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後で後悔したくなかったから大学院に進んだ

発信! 理系女子(2)

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NIKKEI STYLE

日経カレッジカフェをご覧の皆さん、初めまして。東北大学サイエンス・エンジェルの遠藤と申します。もしも「サイエンス・エンジェルって何?」と思った方がいらっしゃいましたら、第1回の滝沢さんの記事をご覧ください!

さて、今回は自己紹介も兼ねて、私が大学院に進学した経緯などをお話ししたいと思います。最近学部生とお話しする機会があるのですが、そういうときに必ず聞かれるのが「なぜ大学院に進学したんですか?」という質問です。私も大学院に進学する際かなり迷ったり悩んだりしたので、その体験から皆さんの進路を考える一歩になればいいなと思います。

ラヴォアジェのガラス器具に魅せられて

まず初めに、なぜ理系に進んだかということをお話しします。これを言うと、変わった人と思われがちなのですが、私は小学生のころからガラス製の実験器具が好きで、将来は自分の家に実験室を作るのが夢でした。伝記の漫画を読むのが好きで、ライト兄弟や、ヘレン・ケラーなどたくさんの伝記を読んだのですが、その中で一番印象に残ったのがアントワーヌ・ラヴォアジエでした。

ラヴォアジエといえば、自宅に実験室を持ち「質量保存の法則」を見つけたことで有名です。その漫画のなかでも、私はラヴォアジエがガラス器具を新調するシーンに強く惹かれました。「なんだこの変な形のガラスの入れ物は!?」と思ったのを覚えています。そこから私のガラス器具への憧れが始まりました。

しかし一方で、高校時代、私には夢がたくさんありました。感化されやすい性格なので、ドラマや漫画の影響から、警察官だったり、お医者さんだったり、ケーキ屋さんだったりと本当に際限なくたくさんの夢を見ていました。そんな選択肢の中で、理系、特に化学の道を目指そうと思ったのは、生まれて初めて憧れを覚えたラヴォアジエに導かれたからかもしれません。

進路に悩み続けた日々

そして、実験器具への期待を胸に東北大学の化学・バイオ工学科の一員となった私。しかし、入学後初授業の学科のオリエンテーションで大きな衝撃を受けました。それは「大学院進学率の高さ」です。私の学科の大学院進学率は89%にも上ります。実は東北大学の工学部は学部1年生から大学院までの一貫教育を想定してカリキュラムを編成しており、本格的に研究が始まるのは学部4年生になってからなのです。

しかも、4年生の夏には大学院入学試験があるため、研究に集中できるのは大学院入学試験終了後の半年間しかありません。まず、不安に感じたのは大学院への入学試験です。高校受験や大学受験のドキドキがよみがえります。8月に入学試験があって、もし落ちたらそこから就活するの...? と気分が重くなりました。

さらに不安になったのは、お金の問題です。私の家庭は裕福というわけではないので、奨学金も使いながらの進学でした。読者のみなさんにも奨学金を使って進学したという方は多いと思います。奨学金というものの、普通に国に借金しているというだけなので、卒業してから返済するには金利がかかります。6年間奨学金を借り続けたらどれくらいになるのか......。考えなくてはならないけれども考えたくない現実でした。その上、大学院でももちろん入学金や授業料がかかります。

私は両親からお金のことで怒られたり、文句を言われたりしたことはありませんが、私のためにこれ以上の出費をしてもらうのかと思うと心苦しいものがありました。そのうえ、新入社員になるときにはすでに25歳になっているので、結婚や出産のタイミングが遅れてしまうのではないかという不安もありました。私の親族のなかには大学院に進学した者も、理系に進学した者もおらず、大学院進学のメリットやデメリットを教えてくれるような人がいなかったことも不安を大きくしました。

すぐに私は両親に相談しました。すると、両親は特に反対する事もなく「好きにしたらいいよ。頑張って」と言ってくれました。そのとき、私はそれまで高校も大学も選ぶときには両親に頼りっぱなしで、「親が決めたから安全だろう、正しいだろう」と自分で何も考えずに決めていたことに気づきました。そして、これからは自分で決めていかなくてはならないということにも気づきました。そこからはかなり迷い、正直3年生が終わる頃までずっと決めあぐねていました。

しかし、考えれば考えるほどわからなくなっていき、もうそれだったら自分の満足のいく方にしよう! と思いはじめました。学部で卒業した自分と、大学院を卒業した自分を想像したとき、私には学部で卒業していく将来は見えませんでした。やっぱり、化学に憧れて入学したのだから、思う存分化学に携わりたいと思いました。一度そう考えてしまうと、大学院入学試験は自分の努力でなんとかできることだし、お金のことだったり、結婚のことだったりは今考えることでもないと思ったのです。

「大学院に行ったほうがいいですか?」

「子供には未来がある」と言いますが、私は大学生という身分にもたくさんの選択肢が、未来があると思います。授業に出るのもサボるのも、どんなサークルに所属するのも、すべて自由です。よく、「大学院に行った方がいいと思いますか?」と後輩からきかれるのですが、それぞれの人生で絶対にこっちがよいということはないと思います。それぞれの生き方の価値観に合うような選択をすることが大切なのではないでしょうか。誰かのためだけに選択すると、後から辻褄が合わず辛くなることが多々あります。

私は、大学院への進学について考えていたときに、どちらが「楽か」「普通か」よりも、どちらを選んだら「自分が後で後悔しないか」の方を重視したいと思いました。みなさんの中にも進学だけでなく何か迷っている方がいらっしゃいましたら、考えて考え抜いて、自分にとって一番大切な判断基準は何なのか見つめなおしてみてはいかがでしょうか。

(遠藤夏奈江)

東北大学サイエンス・エンジェル
 次世代の研究者を目指す中高校生に「女性研究者ってかっこいい!」「理系って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。

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