超貴重、宝石になった恐竜の化石 しかも新種

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/12/24
ナショナルジオグラフィック日本版

現在のオーストラリアにある浅い湖を、ウィーワラサウルスの群れが渡る(ILLUSTRATION BY JAMES KUETHER)

オーストラリア内陸の町、ライトニング・リッジに近いウィー・ワラの鉱山で、オパールでできている恐竜の化石が見つかった。新種として新たに命名された恐竜、ウィーワラサウルス・ポベニ(Weewarrasaurus pobeni)の化石だ。2018年12月4日付けで学術誌「PeerJ」に論文が発表された。

鳥脚類という恐竜のグループに属するウィーワラサウルスは、大型の犬ほどのサイズで、後ろ脚で歩き、くちばしと歯を両方備えて、植物を食べていた。身を守るため、群れで移動していた可能性がある。北半球にはトリケラトプスやハドロサウルスといった植物食の恐竜がいたが、南半球にはそれらと大きく異なる恐竜たちが生息していたらしい。今回の化石も、そうした証拠の一つに加わった。

オパールは貴重な宝石の原石で、オーストラリアのこの地域で産出することが知られている。

「古生物学者としては、骨の解剖学的な構造にとても興味があります。特にこの場合は、歯です」。論文の筆頭著者でオーストラリア、ニューイングランド大学のフィル・ベル氏はこう話す。「しかし、ライトニング・リッジで調査をしていると、虹色のオパールの中に保存された化石があるという事実を無視できません」

地球上に二つとない場所

シドニーの700キロ余り北西にある乾燥地帯に、数百の小さな鉱山がある。しかし、恐竜の化石はごくまれにしか見つからないため、歯のついた顎の化石が発見されたのは奇跡的だとベル氏は言う。「ここは本当に特別な場所です。美しいオパールの中に恐竜が保存されている場所は、世界中探しても他にありません」

オパールは、ケイ酸を豊富に含む地下水が濃縮し、長い年月をかけて生成される。今回の化石は2013年、アデレードに拠点を置くオパールのディーラー、マイク・ポーベン氏が発見した。新種の学名は彼の名にちなんでいる。ポーベン氏はいつものように、加工前のオパールを採鉱業者から1袋買い、化石を探していた。すると、見慣れないかけらが1つ目に留まった。

「頭の奥で『歯だ』という声がしました」と彼は振り返る。「信じられない、と思いました。ここに歯があるなら、これは顎の骨じゃないかと」

ポーベン氏は、歯をとどめたオパールを手元に残し、残りを仲介業者に送った。9日後、売れ残ったオパールが返却され、ポーベン氏はそれらも調べてみた。

「すると化石がもう1つ見つかりました。最初のものよりも小さく、歯の根がはまる穴がある骨です。ひっくり返すと、頭の中が爆発しそうになりました」とポーベン氏。「2つの化石片を並べると、同じ顎骨の一部だとわかったのです」

ウィーワラサウルスの右下顎の化石。オパール化して虹色になっている部分が見える(PHOTOGRAPH BY ROBERT A. SMITH)

論文著者のベル氏が、独特の歯を持つこの化石を初めて目にしたのは2014年のこと。最初は、開いた口がふさがらなかったと明かす。ポーベン氏はその後、この化石をオーストラリアオパールセンターに寄付。同センターはライトニング・リッジにある博物館で、オパール化した化石の世界最大のコレクションを有している。

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