生物が好きすぎて~わくわく研究室ライフ
発信! 理系女子(17)
こんにちは! 東北大学の秋山佳央です。文系の皆さんや、まだ研究室に配属していない1~3年生の皆さんにとっては、理系の研究室って、なんか想像つかない...。と思っている方も多いのではないでしょうか。
「理系の研究室」と一口にいっても、研究室ごとにそれぞれの雰囲気があり、同じ「理系の研究室」でも別の研究室を覗くと結構新鮮で、驚くことも多いです。
そこで、「こんな研究室もあるよ!」ということで私の研究室の様子について、少しご紹介したいと思います。
研究室にいない!?
普通、研究室には"コアタイム"と呼ばれるものがあります(遠藤夏奈江さんの記事を参照)。コアタイムとは、この時間は研究室にいるように、と決められた時間のことです。コアタイムの時間帯は研究室ごとに違います。
私の研究室にはコアタイムは存在しません。来る時間も帰る時間も、自分の都合しだいです。午後に来る人もいれば、昼夜逆転している人もいます。
私たちの研究室にコアタイムがないのは、調査や採集に出かける人が多く、コアタイムを決めても「いません!」ということが多かったりするからかもしれません。実際私もフィールドへ出ていることが多いです。また、生き物相手の研究であると、どうしても研究対象の生き物たちに時間を合わせなければいけない場合もあり、決まった時間というのが難しいからかもしれません。
ひたすら山で調査!
私は小笠原諸島のカタツムリの研究をしていて、調査で外に出ていることが多いです。私が対象としているカタツムリは、山の標高約300m以上にしか生息しない種類なので、調査中はほぼ毎日山に通います。また、時間帯の違いによる行動の違いも見たいので、早朝と昼間の調査を行っており、暗いうちから一人で山に登っています...。さみしかったりこわかったり、辛いこともありますが、カタツムリたちに会えるのはもちろん嬉しいですし、早朝に行くからこそみられる景色もあり、楽しんでやっています。
そして私の対象としているカタツムリはこちらです。オガサワラオカモノアラガイといいます。みなさんが想像するカタツムリとはだいぶ違う見た目をしていると思います。どっちかというとナメクジですね。でも、ちゃんとお皿のような殻を持っています。一生懸命葉の上を這っている姿はとってもかわいいです。
この子たちが、なぜ殻を失う方向に進化していったのか、というテーマで研究しています。またこれらの種類は小笠原諸島の固有種で、中でも母島にしか生息していません。彼らの生息場所を守っていくためにも、彼らの生態を詳しく調べて保全にも貢献しようと思っています。
ちなみに先日は、沖縄から東に約400km離れた大東島に調査に行ってきました。大東島の固有のカタツムリたちが、後から入ってきてしまったカタツムリを食べる外来種の影響をどれくらい受けているか、という調査です。調査地点が観光地であることもまれにあり、きれいな景色に感動したりもします。
マイブームはヤモリ
もちろんカタツムリも好きな動物ですが、実は一番好きなのは両生類・爬虫類(カエルやヘビ、トカゲなどのなかま)です。基本的にはトカゲもカエルもヘビも好きですが、今一番自分の中でアツいのは「ヤモリ」です。みなさんも目にされたことがあるかと思います。
昔からヤモリは好きでしたが、最近調査で小笠原や南西諸島に出かけることが多く、そこには本州と比較にならないくらいたくさんのヤモリが宿の周りなどに生息しており、目にする機会が多くなったので、よりそのかわいさに魅了されています。まさに会いに行ける(むしろ来てくれる)アイドル。吸盤のようにはりつく足が、とってもキュートです。5cmくらいのサイズの赤ちゃんヤモリなんて、目がくりっとしてとってもかわいい。
カワイイだけではなく、夜、明かりにひかれてやってくるガやゴキブリを捕食している姿はなんとも頼もしく、カッコイイです。みなさんもぜひ、ヤモリと会える機会があったら観察してみてください。
次世代の研究者を目指す中高校生に「女性研究者ってかっこいい!」「理系って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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