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世界中から才能を集める、ミネルバ大学3つの選考ポイント

ミネルバのふくろう(2) 日原翔

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NIKKEI STYLE

日原翔です。前回はミネルバ大学の概要について大まかに紹介しました。今回は、大学進学で特に気になるadmissions(出願制度)について詳しく紹介します。

海外の大学を受験する際に、多くの人がまず考えることは、「どこの国に行きたいか」というものだと思います。実は私は、全くといっていいほど国にはこだわっていなかったので、校風やカリキュラムといった学校のコンテンツに全ての重きを置いていました。別にアメリカでもイギリスでもシンガポールでもよかったですし、もっといえば日本でもよかったのです。今思えば、そうして国という概念に縛られないでただひたすら学校の中身を見定めていた私が、ミネルバに導かれたのは自然な流れだったのかもしれません。ミネルバは、それほどに納得のいく出願経験を提供してくれたのです。

ミネルバの理念を示す独自の出願プロセス

私は、ミネルバ大学以上に学校の理念をきちんと行動で示す大学を知りません。前回少し触れた、"世界中から等しく才能を"という考えは、出願プロセスにも潔く反映されています。ミネルバの出願には大きく3つの部分に分けられます。順番に見てみましょう。

パート1 Who You Are

全ての出願はWho You Areから始まります。出願生はミネルバ大学のホームページへ行き、まずこのWho You Areで名前、メールアドレスや学歴などの基本情報を記入し、「出願用アカウント」を作ります。個人が複数のアカウントを使って受験することは固く禁じられており、発覚した段階で不正とみなされます。また、出願が認められているのは各年度に一回だけです。

パート2 How You Think

How You Thinkでは、出願生の考え方が問われます。ミネルバはTOEFLやSATなどの外部試験を一切受け付けていません。これらの試験はお金を払うことでいくらでも準備や再試験が可能であることから、出願生の実力を全く反映しない、とミネルバは信じているからです。ともすると力のある学生よりも、金銭的に裕福な学生を選びがちなアメリカらしい欠陥システムと決別し、ミネルバは独自の設問集を用意しています。設問は大きく6つに分けられています。

1.Creativity (創造性)

2.Mathematics (数学)

3.Understanding (理解力)

4.Reasoning (論理力)

5.Writing (表現力)

6.Expression (面接)

これらの設問には全て約7分~20分程度の時間制限がついており、質問にはその場で答えなくてはいけませんので、出願生の本当の実力が試されています。むしろそこに平等性があると言えるでしょう。また、設問の体裁は共通していても、質問の内容は受験生によって異なるというのも、出願生の本当の実力が試されています。こういった仕組みで、ミネルバは効果的かつ平等に世界中から学生を集めているのです。

パート3 What You Have Achieved

What You Have Achievedでは、出願生自身の過去の功績についてアピールします。自身の成し遂げたことを列挙し、それらが周りの人々や社会へどのような影響を及ぼしたか、ということを簡潔かつ可能な限り定量的に自己評価します。私はこの "定量的に評価する" というのがとても気に入りました。文章力でごまかせる他大学のエッセイと違って、ごまかす余地がないからです。また、功績の証拠となるもの (画像、動画、リンクなど形式は問われない)を提出するのも、客観的で定量的に自己評価をする訓練になります。表現力は既にHow You Thinkで問われているので、What You Have Achievedではそれは評価されないのです。字数制限も4、5行程度でかなり短く、優雅で緻密なエッセイを書くのとは真逆の新鮮な体験でした。 

全学生対象の奨学金制度

ミネルバは手厚い奨学金制度も武器にして、世界中から学生を集めています。前回触れたように、ミネルバの学費は直接学びに関係のない費用をカットすることで、高騰する他大学のおよそ1/4程度になっています。この時点で既に経済的なハードルを大幅に下げていますが、それでもやはり多くの家庭にとってこれでも大きな負担であることに違いはありません。国籍だけではない、経済背景等も含めた、本当の意味での多様な背景からやってくるミネルバの学生達ならなおさらです。

