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プロ直伝! カシミヤセーターの「失敗しない選び方」 UTO社長 宇土寿和氏(上)

2018/12/22

「伸び縮みの度合いは、編み立てるときの気候によっても違います。スチームやアイロンをかけると湿気で伸びますが、乾燥して縮む分も計算しておかねばなりません。グレードの高いファッション製品なのにいい加減だと言われそうですが、ハンドルの『遊び』の部分があるのが、カシミヤセーターの利点と考えています」

――遠方からの注文にはどう対応していますか。

「身長や体形から判断して、『お試し』セーターを送っています。一番着やすいものを選んでいただいて、もっとゆったりした方がいいとか、きっちりした着心地にしたいとかの希望をうかがいながら指示書を作ります」

■岩手県北上市の自社工場で製作

「色決めは基本25色から選んでもらいます。全体は乳白色だが袖の部分は濃い灰色で、といったお客さまもいました。カシミヤは製糸・紡績する前の綿の段階で色染めをします。長時間、染料の入った熱湯に浸すと繊維が硬くなるため、当社が取引している国内企業は低温で染める独自技術を開発しました」

「最初に型と風合い、編み方を決めます。Vネックかタートルか、カーディガンか。両あぜ編みか天竺(てんじく)編みか――などです。岩手県北上市の自社工場で製作します」

北上工場で熟練技術者が手作業が仕上げるオーダーメードのカシミヤセーター

――注文から完成までどれくらいかかりますか。

「冬は繁忙期なので約1カ月必要です。それを見越して最近は盛夏の時期に早めに注文するお客様も増えています。手作業の部分が多いので北上工場の従業員は、みな地元出身の熟練技術者ですが年間でも約7000枚がマックスですね」

■大敵は毛玉と虫食い

――カシミヤセーターを長く愛用するコツは何でしょうか。

「大敵は毛玉と虫食いです。『安価なカシミヤには毛玉が付くが、高価なカシミヤにはできない』というのは迷信です。毛玉の原因は解明されていて、摩擦、静電気、湿気――などです。丸1日着用したら2日休ませる、こまめにブラッシングするなどしてほしいです」

「衣類に穴を開けるのは蛾(が)の幼虫のイガ(衣蛾)やカナブンの仲間のヒメマルカツオブシムシなどです。防虫剤のほか高い場所で保管しておくと虫害にあわないという指摘もあります」

(聞き手は松本治人)

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