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プロ直伝! カシミヤセーターの「失敗しない選び方」

UTO社長 宇土寿和氏(上)

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NIKKEI STYLE

冬本番のこの時期に手放せないセーター。もう1着を買い求めるなら、暖かくてふんわり軽いカシミヤ製を選ぶのもいいだろう。カシミヤ山羊(やぎ)の産毛をよりすぐるだけに1着5万円以上するものもめずらしくない。日本で唯一というカシミヤセーターの専門メーカーで、オーダーメードも手掛けるUTO(ユーティーオー、東京・港)の宇土寿和社長にその魅力を聞いた。




――宇土社長は旅行業界の出身というアパレル産業では異色の経歴の持ち主です。起業まで決意させたカシミヤの魅力について教えてください。

「カシミヤは1に風合い、2に色、3につくり――とお客さまには説明しています。手で触ったときに、ふんわりした感触であることが1番大事です」

「カシミヤの風合いは『縮絨』(しゅくじゅう)という編み地を洗う工程で決まります。糸の間を水が通ると、糸の中に撚(よ)り込んでいる産毛が浮き出てきて、若干の縮みが生じます。これが風合いを感じさせるのです。縮絨が強ければ柔らかく、軽くすればコシのある風合いになります。作り手の勘や経験、センスが必要とされる工程です」

「風合いは編み地の詰まり具合(度目)や糸自体の撚り方、編み立てる時の天候にも左右されます。全てを計算に入れて縮絨作業に取りかかるわけです。日本人やイタリア人は、柔らかめのものが好きで、英国人はしっかりとした編み地で着ているうちに柔らかさが出てくるカシミヤを好む傾向があります。当社は後者です」

■軽くて暖かいのは空気を蓄えているから

「カシミヤを軽くて暖かいと感じるのは、そのなかに空気を蓄えているからです。ウールの繊維には『クリンプ』と呼ぶ縮れがあり、60%もの空気を含みます。中でもカシミヤの繊維の太さは14.5~16.5マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)とウールの中で最も細いので空気がたくさん入っています」

――街で見かけて「あのセーターはカシミヤだ」と気付くときがあります。

「カシミヤが持つ繊細な産毛と独特の発色具合から分かります。彩度の強い色でも光の反射を柔らかくしてくれます。細い繊維の集まりなので、乱反射が少なく均一でソフトな見え方になります」

「カシミヤセーターで単色系の製品が多いのは、セーターそのものがコーディネートされる側の製品だからです。もちろん2色や多色のセーターをつくることは可能ですが、セーターの自己主張が強いと上着やパンツに合わせにくくなります。自分の持っている上着などに合わせて、使い勝手の良い色を選んでほしいです」

■年齢を重ねるにつれ、明るいクリアな色を

――オンとオフで、どのように使い分けたらいいでしょうか。

「オフビジネスのときは楽しいカラフルなセーターがいいでしょう。オンビジネスではスーツに合わせて目立たない色を。ポイントは周囲の人に既視感が生まれないように注意すること。『あれ、昨日も同じセーターだったな』などと思われたら、せっかくのコーディネートが台無しです」

「20歳代のビジネスパーソンはベーシックな紺や黒を。年齢が上がるにつれて明るいクリアな色に挑戦してみてはいかがでしょう。高齢になれば多少顔色もくすんでくるので赤やイエローなどを着こなすのが一つの常道ですね」

――カシミヤ製品は英国製や欧州製の方が「作り」がいいとする声もあります。

「『作り』を決めるのは、欧州とか日本とかの違いではなく、ブランドや糸の種類、使用量の違いです。伝統的に英国は1本の糸からそのまま編む単糸を使いますが、日本は単糸2本を撚って一本の糸として編む双糸を使います。単糸の方が膨らみ感は出ますが、毛玉や編み地が斜めに傾く『斜行』が生じやすくなります。英国人はあまり気にしないようですが、日本では斜行したセーターは返品です」

「天然素材であるカシミヤは、長い年月着用すれば、劣化は避けられません。詰めて編み、弱めに縮絨すれば硬めにできあがり、より長く愛用してもらえます。当社では1シーズンに3~4回手洗いし、3~4年経た頃が一番なじんでくるように作っています」

■オーダーメードは長年の経験と勘で調整

――最初のカシミヤセーターを購入する価格帯の目安はどうでしょうか。

「個人的な意見ですが、5万円プラスマイナス2万円の範囲で考えたいですね。当社の男性用のオーダーメードセーターは平均5万円からです。一枚一枚個別に製作しているので既成セーターも5万円です」

――オーダーメードであつらえてもらう場合、寸法はどのように測るのですか。

「一人ひとりのお客さまの型ごとに指示書を作り、それに従って製作するのはスーツの場合と同じです。2センチメートル幅を出すときはその分の針立てを増やし、5センチ短くするときは編み回数を減らします。しかし設計図通りに進んでも仕上がりが微妙に違ってくるのがカシミヤセーターの特徴です。セーターには伸び縮みが出るからです。長年の経験と勘で調整しながら作り上げていきます」

「伸び縮みの度合いは、編み立てるときの気候によっても違います。スチームやアイロンをかけると湿気で伸びますが、乾燥して縮む分も計算しておかねばなりません。グレードの高いファッション製品なのにいい加減だと言われそうですが、ハンドルの『遊び』の部分があるのが、カシミヤセーターの利点と考えています」

――遠方からの注文にはどう対応していますか。

「身長や体形から判断して、『お試し』セーターを送っています。一番着やすいものを選んでいただいて、もっとゆったりした方がいいとか、きっちりした着心地にしたいとかの希望をうかがいながら指示書を作ります」

■岩手県北上市の自社工場で製作

「色決めは基本25色から選んでもらいます。全体は乳白色だが袖の部分は濃い灰色で、といったお客さまもいました。カシミヤは製糸・紡績する前の綿の段階で色染めをします。長時間、染料の入った熱湯に浸すと繊維が硬くなるため、当社が取引している国内企業は低温で染める独自技術を開発しました」

「最初に型と風合い、編み方を決めます。Vネックかタートルか、カーディガンか。両あぜ編みか天竺(てんじく)編みか――などです。岩手県北上市の自社工場で製作します」

――注文から完成までどれくらいかかりますか。

「冬は繁忙期なので約1カ月必要です。それを見越して最近は盛夏の時期に早めに注文するお客様も増えています。手作業の部分が多いので北上工場の従業員は、みな地元出身の熟練技術者ですが年間でも約7000枚がマックスですね」

■大敵は毛玉と虫食い

――カシミヤセーターを長く愛用するコツは何でしょうか。

「大敵は毛玉と虫食いです。『安価なカシミヤには毛玉が付くが、高価なカシミヤにはできない』というのは迷信です。毛玉の原因は解明されていて、摩擦、静電気、湿気――などです。丸1日着用したら2日休ませる、こまめにブラッシングするなどしてほしいです」

「衣類に穴を開けるのは蛾(が)の幼虫のイガ(衣蛾)やカナブンの仲間のヒメマルカツオブシムシなどです。防虫剤のほか高い場所で保管しておくと虫害にあわないという指摘もあります」

(聞き手は松本治人)

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