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キャンパスライフ

カフェから授業に参加!?  キャンパスのないキャンパスライフ ミネルバのふくろう(6) 日原翔

2017/11/20

日原翔です。ミネルバ大学にはいわゆるキャンパスというものがありません。ホームページでも強調されているように、「City As A Campus (街がキャンパス)」というコンセプトはミネルバを特徴付ける大きな要素です。実際はいったいどんな生活なのでしょうか?今回は、ミネルバ生のキャンパスライフの一例を紹介したいと思います。

ミネルバ生は「朝型」が多い

一般的に寮生活というと、生徒達がある程度同質な生活リズムを送っているものを想像しがちなものですが、意外とそんな様子はありません。起床時間から就寝時間まで十人十色で、みんながミネルバにやって来る前にどういう生活を送っていたかを垣間見ることができます。

筆者の朝はあまり早くなく、基本的には朝8時頃に起きて朝食をとり、身支度をしながら授業開始を待ちます。しかし人によっては、朝6:00に起きて街へランニングに出かけたり、公園に筋トレをしに行ったりする人もいます。とても健康だと思うので、私もこの生活スタイルにシフトしたいなーと思っているのですが、思い始めて早2カ月、未だに実行できていません...

「早朝に街の様々な場所に出かけて運動し、授業が始まる前に帰ってくる」という趣旨のサークルが存在する。

食堂がないミネルバでは、食事の様子も多様です。プロのような料理を作る生徒もいれば、料理はからっきしで、加工食品ばかり食べている生徒も存在します。さすがにこの先4年間も自炊生活を過ごせば全員、ある程度の料理ができるようになると思いますが。

筆者も料理はほとんどできないので、修行中。今はオンラインでいくらでもレシピが見つかるので、この時代に生まれたことを感謝するのみである。

サンフランシスコはあまり大きい街ではないのですが、その中にいくつもの文化コミュニティが点在しているので、色んな食事に触れる機会が多いです。私の寮のすぐ隣にある中華街の他にも、メキシコを中心とするラテン系の移民が多く住むMissionという地区などがあります。多文化が混在する、非常にアメリカらしい街だといえるでしょう。

授業は電車でもカフェでも受けられる

前回詳しく紹介した授業は、オンライン環境にいる限りどこからでも受けられます。基本的には寮で受けることが多いですが、筆者は気分転換にお気に入りのカフェから受けることもしばしばあります。ミネルバは学校外でも非常に活動的な学生がほとんどなので、場所に縛られない自由は多くの生徒たちが重宝しています。

例えば先日、数人の生徒たちがシンガポール航空主催のハッカソン大会に参加するために一時的にシンガポールに行っていたのですが、太平洋を跨いだ向こう側でも彼らはいつも通り授業に出席していました(ちなみに彼らは優勝してサンフランシスコに帰ってきました。さすがですね...)。

この他にも、サムスン主催のアプリ大会で優勝してニューヨークに招待された生徒たちや、ロサンゼルスでレコード契約を結んで音楽を作っている生徒などがいます。ミネルバ大学では、生徒達は学校外で掴み取った機会を棒に振ることなく授業を受けられるのです。

列車移動中に授業を受ける生徒。もちろん皆が皆毎日こういうことをするわけではないが、この自由度の高さが、生徒の課外での活動を間接的に後押ししているのだ。

リアルな街がキャンパスに

「キャンパスライフ」―冒頭で用いたこの言葉は、課外活動や人との交流など、華やかなことばかりを連想しがちな言葉ですが、私たちはあくまで学生です。学生生活の大きな部分を占めるのは学業であるという事実は今も昔も、最先端を謳うミネルバも同じです。生徒達は一日の多くを読書や課題への取り組みに費やします。

ただ、やはりミネルバは学びに多くの工夫を織り交ぜているので、同じ学業でもその内容は独特なものだといえるでしょう。ミネルバ大学で課される課題には Location Based Assignment (以後LBA) というものがあります。LBAはその名の示唆する通り、様々な形で街に関わるものになっていて、「City As A Campus」の真髄でもあります。

例えば、私は現在「ユートピア」という概念について学んでいます。理想の社会とはどんなものか、様々な哲学者や作家達の意見を比べながら分析しているのですが、この授業で最近LBAが課されました。サンフランシスコに存在する建物や公園などから場所を一つ選び、その場所がどのように理想を体現しているかを授業内容に絡めながら分析する、という内容です。

この課題に取り組むことで私は必然的に街へ出かけ、選んだ場所についてその歴史や文化的背景などを学ぶことになります。また、教室で学んだ理論を現実に当てはめる機会でもあるので、地に足ついた学びの成果が得られます。これは世界中をキャンパスとし、LBAを課すミネルバ大学ならではの学び方でしょう。

言うまでもなく、生徒たちは課題で強制されなくともキャンパスのないキャンパスライフを謳歌している。写真は、Twin Peaksというサンフランシスコを一望できる丘。日の出をここで迎えるのはとても気持ちがいい。

キャンパスがない大学でのキャンパスライフ、いかがでしょうか。もちろん大学というものは中学や高校と違い、個々人によって時間の過ごし方は大きく異なります。自由度の高いミネルバでそれはなおさらで、今回紹介したお話はほんの一例にすぎません。しかし、その自由度の高さこそが、好奇心旺盛なミネルバ生にとっては心地良いのでしょう。物理的な境界線に捉われずに、文字通り世界中を学び舎とするミネルバ大学は、新しい教育の一つのあり方を示唆しているのかもしれません。

それではまた次回。

日原翔(ひはら・しょう)
1998年埼玉県生まれ。聖光学院高等学校を中退し、経団連の奨学金制度でカナダのPearson College UWCに2年間留学。2017年9月よりミネルバ大学に進学。身体を動かすことが好きで、現在はダンスに熱中している。科学や政治経済にも関心を持っており、自身の将来像は未だに悩みあぐねている。座右の銘は「二兎を追う者のみが、二兎をも得る」。

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