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アクシデント発生 チーム一丸でNever give up!!

目指せソーラーカー世界一(4)

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NIKKEI STYLE

工学院大学ソーラーチームで、2017年度にキャプテンを務めた中川拓朗です。今回は、2017年に参戦した世界大会で、本戦前の調整中に発生したアクシデントとそこからの復活劇についてお話しします。

本戦前の試走

2年に1度、オーストラリアで開催されるソーラーカーの世界大会「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」では、本戦前に決められた範囲内でソーラーカーを公道で試走することが認められています。世界中から集まったチームはここで各々のソーラーカーを走らせ、最終調整を行います。それまでは、国内のクローズドコース(自動車のテストコースやサーキットなど)でしか走らせることができないため、公道の荒れた路面、吹き付ける強風などの過酷な環境下で調整できるこの機会は大変貴重です。また、ドライバーにとっても、過酷で危険な公道を利用した運転を経験できるのは本戦前の公道試走だけです。加えて、ソーラーカーをサポートする他のメンバーのトレーニングも同時に行います。

本戦前の公道試走を行うために、工学院大学ソーラーチームは、本戦開始の2週間以上前にオーストラリアに入り、南オーストラリア州の州都であるアデレードから約600キロ北上したグレンダンボという町の近くで試走を始めました。

試走2日目、今大会最大のアクシデント

現地試走の2日目から、私たちはオパールの産地として名高いクーパーペディという小さな街を拠点に2~3日間試走を繰り返す予定でした。しかし、試走中に想像だにしなかったアクシデントがチームを襲います。速度を超過したロードトレインとすれ違いの際に大きくあおられ、ソーラーカーが横転してしまったのです。まだ足回りの調整の最中でソーラーカーが最適な状態ではなかったことや、ドライバーの経験不足など、様々な不幸が重なりあって起きたアクシデントでした。ドライバースペースはドライバーを安全・確実に守られるよう設計していたため、ドライバーに怪我はありませんでした。しかし、ソーラーカーへのダメージは甚大でした。ボディー側面には大きな穴が空き、後輪を囲むホイールハウスも大きく破損、ソーラーパネルは道路を滑った際に一部分が削り取られてなくなっていました。

1年以上かけて設計・製作してきたソーラーカーがボロボロになっているのはショックで、呆然としてしまいました。そして、公道でレースをするということがどれだけ危険なものであるのかを改めて実感し、恐怖心さえ抱くようになってしまいました。

「最後まであきらめない」――チームの意思

アクシデントに見舞われた翌日、試走のために先にオーストラリア入りしていたメンバー全員が集まりミーティングを行いました。全員の意思を確認するためです。大会の本戦まで残り2週間ほど。ソーラーカーを修復してレースに復帰するのか? それとも、安全を考えてレースを諦めるのか? 全員が納得して今後の方針を決める必要がありました。

ミーティングの結果、満場一致でソーラーカーを修復し、復帰することを決断しました。大会までわずか2週間という短い期間でボロボロになった車両を修復して自分たちの作ったソーラーカーで走りきる。最後まであきらめず、できる限り手を尽くす。それがチームの強い意思でした。しかし、"あきらめない"というだけではレースに復帰することはできません。もう2度と同じようなアクシデントを起こさないようにしっかりと安全対策も練った上での決断でした。

砂漠の街で分解、部品を確認

ソーラーカーを修復して、レースに復帰することを決めたものの、本戦までわずか2週間しかありません。この短い期間でレースができるところまで修復するのは容易なことではありませんでした。

まずはソーラーカーのダメージの確認です。外見から分かるダメージだけではなく内部に損傷がないかも念入りにチェックする必要があります。少しでも早くボディーやソーラーパネルの修復を進めたいい気持ちを抑えながら、ミーティングを行ったその日のうちにソーラーカーを分解して、一つ一つの部品を確認していきました。アクシデントに見舞われたクーパーペディ、実は砂漠のど真ん中の街です。まさか砂漠の中でソーラーカーを分解することになるとは想像すらしていませんでした。

幸い、内部の部品にはダメージはありませんでした。そうと分かれば、本格的に修復を進めていきます。まずは削り取られたソーラーパネルです。車体に貼られたソーラーパネルを剥がして、新品のパネルと交換します。我々のソーラーカーは特殊な工程でソーラーパネルを搭載していたので、修復も一筋縄ではいきませんでしたが、なんとか交換できました。次に大きく穴のあいたボディーです。このボディーは空気抵抗を最小限にするため曲面でできています。そのため、修復するには日本にある型を使ってリペアパーツを作る必要がありました。

後発隊の下級生、リペアパーツを製作

ボデーの修復に必要なリペアパーツは、後発隊である下級生たちが製作して運搬しました。実は試走の際のメンバーはドライバーやチームの中心となる上級生でした。これは、上級生たちが先発隊として先に現地入りし、下級生たちは後発隊として試走後に現地入りする予定だったためです。アクシデント発生時に日本にいた下級生たちは、当然、ソーラーカーの状況を知りません。また、普段作業指揮を取っている上級生が不在でした。この状況で下級生たちにリペアパーツの製作を委ねることとなりましたが、しっかりと必要なパーツを製作し、持ってきてくれました。

なぜチームの中心となる上級生たちが不在の中、下級生だけで対応できたのか? それは、日本でソーラーカーを製作していた頃から下級生が確実に経験を積んで力をつけてきたからでした。しかも1人や2人ではなく10人以上のメンバーです。ソーラーカーのボディーを作っていたとき、その主戦力は下級生でした。1年生から4年生、大学院生まで幅広く力を付け、チーム力を底上げしていたからこそ、ソーラーカーを修復して無事に復帰することができたのです。

修復完了は車検2日前

こうしてソーラーカーを修復して「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」に参戦しました。実は、修復が終わったのは大会に出場するための車検受検のわずか2日前というギリギリのものでしたが、何とかやりきることができました。レースの結果は7位と入賞にはいたりませんでしたが、アクシデントに見舞われた時に諦めなくて本当に良かったと思っています。

「諦めずにやりきることが大切」。言うことは容易ですが、実行するのは並大抵なことではありません。その時、自分に能力が足りなければ諦めるしかありません。誰も助けてくれなければできないかもしれません。我々も自分たちだけの力ではなく、チームの監督やアドバイザーの方々(プロのエンジニアの方々です)に助けてもらいながらやり抜きました。

「あきらめずにやりきる」。そのためには普段から力を付け、経験を積み、やりきるための能力を身に付けなければなりません。辛かったことも我々の身になっていたことを実感しました。諦めたくないとき、それをやり抜くための力がなくて断念してしまう、非常にもったいないと思います。今回も本当にレースに復帰できるか分かりませんでしたが、我々は決して諦めることなくチャレンジを続けやり抜きました。チャレンジしようと思えるだけの自信、そして本当にやり抜くことができる力をつけるために、日頃から経験を積んでいくことは重要なことだと思います。また、日頃から努力している人は周りの人たちも助けてくれることでしょう。

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