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就活生よ!RPG「就活ヒットポイント主義」でいいのか

常見陽平 千葉商科大学専任講師

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NIKKEI STYLE

ドラクエにはまった子ども時代

師走だ。2016年も終わりに近づいている。ふと気づいた。今年は『ドラゴンクエスト(通称:ドラクエ)』シリーズ30周年という記念すべき年であることを。あれは1986年のことだった。当時、パソコンゲームでは既に『ウィザードリー』『ウルティマ』などのRPG(ロールプレイングゲーム)が人気を呼んでいたが、ファミコンで大ヒットした本格派RPGはドラクエが初めてだった。

当時、小学6年生だった私はこのシリーズに夢中になった。人気バンドのマキシマム・ザ・ホルモンが「アンビリーバボー!~スヲミンツ ホケレイロ ミフエホ~」という曲でネタにしているが、初期のドラクエはセーブ機能など気のきいたものは皆無で、「復活の呪文」なるパスワードがあり、意味不明の文字をひたすら記録した。チラシの裏にメモしたものがどこかにいってしまったり、「ぬ」と「ね」など似ている字を書き写し間違えてしまったり、まあ、苦労した。最初の作品は、仲間という概念がなく、ひたすら一人で冒険をしなくてはならなかった。洞窟も、たいまつを使うか、呪文を唱えなければ暗いままだった。

そんな苦労も相まって、経験値をためてレベルをあげ、アイテムを揃えて、ラスボスの竜王を倒した際の達成感は格別だった。結局、その後もドラクエシリーズはやり続け7まではクリアした。8は、ぐるぐる回る画面にいまいち馴染めず、最初の村でやめてしまったのだが。

個人的には一番難しいのは2だったように思う。船を手に入れた瞬間、、いきなり難しくなってびっくりした。完全に設計ミスで、物語の進行順を飛び越え進んでしまうのだった。

納豆ご飯1杯だけで24時間プレイ

大学時代は、中古で買った4にハマり、納豆ご飯1杯だけで24時間プレイし続けたこともある。ちょうどこの日に、珍しく大学をサボったのだが、そこういう日にかぎって滅多にとらない出席をとる日に当たってしまった。欠席が影響したのかBがついてしまった。

ドラクエの話なので、ついついムダに熱くなり前置きが長くなってしまった。本題だ。就活のことをこのドラクエのように捉えている学生と毎年、遭遇する。まるでラスボスを倒すかのように、アイテムを揃えたり、ヒットポイントを計算するかのような行動をする学生だ。

より具体的に言うと、こういうことだ。内定をゲットするためには、企業の面接官を納得させなくてはならない。納得にいたるための説得材料をあたかも、ドラクエのラスボスのヒットポイントのように捉えてしまうのだ。つまり、大学や学部の銘柄、サークルやバイトなど学生時代に力を入れたこと、ゼミなど学業で力を入れたこと、その他、留学などの経験や語学力や資格などがあたかも、ポイント制で問われるかのように捉えてしまっている。

武勇伝は「会心の一撃」になるのか?

「サークルを立ち上げ、部員を数十人にし、イベントを大成功させた」「学園祭の模擬店で史上NO.1の売上を記録した」というような武勇伝は「会心の一撃」並に、ヒットポイントを奪いそうに思われ、内定が一気に近づきそうになったかのように思えてくる。逆に言うと、こういう人に自慢できそうな体験がない人は、「檜の棒」や「こん棒」「銅の剣」と言った弱い武器でラスボスに立ち向かっているかのような気分になる。

いつの時代になっても、就活生がよくする質問といえば「ウチの大学の名前は就活に有利か?」「バイトをいくつも変わっているのだが、就活では不利にならないか?」「サークルを途中でやめているのだが、これは就活では言わない方がいいか?」という、自分のプロフィールや体験が有利なのか不利なのかに関するものだ。これぞまさに「就活ヒットポイント主義」だ。面接官のヒットポイントをゼロにしたら内定が出るかのような考え方ではないか。

立ち止まって考えてみたい。「就活ヒットポイント主義」の人は、いつになったら安心するのだろうか。逆にスゴイ体験があったら、就活が一気に上手く進むとでも思うのだろうか。もしも、揃えた武器でヒットポイントを奪えず、内定に至らなかったらどうするのか。

この「就活ヒットポイント主義」は就活や大学生活に関する大いなる誤解である。人事担当者が見ているのは「何」をやったかではない。「どうやったのか」「なぜやったのか」という、価値観や動機、思考回路、行動特性、勝利の方程式などである。派手な経験だろうと、地味な経験だろうとこれが問われる。

採用基準は「できそうか」「のびそうか」「あいそうか」

いかにも就活の面接で語られる大成功話も、この基準で見るとだいぶ見方が変わってしまう。単なるラッキーパンチだったこと、実は周りの皆の活躍によるものだったこと、その経験によって何らかの成長や変化がなかったことばバレてしまったりする。採用基準は「できそうか」「のびそうか」「あいそうか」だ。学生時代の体験は判断材料にはなるが、一つの体験が「必ず」決定打となるとは限らない。

もっとも、学生を「就活ヒットポイント主義」に走らせているのも、就活というシステムそのものと、それに対する誤解や、大学が就職予備校化していることにもよるだろう。学生だけを責めるのもよくない。

こう考えてみるとわかりやすい。就活がなければ、あなたは何をやるのか、と。こう言われると逆に考えられなくなる人もいることだろう。分かる。「やりたいようにやれ」と言われると、逆に何も出来なくなったりすることだろう。でも、それを模索する瞬間は苦しくても、きっと達成感があるはずだ。

「就活ヒットポイント主義」をこえた大学生活を送ってほしい。きっと、その日々はA4数枚のエントリーシート、数十分の面接では語りきれない体験になるはずだ。

常見陽平(つねみ・ようへい)
 北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。

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