのリアル(21)
今の時代、誰でも利用したことがあるネットショッピング。今回はネットショッピングを楽しむ女子を紹介します。
ネットウインドウショッピング
大学生は暇つぶしに、SNSと同じ感覚で通販サイトを見ています。友達と話しながら、「これ可愛くない?」「今ポチッちゃおうかな?」(ポチる=購入すること。購入ボタンを押すとすぐ買えることから)などと、タイムリーにいつでもどこでも買い物を楽しんでいます。授業の合間や、友達とチル中(チル=まったりしている、休憩中ということ。英語のChill outから)のカフェで、友達とゆっくり座って意見交換をしながらネットウインドウショッピングをしています。
特に女子から人気なのは、海外のブランドや日本未発売のものを売っているサイト。大学生の間では、「通販でよく買い物をする子=海外のブランドが好きな子」という認識があるようです。着ている服について話している時も、「これ通販で買ったんだ?」と言われると、基本的に「あ、海外のものなんだね!」という伝わり方をすることが多いとか。
ネット通販が大好きな大学生は最近のお気に入りについて次のように話してくれました。「最近日本にも上陸した、韓国の安くてカワイイブランドstylenandaと3ceがお気に入り。ネットや韓国旅行で買う子が多いけど、オープンした原宿の店舗もピンクを基調にネオンライトやプールベッド、猫足バスタブなどが置いてあり、インスタジェニックなのが話題になって写真だけ撮りに行く人もたくさんいるようです!」
他にも「必ず細くなる! と話題のチーズスキニー(スキニージーンズ)を売っているzemma worldも人気。日本語のサイトもあり、通販サイトを比較するアプリでも常に20位以内という安心なサイト」というように、韓国ブランドをサイトをあげる声が多かったです。
通販とinstagram
海外の通販は包みが簡易的で、その簡易さ、ラフさが可愛い! とされ、開ける前の状態でインスタグラムにあげてる子もよく見かけます。
ファッションも自分の世界観なので、普段からコーディネートや買った洋服をインスタにあげている子が殆どです。コーディネートをあげる時に絶対につけるハッシュタグは「#ootd(outfit of the dayの略)」「#fashion」など。
ネットショッピングはサイズが心配!という意見もありますが、初めて買うブランドの場合は入念にサイズ表記を確認したり、レビューのクチコミにある「ZARAでSサイズ着ていますがこのブランドはMでぴったりでした!」等、リアルな声も参考に、慎重に購入しています。が、大体のネットショッパーは既に自分のサイズを把握していて「写真の角度や他のラインナップと比較して色味やサイズを見極めています!」というスーパーネットショッパーもいます。サイズが合わない場合は返品も手軽にできるので、ストレスフリーのようですね。
フリマアプリで小遣い稼ぎ?
さらに海外の通販の良いところは、とにかく安いところ! 特に韓国のネットショップは可愛い&リーズナブルなものが多く、日本語の表記や「送料無料day」を設ける等も買いやすいポイント。ZARAやH&M、ファストファッションが人気なように、キーワードは「リーズナブル」「可愛い」「安っぽく見えない」とのことです。
その他アルバイトができない高校生や、海外サイトを使いこなす勇気がない子の間では、「メルカリ」や「フリル」といった国内フリマアプリを上手に活用しています。ネットオークションとは違い出品者の設定した販売価格で取引を行い、また代金の授受はアプリサービスの提供事業者を介して行われるので、万が一トラブルが起きてもしっかりとサポートしてもらえるから安心なのだそうです。
高校生は必要なくなった私物をフリマアプリで販売し「準備金」を得ます。販売して得たお金は売上金としてアプリ内で管理ができるので、貯まっている売上金額内で欲しい物を購入することも可能。もちろんクレジット決済、コンビニ振込等もできますが、現金を使わずに販売購入できるのがフリマアプリの特徴で、高校生にとって安心で魅力的なのだとか。さらに「アプリで得た売上金を受け取る際に発生する手数料が、アプリ内で使用する際にはかからないからお得!」と、しっかりしています。
さて男子に目を向けると、ネットショッピングはAmazon! インスタのハッシュタグには#amazonとよく入っています。賢い学生は忙しい大人がゲットできないレアなトレーディングカードを集めて、フリマアプリで売っているそうです。
その他フリマアプリの隠れた人気商品は、ブランドショップバック。「新品感を出すために、自分で売る商品のショ袋を購入し、さらに高い金額にして出品することもある」という子までいます。
毎日全国のアプリ利用者が私物を出品しているので、店頭に在庫がない商品や限定品、日本未上陸の商品なども数多く、そのほとんどは定価より安値で取引されており、海外ブランドや高級ブランドも例外ではありません。現在の店頭では手に入らないヴィンテージのアイテムを探しだし、自分のおしゃれスタイルを楽しむ若者が増えているのもうなずけます。
最近の学生のファッション傾向は、「自分のスタイルを決める」。以前は、甘系(snidel、Lily brownなど)が好きな子もモード系(EMODA、SLY)の服を買ったり、逆も然りで、いろんなファッションを楽しむ子が多くいました。ところが、インスタグラムの登場でページの自分ブランディングが重要視され、「私といえば、これ!」というように自分のファッションスタイルを決める人が増えています。
それと同じように、学生もブランドに固執せず「いつもはここの服を買わないけど、これは私っぽいから買ってみた」など、「私らしさ、私のブランディング」が商品購入の最優先ポイントになっているようです。服が人とかぶるのなんてもってのほか?! 自分の世界観を大切にしているからこそ、私だけのファッションとして海外のブランドも効果的なのかもしれません。
学校に私生活、バイトやインターンなど忙しく、買い物に行く時間はないけれど、こだわりがある人にとって、気軽さと、無限の選択肢から「私っぽさ」を見つけ、妥協しないお買い物ができるネットショッピングはとても魅力的なようです。
ブームプランニング社長。山口県出身。1986年に企画集団「スキャットクラブ・オブ・ジャパン」を発足、女子高生ビジネスを立ち上げる。88年、株式会社ブームプランニングを設立し、女子高生を中心としたマーケティングやセールスプロモーションを展開。現在、未就学児から小・中・高生、大学生、OL、主婦、シニア層まで全国1万人以上ネットワークを広げ、様々な業種で企業の商品開発にかかわる。活動に関係した女子高生は10万人。著書に『「ウチら」と「オソロ」の世代 東京・女子高生の素顔と行動』など。
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