2018/12/20

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算定表に関しては「これでは金額が安すぎる」との批判もあり、日本弁護士連合会が16年11月に「新算定方式」を発表しました。これにより算出された養育費は算定表の約1.5倍になります。しかし、調停や審判など家庭裁判所の実務で採り入れられるには至っていません。

最近、最高裁司法研修所が算定表の見直しを検討しているとのニュースに接しましたが、実務が変更されるのはまだまだ先になりそうです。

強制執行に備え、公正証書の作成を

取り決めた養育費はきちんと支払われているのでしょうか。16年の厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、離婚による母子家庭の養育費受給率は26.1%とのことですが、「過去に(養育費の支払いを)受けたことがある」という人も16.6%います。つまり、離婚時に養育費について取り決めをしていても、支払いが滞る場合が少なくありません。口頭での約束や私文書による書面作成だけでは、養育費の支払いが滞ったとしても、すぐに強制執行の手続きをとることができません。

このため、協議離婚の場合でも、直ちに強制執行が可能になるよう、公正証書を作成しておくことをお勧めします。また、家裁で養育費を取り決めた場合は調停調書・審判書に基づいて強制執行が可能です。

強制執行の対象は預金や給与が考えられます。相手方の給与債権を差し押さえる場合、売掛金や貸金に基づく債権の強制執行では給与の4分の1までしか差し押さえることができませんが、養育費の場合には2分の1までの差し押さえが認められています。

それでもなお、強制執行の実効性が十分でないといわれており、法改正が見込まれています。18年8月、法務省法制審議会は「民事執行法制の見直しに関する要綱案」をまとめました。養育費を支払わない相手方の所有不動産・勤務先・預貯金口座などについて、市町村などの公共機関や金融機関に開示請求できる制度に改正されるようです。Case2「知人に貸した100万円が戻らない 泣き寝入りか…」で紹介した法改正の概要がようやく見えてきました。

志賀剛一
 志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。