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厚生年金の支給開始年齢 2030年度から全員65歳 特別支給は終了

2018/12/22

写真はイメージ=PIXTA

公的年金の支給開始年齢は原則として65歳です。ただし厚生年金は65歳に向けた移行期間中のため、当分の間、65歳未満でも一部を受け取ることができます。最近ではもらい始める年齢を本来より繰り下げたり繰り上げたりする仕組みも注目されています。年金を受け取る年齢についてみてみましょう。

公的年金には主に自営業者向けの国民年金と会社員らが加入する厚生年金があります。国民年金の支給開始年齢は1961年度のスタート時から65歳でした。戦時中に始まった厚生年金の場合、開始年齢は当初55歳だったのが段階的に引き上げられました。

85年には大規模な年金制度改革があり、厚生年金の加入者は同時に国民年金にも加わり、支給開始年齢が65歳に統一されることとなりました。ただ、いきなりだと影響が大きいので移行措置が設けられました。これが前述の65歳未満でも受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」です。

特別支給には定額部分と報酬比例部分があり、それぞれ開始年齢は12年かけて上がっていきます(図)。移行措置はまず男性で2001年度に始まり、5年遅れで女性が後を追います。例えば今(18年度中)60歳の男性の場合、特別支給の年金をもらい始める年齢は63歳です。今から3年後、年度でいうと21年度からです。

年齢が若いと特別支給はありません。生年月日でみて男性は1961年4月2日、女性は66年4月2日以降だと対象外です。厚生年金の支給開始年齢が本来の65歳に完全移行するのは男性が2025年度、女性は30年度です。

少子高齢化が進み、支給開始年齢は一段の引き上げが必要だとの指摘があります。一部で68歳への引き上げ案も示されました。厚生労働省の資料によると米国やドイツは67歳、英国は68歳への引き上げを決めています。これに対し、根本匠厚生労働相は「ただちには考えていない」と一律の引き上げを否定しました。

年金財政の考え方は04年の制度改正を機に変わりました。以前は給付を優先し、必要な分を保険料で集めていましたが、そのままだと保険料が天井なく上がる懸念がありました。そこで「収入の範囲内で給付を調整する形式に変えた」とニッセイ基礎研究所の主任研究員、中嶋邦夫さんはいいます。保険料の水準に上限を設けて固定することにしたのです。この結果「支給開始年齢を見直す必要性は小さくなった」と指摘します。

年金制度には受給開始の時期を60~70歳の間で自由に選べる仕組みがあります。時期を65歳より早めることを繰り上げ受給といい、もらえる年金月額は減ります。反対に時期を遅らせるのが繰り下げ受給で、年金月額は増えます。政府は繰り下げの選択可能年齢について現行の70歳ちょうどから将来、70歳超に広げる考えです。70歳超を選べば年金月額はさらに増えます。

繰り下げはあくまで本人の意思によってもらい始めの時期を遅らせることです。開始年齢自体の引き上げとは違うので勘違いしないようにしましょう。19年の年金財政検証を踏まえて、具体的な制度改正案が固まる見通しです。

[日本経済新聞朝刊2018年12月15日付]

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