そんな学生達に、ミネルバは必要に応じて支給額が決まる、Need-basedの(必要性に応じた)給付型奨学金を提供しています。この奨学金は全学生が対象で、ミネルバに合格した以上は、金銭的な理由で通えないことはありえません。また、これは合否の選考とは完全に引き離して考慮されるNeed-blindの制度を用いているので、必要な奨学金の額の大小に応じて合否に影響は全く及ぼされません。

余談ではありますが、これほど奨学金が手厚いミネルバも、決して「タダ乗り」はさせません。各家庭にとって支払う額は異なりますが、学生には必ず学費の一部の自己負担を求めています。自らの教育に対し、その対価をきちんと投資するということは、学生とその家族がミネルバの教育の価値を理解し、支持することを反映していることに他ならないと信じているからです。

ミネルバの描く学生像

さて、ここまでミネルバの出願プロセスとそこから見えてくる彼らの理念について綴りましたが、結局ミネルバ大学という教育機関は、どのような学生を求めているのでしょう。ここまで来れば、それはもはや火を見るより明らかでしょう。世の中に尽きることのない興味を持ち、学び続けることができる、未来の変革者たちをミネルバは集めています。こうした学生達が一同に集まり、世界中を旅する濃密な4年間を過ごすことで、互いに刺激し合い、高め合い、より大きくなって世の中に羽ばたいていくのだと思います。

そして何より私が一番好きなのは、この大学がそのような学生を集めるための努力を怠らないことです。学費を下げ、出願費用を無料にし、小細工を一切取り払った出願制度を作りました。共通テストを廃止し、奨学金制度も整え、全ての人にチャンスが行き渡るようにしています。

私が個人的にとても驚いたのは、出願を終えた数日後に出願担当の方が送ってきたメールです。

「私たちの選考は具体的にこういうことを評価基準としている。あなたのアプリケーション(願書)はここをこのように改善できる」

という内容の、とても細かく的確なアドバイスでした。そして彼らは一度提出したアプリケーションを私に返却し、メールのアドバイスに基づいて改善をする時間をくれたのです。このやり取りを数回繰り返し、私はこの大学が「学生をふるいにかけて『落としたい』のではなく『取りたい』のである」ということを実感しました。学生を落とすための選考ではなく、取るための選考なのです。

「定員なし」の理由

ミネルバ大学への出願は毎年増えています。今年は昨年より36%も多い、20427人がミネルバ大学を受験しました。しかし、学生に要求する水準がとても高いミネルバ大学は、とても狭き門であるのもまた事実です。今年は受験者の1.9%以下である、385人が合格しました。

ただし読者の皆さんに知ってほしいのは、ミネルバ大学に定員はないということです。これはつまり、限られた席を優秀な学生同士で取り合っているわけではないのです。ミネルバ大学は相対評価で決まった数の学生を選ぶのではなく、一定のハードルのような水準を用意しており、その要求水準を超える学生は全員合格します。受験者全員がそれに達していれば20427人の合格者が出ていた可能性もありましたし、逆に合格者1名、ということもありえます。1.9%の合格率というのはその結果でしかないのです。selectiveではあっても、全くcompetitiveではありません。

このように理念を地でゆくミネルバ大学は、その特異性からも明らかなように、決して万人のための大学とは言えません。しかし、もし世界中から集まる才能たちと4年間を共に学び、やがては世界に還元してゆくという人生が、あなたの心を少しでもざわつかせるのであれば、受験してみるのもいいかもしれません。

長くなってしまいましたが、また次回。

日原翔(ひはら・しょう)
 1998年埼玉県生まれ。聖光学院高等学校を中退し、経団連の奨学金制度でカナダのPearson College UWCに2年間留学。2017年9月よりミネルバ大学に進学。身体を動かすことが好きで、現在はダンスに熱中している。科学や政治経済にも関心を持っており、自身の将来像は未だに悩みあぐねている。座右の銘は「二兎を追う者のみが、二兎をも得る」。

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