スマホ世代はマメな連絡が礼儀
私たちのリアル(11)
2016年になりました。今年は選挙権からリオ五輪まで、皆さん若者の関心事の多い年になりそうですね。本年もどうぞよろしくお願いします!
さて、新年お会いした方と交わすあいさつは、大人の場合なら年賀状やメールのやりとりをしていても松の内なら必ず「あけましておめでとうございます! 今年もよろしく......」ですが、高校生や大学生はどうなのでしょうか?! 年末年始の様子を聞いてみました。
新学期が始まった初日の教室、みんなLINEやTwitterですでに「あけおめ・ことよろ」などたくさんの会話をしているので、友達同士は「おはよう!」と、いつもと変わらないあいさつでスタートしています。
ガラケー時代からすっかり定着した「あけおめ」「ことよろ」は、今もLINEやTwitter上で健在ですが、今年はなんとなく「落ち着いてる感」がありました。とはいえ、「あけおめスタンプ」をLINEグループで送り合ったり、年賀画像をインスタやFBに載せて友達に新年のあいさつをするのは共通するところです。
「あけおめ」は元日だけ
今を生きるスマホ世代の特徴は、「あけおめ」は元日を過ぎたらほとんど使わないという点。瞬間瞬間が大事なので、年が明けて数日経ってからの「あけおめ」は間が抜けていると感じるようです。正月明けに「バイト先の人に"あけましておめでとう!"と言われてびっくりした!」という声も耳にしました。24時間いつでも瞬時に連絡がとれる時代だからこその感覚です。
年末年始SNS上のあいさつでは、学生の場合、新年よりも年末の振り返りあいさつの方が思いは強かったようです。目新しかったのは、iPhoneのカメラロールの表示機能を活用したもの。カメラロールは年代別に表示できるので、2015年のところをスクショし、「今年はこんなことしたな~」と思い出しつつ、「仲よくしてくれてありがとう!」といったメッセージを添えて年末から大晦日にかけてTwitterやインスタにあげていました。
楽で新しくてごっちゃごちゃなハイインパクトが評判です。一昨年からじわじわ使われていて、2015年に定着したそうです。その年に撮ったすべての写真が表示されるので、投稿する際には写真一つひとつは小さいとはいえ、ぼかし加工でのプラバシー保護は怠りません。
Twitterでは年明け前に「#イイネしてくれた人にあいさつコメ #2015年ありがとう」といったタグをつけて友達とコミュニケーションを取っている様子もみかけました。これは自分の投稿に「いいね!」をしてくれた人に対して感謝のあいさつメッセージを書くよということです。
仲良しグループの写真は要注意
年末年始、写真コラージュをしてSNSに投稿した大学1年生のEさんは、特別感のある写真を選ぶときにはちょっとばかり気を遣ったといいます。みんなが見るものだから(みんな意外とよく見ている!)、他人と写っている場合には特に要注意。仲良しグループの写真を選ぶ時には、誰か漏れていないかしっかりチェック!(写ってない子が、私だけ外されてる~とショックをうけないように)。
いくら写りが良くてもツーショットばかりは避ける傾向にあるのは、親友アピールより、今は「みんな仲良し」ムードが大事みたいです。誰かを特別に強調するのは、彼らのコミュニケーションの中ではリスキーな行動になる。でも、逆に友達のコラージュまとめに自分が写っている写真を載せてくれているのをみつけると、「自分のこと思ってくれてるんだ」とちょっと嬉しくなっていい気分になるそうです。
その他、気になると言えば年賀状! 高校生、大学生共に、圧倒的に書かない人が多い状況ですが、書いても数枚程度という背景には、そもそも「友達の住所知らないもん!」という現状がありました。
「住所をわざわざ教えてもらう面倒」を筆頭に、「元旦に届けるために投函は12/25までの締め切り」「年も明けてない時に"あけましておめでとう"と書く違和感」など、年賀状は今のリアルタイム世代の感覚にそぐわないことだらけといいます。
この世代に、年賀状の需要は見つけられませんが、TwitterやLINE、FBで、「あけおめ」と誰にでも声をかけあう年越しイベントは、少し疎遠だった人とまた連絡を取れる恰好のタイミングと捉えている間は、まだまだ続くでしょう。
マメな連絡が礼儀!
最近、「前よりも仲が良いと言える友達が増えた」という声を聞きます。"仲がいい"のレベルは様々かもしれませんが、「スマホでマメに連絡をとる=仲が良い」という感覚なので、年に1回しか会えない友達が一番仲良しということもざらにあります。
スマホ世代にとって、あいさつはあらたまってするものではなく、日々まめに連絡をとっていることが、有事のときに頼れる保険になっているようです。逆に言えば、LINEなどメッセンジャーアプリで連絡を取らなくなる=疎遠な相手であり、友達としてはカウントされなくなります。毎日マメに連絡をとることが礼儀であり、かしこまったいさつは彼らの感覚にはしっくりこないようです。
大人からは過剰にも思える"マメな連絡"こそ「親しき仲にも礼儀あり?!」といったところでしょうか。今年も大人から見ると新鮮?!、気になる高校生や大学生のコミュニケーションについてお伝えしていきたいと思います。
ブームプランニング社長。山口県出身。1986年に企画集団「スキャットクラブ・オブ・ジャパン」を発足、女子高生ビジネスを立ち上げる。88年、株式会社ブームプランニングを設立し、女子高生を中心としたマーケティングやセールスプロモーションを展開。現在、未就学児から小・中・高生、大学生、OL、主婦、シニア層まで全国1万人以上ネットワークを広げ、様々な業種で企業の商品開発にかかわる。活動に関係した女子高生は10万人。著書に『「ウチら」と「オソロ」の世代 東京・女子高生の素顔と行動』など。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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