旬のカキ、どこで食べる? 脂肪減らし疲労回復効果も
プリプリとした食感と濃厚な味わいが人気のカキ。そのまま生で食べるのはもちろん、焼き、蒸し、フライ、鍋など、さまざまな調理法でおいしく食べられる食材です。良質なたんぱく質を含みミネラルが豊富なカキは、栄養価の高さから「海のミルク」とも呼ばれています。都内ではたくさんのオイスターバーやカキ料理専門店が営業しており、連日多くの人でにぎわいを見せています。
旬の野菜と一緒に食べて効率的に栄養摂取
日本で流通しているカキにはいくつかの種類がありますが、秋冬の寒い季節にはマガキが旬を迎えます。「マガキは夏に産卵し、そのときにうま味成分や栄養分が使われるため、うま味や栄養を蓄えた冬が最もおいしくなるといわれています」と話すのは、管理栄養士・ナチュラル料理研究家の谷口あゆこさん。産地により多少異なりますが、一般的に濃厚でこってりとしているのがマガキの特徴です。
カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、銅など多くの栄養を含んでいるカキ。これらの栄養は身体的・精神的疲労の回復に役立てられるといいます。鉄分も豊富なため、特に女性は貧血予防のためにも食べておきたい食材です。また、肝臓の働きを助けるグリコーゲン、肝臓にたまった中性脂肪を減らしてアルコールの分解を助けてくれるタウリンも含むため、年末年始など飲み会が増える時期のおつまみとして、カキを取り入れるのは効果的だといいます。
カキに含まれるカルシウムは、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンC、たんぱく質と組み合わせると吸収が良くなるため、ビタミンDを多く含むきのこ類や、ビタミンCを多く含む旬の青菜(秋冬ならほうれん草、小松菜、春菊、青梗菜など)と一緒にとるのがおすすめです。ビタミンCは鉄分の吸収にも欠かせないため、「生ガキやカキフライにレモンを搾るのは、おいしく食べられるだけでなく栄養面でも最高の組み合わせです」と谷口さんは太鼓判を押します。
カキを食べる際、食中毒を引き起こすノロウイルスが気になるという人も少なくありません。厚生労働省はノロウイルスの予防として「85~90℃で90秒以上の加熱がのぞまれる」と発表しており、心配な人はしっかり加熱したカキを食べることが最も安全です。自宅でカキを食べる際は新鮮なものを購入し、冷蔵庫で保管を。外食する場合は、衛生管理が行き届いた信用のおける飲食店を選ぶようにしましょう。
ここからは、衛生・品質管理にこだわりながら、個性的なカキ料理を提供している外食店をご紹介します。
安全性の高いこだわりのカキをフォアグラと味わう
東京駅八重洲地下街にある「THE CAVE DE OYSTER(ザ・カーブ・ド・オイスター)」は、オイスターバー・レストランを国内27店舗展開しているゼネラル・オイスターグループ運営のカキ専門店。海水を吸って吐き出すカキの性質を利用し、全国の産地から運ばれてきた新鮮なカキに海洋深層水をかけ流す独自の方法で浄化。高品質な生ガキを安心して食べられるよう提供しています。
お店を訪れたらまずオーダーしたいのが「ホットオイスタープレート」(2480円)。ジューシーなカキのバターソテー、香り豊かな香草ガーリックバター焼き、衣がサクサクのカキフライを一皿で楽しめます。ゼネラル・オイスター経営管理部グループ広報担当の高瀬繭さんは「当店で1、2位を争う人気メニューです」と話します。カキに合うよう開発したオリジナルワイン「CACCCI ソーヴィニヨン・ブラン」(グラス590円)との相性も抜群です。
高級食材のフォアグラとカキを一緒に楽しめる「牡蠣とフォアグラのソテー」(1490円)は、ぜひ赤ワインと一緒に楽しみたい一品。フォアグラとカキの濃厚な味わいを、バルサミコソースのほのかな酸味が引き締めてくれます。他にも定番の生ガキや焼きガキ、パスタなども豊富にそろい、新幹線に乗るまでの短時間の滞在から、ランチ、デート、接待など、一日を通して多くの人でにぎわうそうです。
うま味たっぷりカキの土鍋ご飯 リンゴとカキのグラタンも
和食料理店「銀座かなわ」では、広島から直送されてくるカキをはじめとした新鮮な魚介類にこだわっています。カキ養殖量日本一の広島では、生食用カキと加熱処理用カキを養殖する海域が明確に分かれており、かなわでは生食用の海域に浮かぶ無人島大黒神島(おおくろかみしま)の養殖場で獲れたカキを使用。店長の恩田千秋さんは「水がきれいな場所で育ち、身がしっかり詰まっているので加熱しても縮みにくいのが特徴です」と話します。
寒い季節になるとオーダーが増えるという「かなわ名物 かき飯」(2~3人前 2670円)は、たっぷりのカキと白米をかつおだしや薄口しょうゆなどのシンプルな味付けで炊いた土鍋ご飯。クリーミーなカキと、カキのうま味が染み込んだご飯は絶品。やさしい味付けで老若男女に愛されるおいしさです。
スイーツ感覚でも楽しめる「かきとリンゴのグラタン」(1450円)は、くりぬいたリンゴにカキやきのこ、リンゴペーストを混ぜたホワイトソースとチーズを載せて焼いたユニークな一品です。リンゴは甘みと酸味のバランスが良い「ふじ」のみを使用。リンゴの爽やかな甘みとカキの濃厚さ、チーズの塩気がそれぞれの食材を引き立てています。
カキの珍味や焼きガキ 専門店こだわりの味を堪能
国産のカキを日替わりで提供している「牡蠣屋うらら 飯田橋店」。和食を中心としたオリジナリティーあふれるカキ料理が楽しめると、特に女性客から人気。総料理長の田中弘洋さんは「信頼できる業者を通して毎日仕入れているので、大きさ、クリーミーさ、香りなど、産地や季節によって異なるさまざまなカキをご用意しています」と話します。
宴会シーズンに人気のコースは3980円~。カキを心ゆくまで楽しむなら「厳選牡蠣コース」(1人4980円)がおすすめです。コースの前菜「牡蠣八寸」は、旬の食材と一緒に6種類のカキ料理が楽しめます。香りがよく乗った「牡蠣の燻製オイル漬け」、お酒のアテにぴったりな「牡蠣の塩辛」、「牡蠣のなめろう」など、専門店ならではの珍しい料理も。カキ好き同士でつまめば会話もはずみそうです。
定番の「焼き牡蠣」(各580円)は種類豊富。しょうゆベースの特製ダレで焼いた「和風焼き」、自家製の味噌で焼いた「味噌焼き」、香ばしい香りがたまらない「ガーリックバター」など、和洋さまざまなアレンジで旬の味を堪能できます。「今の季節は焼き牡蠣や牡蠣鍋が人気です。春夏は岩ガキが旬ですし、カキは一年を通しておいしい食材。ぜひ季節を問わず楽しんでほしいですね」と田中さん。
年末年始の付き合いで連日飲み会続きという人も多いはず。宴会ではカキ料理をオーダーして、おいしく栄養をとってみてはいかがでしょうか。
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(取材・文 GreenCreate)
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