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自筆の遺言書、作る負担減 パソコン作成一部OKに 大幅見直し、相続の法制度(2)

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2019/1/3

写真はイメージ=PIXTA
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相続に関する法制度が大きく変わる。前回「民法改正で変わる相続 配偶者の居住権・遺産分割…」で主な改正内容を紹介したが、第2回は自筆の遺言書について改正ポイントを説明する。

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今回の相続法改正の中で、最も多くの人に関係する身近な項目として「自筆証書遺言」の改正がある。「これまで完璧に仕上げるにはハードルが高かった自筆の遺言だが、改正でトラブルや失敗が減ることが期待できる」と相続を専門に扱うレガシィ・代表社員税理士の田川嘉朗さんは話す。

遺言書は相続財産の多寡にかかわらず、後の相続のトラブルを防いだり、相続財産を所有する人(被相続人)が希望する遺産分割をしたりするのに重要な役割を持つツールとなる。これを機会に既存の作成ルールと改正内容を理解し、遺言書の作成に挑戦してみるのがお勧めだ。

■財産目録をパソコン作成、全ページに署名・押印必要

遺言書には、(1)遺言を残す本人が直筆で書く自筆証書遺言、(2)本人が読み上げた内容を公証人が筆記する公正証書遺言、(3)遺言書そのものを封じて作成した遺言の内容を秘密にできる秘密証書遺言の3種類がある。今回の改正の対象となるのは(1)自筆証書遺言(以下、自筆遺言)だ。自筆遺言は気軽に書ける半面、書き方の不備で無効になったり、「失くした」「偽造された」などのトラブルが起こったりしやすいなどの問題点も指摘されている。遺言書の記述が、遺言書を見つけた人に有利な内容だった場合、「勝手に書き加えた」などと他の相続人から指摘され、もめる原因になるケースもある。しかし、今回の改正でこうした不具合は少なくなりそうだ。

まず大きな改正点となるのが、一部パソコン作成が認められたことだ。これまで自筆遺言では全文直筆で仕上げる必要があったが、そのうち、相続や遺贈をさせる財産に関しての記述部分を別紙という扱いで財産目録とする場合、これをパソコンで作成してよいことになる。または、相続財産となる銀行預金口座の通帳のコピーや、登記事項証明書などの添付で同じく別紙の相続財産リストとすることも認められる。このスタイルなら、いくつもの金融機関の口座で預貯金や株式を持っていたり、複数の不動産などを所有していたりする人にとっては作業負担がかなり軽減されそうだ。

たびたび遺言書を書き直す人にとっては、一度財産目録を作っておきさえすれば、保有資産に変化が生じた場合もその部分だけ手直しすればよいことになる。

注意したいのはパソコンやコピーの添付で作った財産目録は、全てのページに本人の署名と押印が必要になること。これを怠ると、遺言書そのものが無効になる可能性もある。「用紙の両面にデータが印字されている場合は紙の両面に署名と押印が必要。この点も忘れないよう注意してほしい」(大和総研・金融調査部研究員の小林章子さん)

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