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日本酒、お燗で舌鼓 温めて増す香りとうま味

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NIKKEI STYLE

冬は日本酒を温めた「燗(かん)酒」がおいしい季節だ。鍋や煮物料理と一緒に楽しむと体がじわりと温まっていく。近年は冷酒でフルーティーな香りと味のする銘柄が人気となっているが、この季節に燗酒の魅力を忘れてはもったいない。温めてこそ本領を発揮する「燗上がり」という言葉がぴったりな銘柄も少なくない。

燗に向く日本酒は?

「温度を上げておいしくなるのは、世界でも珍しい日本酒の長所」。末廣酒造(福島県会津美里町)の7代目蔵元、新城猪之吉社長は熱く語る。欧米にもホットワインやホットウイスキーなど温めて飲むタイプのお酒はあるが、味わいそのものが温度で大きく変わるのは日本酒ならではという。

新城社長によると、初心者でもお燗にしやすいのは「生酛(きもと)」や「山廃(やまはい)」というジャンルの日本酒。それぞれ、醸造のスタート時点で自然の乳酸菌を使って醸すのが特徴だ。現代で一般的な「速醸」という製法に比べ、乳酸が残りやすいという。「乳酸は温めると味にふくらみが出る」。

同社は幕末の1850年(嘉永3年)創業。この山廃という製法を確立した。古来の生酛だと、蒸したコメを木桶(おけ)に入れて木の棒ですり潰していく「山おろし」という作業がある。山おろしを廃止しても造れるようにしたのが山廃だ。大正初期に、酒造技術者だった嘉儀金一郎氏が同社で試験醸造して広めた。

いまも看板商品の「伝承山廃純米 末廣」は、セ氏40度までの「ぬる燗」または40~55度程度の「熱燗」を推奨している。温度を上げると、ほうじ茶のようにまろやかな香ばしさが出てくる。口に含むとふわっとした味わいが広がり、ゆっくりとうま味が増していく。

燗酒の名店として知られる料理店、神田新八本店(東京・千代田)で話を聞いた。女将の佐久間玲子さんは「純米酒の素晴らしさを伝えていきたい」と笑みを浮かべる。日本酒は大きく2つに分かれ、コメとコメ麹(こうじ)だけを原材料とする純米酒と、醸造アルコールを添加したアル添酒がある。温めて楽しむ場合、香りがおだやかで味わいも自然な純米酒のほうが向くという。同店は「なるべく減農薬か無農薬のコメ」を栽培する農家とつながっている蔵元を重視している。さらに麹づくりが丁寧な酒を選ぶという。

神田新八の定番は、神亀酒造(埼玉県蓮田市)の純米酒だ。この酒蔵は約30年前、生産の全量を純米酒に切り替えた。熟成してコメ由来のうま味が増すことも重視し、醸造後2~3年は蔵で寝かせてから出荷する。珍しい銘柄だと長期熟成した「大古酒」があり、たとえば昭和57年産(1982年産)は深みのある琥珀(こはく)色に輝いている。ほっとする温かさの燗酒は、36年間を凝縮したような複雑なうま味や酸味が絡み合う。

温度の調節、料理との相性で

料理店によっては「お燗番」という担当がいて、料理との相性を考えながら銘柄ごとにちょうど良い温度で提供する例がある。揚げ物の場合、神田新八では白子の天ぷらに「日置桜」(鳥取市の山根酒造場)の純米酒を合わせるのを勧める。酸味と渋味もあるやや辛口で、食事中に口の中がリフレッシュする感覚になる。ふわりととろける白子を味わってから「油はさっと流せるように55~60度の熱燗にする」(佐久間さん)。

あんこう鍋なら、竹鶴酒造(広島県竹原市)の純米原酒「小笹屋竹鶴」という銘柄。味噌ベースの鍋は意外にも日本酒を選ぶのが難しいという。味噌の甘味が強いと酒を渋く感じやすいため、酸味やうま味がしっかりして味噌に負けないバランスのある銘柄がお勧めだとか。温度帯は鍋と合うよう52~53度に上げる。

湯煎で燗付け、器は平杯を

家で燗を付けるときは湯煎を勧める専門家が多い。電子レンジだと温まる部分とやや冷たいままの部分でムラが出てしまう。飲む器は平たい杯が適している。やや底が深い「ぐい呑(の)み」は温められた日本酒の香りが強く出過ぎる面があるが、平杯は適度に香りが抜けて、味が分かりやすくなるからだ。

燗に向く酒を選ぶなら純米酒のなかで生酛や山廃のほか、味にふくらみのある銘柄を酒販店で聞いてみよう。例えば浜嶋酒造(大分県豊後大野市)の「鷹来屋(たかきや)特別純米酒 槽(ふね)しぼり」という銘柄は穏やかなうま味で勝負している。決して派手さはないが、杯を重ねるとじわりと体にしみ渡る。寒い日に45~50度程度の燗にするのがお勧めだ。

冷酒向きの「吟醸」づくりの日本酒にも、燗を付けておいしい銘柄がある。見分けるポイントは香りだ。リンゴのような華やかな香りの「カプロン酸エチル」を多く含むものは、温めると香りが飛んでしまうので冷やが良い。「東洋美人」で知られる澄川酒造場(山口県萩市)の澄川宜史社長は「バナナにも似た香りの酢酸イソアミル系が燗にも向く」と話す。同社の「ippo 西都の雫(しずく)」や「東洋美人 純米吟醸50」は人肌くらいに温めると、香りとうま味のバランスが取れるという。

四季と伝統を映す日本酒

神田新八の佐久間さんは「もともと日本酒は温めて飲むものだった」と語るが、「日本酒は悪酔いする」「品質のよくない酒だから温度を上げるのでは」という誤ったイメージもいまだに残る。これは第2次世界大戦後のコメ不足を背景に広がった「三倍増醸酒」の影響が大きい。コメとコメこうじが発酵している醪(もろみ)にサトウキビなどからつくった醸造アルコールを加える。さらに調味料のグルタミン酸ソーダや酸味料、糖類なども入れていく。通常の日本酒よりも3倍の量になるので略して「三増酒」ともいい、日本酒離れの一因になったとされる。

ただし2006年の酒税法改正で三増酒はなくなり、冷酒向きでも燗酒向きでも、コメ作りから蔵での醸造までこだわり抜いた日本酒は増えている。単に酔うためでなく、日本の四季と伝統を重んじる飲み物として味わいたい。

(小太刀久雄)

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